旅限無(りょげむ)

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誰も聞いてくれない 其の壱

2006-03-01 00:46:25 | 外交・世界情勢全般
■半月刀で話をつけるアラブ・ペルシャの流儀を捨てて、話し合いで決着を付けられると思う人が居る、と言うよりも、そう言い張らねばならない職務に就いている人がいるようです。そんな事で話が着くなら米国の若者が無駄に命を捨てる必要も無いのですが、報道には無駄な努力のニュースも紛れ込んでいるようです。

国連のアナン事務総長は25日、イスラム諸国会議機構(OIC)、アラブ連盟の各事務局長らとカタールの首都ドーハで会談し、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画について「表現の自由は責任を持って行使されるべきで、憎悪の扇動や深い信念を侮辱する口実とされてはならない」などとする共同声明を発表した。
毎日新聞 - 2月26日

■紙面の関係で字数を削ったので、何んだが綺麗ごとで丸く収まりそうな話になってしまっているのは毎日新聞のご愛嬌です。家族を上げて国連の銭をせっせと裏の蓄財に回していたアナンさんが、レーム・ダックごろこか、百舌(もず)が枝に突き刺して忘れて干からびたトカゲ同然になっているのは国際社会の常識でしょう。国際面にアナンさんの記事が載っているのは日本くらいなものかも知れませんなあ。同じ記事でも共同通信ではニュアンスが違います。


イスラム教預言者ムハンマドの風刺漫画掲載問題で、国連のアナン事務総長はカタールの首都ドーハで25日、イスラム諸国会議機構(0IC)のイフサンオウル事務局長やアラブ連盟のムーサ事務局長らと会談。メディアが信仰の侮辱に使われてはならないと非難し、人権を守るために「関連法の厳格な適用」を求める共同声明を発表した。宗教への中傷行為は人権侵害だとして法規制や処罰を求めるイスラム諸国の主張に沿った形で、表現の自由を尊重する欧米社会からは異論も出そうだ。共同通信 - 2月26日

■「関連法」と言うのは何を意味しているのでしょう?これにイスラムの「シャリーア」やコーラン原典が含まれると大変な事になるはずなのですが、衛星放送の海外ニュースを観ていてもアナン発言を大きく取り上げている国は無いようです。国際検察庁特捜部が無いものですから、不正蓄財をしていても逮捕されないのが国連の良いところなのでしょうか?加盟国が一律に「一票」持っている総会の規則にしても、発足当時は国家と呼べる組織が数えるほどしかなかったのですから、そのまま冷戦時代にソ連と米国が意地になって傀儡国家をにょきにょきと作ってしまった後の国連は、誕生当時の組織とは根本的に違います。日本人の中で「国連で働きたい!」と熱望する人は変わった人と、やっと思われるようになりましたが、欧米諸国では随分と昔から、国連の職員になりたいと希望する人は珍しい人だったようです。

■たまたま、アナンさんが何を言っても誰も相手にしなくなっていたのが幸いして、イスラムの怒りが燃え上がる事態には至っていないようですなあ。燃え尽きる直前の焚き火の前で、天を仰いで「超能力」を演じるペテン師みたいなものですなあ。アナンさんはちょっと前までは「再選」を画策して、常任理事国の首脳におべっかを使っていたようですが、裏金疑惑が表沙汰になっては、もう誰も話を聞いてくれません。


麻生太郎外相は27日午後、来日したイランのモッタキ外相と都内の外務省飯倉公館で会談した。麻生氏はイランの核開発問題について、ウラン濃縮活動の再停止を強く求めると同時に、ロシアが提案している濃縮活動を同国内で実施するという案の受け入れを強く求めた。しかし、モッタキ氏が濃縮活動の再停止を拒否し、説得は不調に終わった。小泉純一郎首相も28日午後にモッタキ氏と会談する。

■民主党のスットコドッコイが雲隠れしたり入院したり、そんな国際ニュースになどなるはずのない馬鹿馬鹿しい話に国民が夢中にさせられている間に、こっそり麻生さんはロシアを信用してイランの原爆監視を任せる事に決めてしまっていますぞ!スットコドッコイが過労だろうが脱水症だろうが世界の大勢にも、日本の政界にも何の影響も有りませんが、互いに歴史的な怨念と「食欲」を抱いたままイランとロシアが手を結ぶような危なっかしい取り引きを始めているのは、世界を根底から動揺させるほどの大問題です。いつの間に日本の外務省はロシアをイランの後見人として公認したのでしょう?北方領土問題ともからむ重大な決断と思えるのですが、何処のマスコミも知らん振りしませんかな?


麻生氏は、国際原子力機関(IAEA)が今月初旬に核問題を国連安全保障理事会に付託したことに言及し、「イランが濃縮活動を再停止することを強く求める」と述べる一方、「イランへの信頼が回復されないなかで、国内での濃縮活動に固執するのは問題解決を困難にするだけだ」との考えを表明。また、ロシアとイランが協議している合弁企業を設立して濃縮活動をするという案について説明を求めた。モッタキ氏はこれに対し、「イラン国内で行われているのは実験室規模の研究開発活動であり、再停止することはありえない」との考えを示すとともに、「イランは核兵器を追求しているわけではない」と述べ、あくまでも平和利用が目的との立場を強調した。また、ロシアとの協議について、濃縮活動を行う場所や期間などについて結論が出ていないことを明らかにした。
産経新聞 - 2月28日

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