オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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「Boozometer」(Sega, 1960年代?) 元祖電流イライラ棒?

2021年07月11日 13時33分29秒 | ピンボール・メカ

1971年か、その前後1年のいずれかのことだったと思います。両親に連れられて長野県にスキーに行ったとき、宿の近くの食堂に、いくらかのゲーム機が設置されていました。そこには、10円玉で稼働し10円玉を払い出すセガのスロットマシンや、おそらくこれも現金のペイアウトがあったと思われる「ウィンターブック」の他に、今回取り上げる「Boozometer」という機械がありました(関連記事:セガのスロットマシンに関する思いつき話)。

Boozometerのフライヤー。

この機械がいつ頃作られたものなのかはよくわかりません。ワタシが持つ1966年のセガの価格表(関連記事:セガ・エンタープライゼス@1966)にも、1972年の価格表にも、その名前はありません。ネット上を調べると、「1960年代」としているところや、「左上の人種差別的な描画(注:「人食い人種」が白人を火にかけている絵)から、遅くとも1970年以降と言うことはあるまい」と述べているウェブサイトなどがみつかり、これらに加えてワタシの記憶から、やはり60年代の機械と判断しておくのが、現段階では妥当かと思われます。

このゲームは、先端が輪状の電極となっているハンドルを、上下に波打つレールに触れないように、右端から左端までなるべく遠くまで運ぶことを目的としています。原理は単純で、ハンドルがレールに触れると通電してゲームオーバーとなる、というものです。筐体には「SOBRIETY TEST(飲酒テスト)」という文言とともに、スパークリングカクテルと思しきグラスの絵が描かれています。おそらく、バーなどで酔客が自分の酔っぱらい加減を診断する遊びに使う事を示唆しているのでしょう。

ゲームのスタート地点となる部分は厚いビニールの筒で包まれており、レールとハンドルを絶縁しています。ゲームを始める際には、まず最初にハンドルをこのスタート地点に戻しておく必要があります。 ワタシはそのことに気づかず、ハンドルがスタート地点に戻っていない状態で10円硬貨を入れてしまい、硬貨を投入した途端に「チン!」とベルが鳴り即ゲームオーバーとなって貴重な小遣いを失ったという、苦く、忘れられない思い出があります。

スタート地点のアップ(上)とインストラクション(下)。「コインを投入する前に、ビニールの筒で包まれている部分(緑矢印)にハンドルを戻しておくこと」との注意書きがある。ワタシはこれに気づかず(と言っても当時は英語を解していなかったので読んでもわからなかった)に遊ぼうとしたが、ハンドルはレール上の赤矢印の部分にあり、貴重な小遣いを何もせぬうちに失ってしまった。

今フライヤーを読むと、「最後まで到達するとリターンコインボタンを押すことで投入したコインが戻ってくる」と書いてあります。ワタシは最後まで行ったことがないのでそんなフィーチャーがあるとは知らなかったのですが、それはいいとして、最後まで到達したことをどうやって判断しているのかが謎です。フライヤーの筐体を見ても、特にフィニッシュを判断するような仕掛けがあるようにも見えません。

フライヤーに書かれている製品の説明(左)と、レールの最後の部分(右)。どうやって最終段階の「SUPER・MAN」に達したことを検出していたのだろう。

 1990年代のTV番組で「爆裂電流イライラ棒」というゲームが流行りました。SNKはこれを1996年に「ウルトラ電流イライラ棒」と言うタイトルでアーケードゲーム化し、さらに翌年にはビデオゲーム版も開発されました。ワタシは残念ながらそのフライヤーを持っていませんが、調べているうちに筐体の画像と詳しい説明が記述されたウェブサイトを発見したので、どんなものかを知りたい方はこちらをご参照ください。 ウィキペディアによれば、「爆裂電流イライラ棒」の考案者は番組ディレクターの三木康一郎さんとされています。この方は1970年の生まれだそうですが、果たして「Boozometer」の存在をご存じだったのかどうか、お伺いできるならしてみたいものだと思います。


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3 コメント

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Unknown (EM好きおじさん)
2021-07-11 21:23:01
nazox2016様、こんばんは。

私もこのゲームマシンを見た事があります。どこかの温泉のゲームコーナーだったかな…本来の遊び方を知らない子がコインを入れずにハンドルを持って左右にガチャガチャと動かして遊んでいました。
最後まで行くとコインリターンボタンでコインが戻るというフィーチャーは知りませんでしたが、私が設計者だったら次の様に設計します。
コイン投入後はコインをコインシュート内で保持しておき、その状態でボタンを押すとコインが戻される様にしておきます。リングとバーの接触を検出するとソレノイドがベルを鳴らしてコインをコインボックスへ落とすので、以降はボタンを押してもコインは戻りません。
リングとバーを接触させずに最後の絶縁部まで持って行けばコインリターンできる訳ですが、途中の段階でリングをバーに接触させずにボタンを押してもコインは戻ります。しかし片手でハンドルを保持しながらもう片手でボタンを押すとは思えません。プレイヤー以外の人が途中でボタンを押してしまう可能性はありますが、それは例外という事にします。
さらにコインを入れてハンドルを動かす前にボタンを押してもコインが戻りますが、コイン投入後に気が変わってゲームをせずに帰るからコインを返してほしいというお客の要望にも答えられる仕様という事にしておきます。
ゲーム開始前にコインリターンボタンを押した人がいれば本当はどうだったのか分かるのですが、どうでしょうか。

ではまた。
Unknown (nazox2016)
2021-07-12 21:23:40
EM好きおじさん、Boozometerの仕組みの考察をありがとうございます。
確かに、当時の技術でそれほど複雑な制御やコスト高となる払い出し機構が別途あったとは思えないので、リーズナブルな考察だと思います。

また、リファンドしたらその時点でゲーム終了となるらしいので、コインシュートの途中でコインが物理的に回路のスイッチを押し込んでいたか、またはコイン自体を回路の一部としていたかも、とも想像してみましたが、どうでしょうか。
Unknown (EM好きおじさん)
2021-07-13 00:00:12
返信ありがとうございます。

私はコイン事情に詳しい訳ではありませんが、コイン自身を回路の一部にすると汚れたコインを使われた時に不具合が起きそうなので、コインにスイッチを押させたのではないかと推察します。
ただ写真を見るとコイン投入口の最下部から返却口の最上部まで7cm程度でしょうか(5セント硬貨の直径2.1cmよりも投入口がわずかに長いと考えて)、この間に
1. 投入されたコインでスイッチを押して保持する
2. コインリターンボタンを押せばコイン返却が可能
3. 失敗を検知したらソレノイドがコインをコインボックスに落とす
という機構を盛り込むのは思ったほど簡単ではなさそうです。

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