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厭世フレーバー

2005年10月15日 | 映画
「厭世フレーバー」ー三羽 省吾ー

父親が失踪。残された家族は・・・
14歳ケイ(男子中学生、シャイで反抗的、マラソンが好き)
17歳カナ (女子高校生、家に帰りたくないので深夜のバイト、冷めた視線)
27歳リュウ(ガンガン働き家族を支えようとしてる、俺は何してるんだろ)
42歳母親  (酒びたりの日々)
73歳祖父  (認知症の症状あり)

それぞれの独白の形で物語は進行する。
自分の考えていること行動していることって、たとえ家族の中にあってもこんなにも誤解されているんだということがよく分かる。

語り口は軽快でユーモアがあり、憶測された暗さがない。ここまで軽快に書きながら内容をグイと掘り下げる力量は凄いなぁ。
簡単な日常の状況描写で寂しさを抉ってる。暗さがないのはみんな失踪したオヤジが好きだったってことかな。無鉄砲で愛情の示し方がずれていて悪意のない父親が。
ケイは母に、父は祖父に「バカ息子」と表現されるが、そのバカ息子の言葉のなかにどれほどホカホカの愛情が注がれていることか。

この本の「帯」を読むと内容が勘違いされてしまう恐れあり!
”俺がかわりに殺してやろうか・・父親が失踪。全力失踪のはてに少年は血の味を知った” だってさ。
なんでなんで??全然違ってるでしょ。こんな内容じゃございません。
たしかに「帯」は購入するときの判断材料となるが、こんな大げさなどろどろした状況ではありません。こんな状況をひょいと飛び越えたところにこの本の良さがあるのですから。

これ、最終章をスタバで読んでいてジュワっと目が曇ってきて困りました 
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