映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「シン・ウルトラマン」

2022年05月15日 | 特撮映画


監督樋口真嗣さん、脚本庵野秀明さんのシンゴジコンビ。
約55年前に地上波で放送されていた特撮番組
「ウルトラマン」をリブートした映画。

日本にのみ出現する謎の巨大生物「禍威獣」を撃退するために立ち上げられた
「禍特対」は、かろうじて巨大生物を駆除していたが
電気をエネルギー源とするネロンガの攻略に苦戦していた。
そこへ謎の生命体が天から現れて……というあらすじ。

最初からギャンギャンに詰め込まれる表示テキストと
全員が聞き取れる前提ではない早口の文語体の会話、
「へい、おまち!いつものやつね!」と、お通しが出てきた感じでした。

半世紀後のリメイクだけあって、エネルギー表現は新しいし
カメラワークが凝っていて、怪獣のデザインもランクが上がり、
リブートした意味はあったな!と思った。

最後までばれ

ウルトラマンについては大して詳しくないが、
ネロンガ、地味に歯が増えていたのが好きだし、
スペシウム光線のモーションを左手先からの視点で撮ったのは
考え付いたひと天才だなって思ったし
飛行するウルトラマンにベイパーコーンが出てて、おっ!てなったし、
あとシン・ゴジラより3~4割予算を削られたという噂を聞いたので
それが本当なら、お金のかかる戦闘を極力避けて、
上位種SFに比重を置いたのは正解だなという気がしました。

「幼年期の終り」と「三体」を思い出したのですが、
宇宙人を出すと、設定を作った人の価値観がモロに出るな…と思います。
この映画に出てくる宇宙人は皆理詰めでものを考え、損得で行動する者が多い。
(交渉の余地がある)
でもザラブ星人とメフィラス星人、キャラがかぶってるので
もう少し離したほうがよかったのではないか。
この映画で最も優れた点はメフィラス星人のキャラクターとキャスティングで、
山本耕史さんは予告の時から宇宙人にしか見えなかったし
名刺を差し出した時点でもう勝ってた。
(好きな言葉を挙げていくのかわいいし、
捲土重来も「嫌いな言葉」って言わないところが細やかだし怖い)

宇宙人も法的なものに縛られていて言動を制限されるの面白いし、
資源的価値を独占したい、というのは経済あるいはそれに近い概念があるのだな。
光の国のひとたちの価値観はまた違うようだが、
ゾーフィ(さすがにゾフィーではないようだ)の言動から考えると
宗教に近い倫理なのかな?と思う。
(でも好意による自己犠牲的な献身への理解はある)
リピア、78億人全員のび太くんの星、みたいなところに赴任して
何しろのび太くんなのでアホのくせにすぐ調子に乗って
すぐ騙されて、また騙されて、ジャイアンにぶちのめされて
ウェェェン!ドラえもーん!って泣かれて目が離せない…でも好き…
みたいな経緯で気の毒だった。
捨てて帰っていいんだよ?君も星に家族や友達がおるだろう。

1点のみdisるが、
長澤まさみさんのスカートの中をローアングルで撮ったりするやつは、
もう本当にださいのでやめてほしい。
えっちだからやめてほしいんじゃなくて、ださくて恥ずかしいんです。
ヅラが飛んで禿頭になるコメディを
いまだに面白いと思って延々やっている感じって言えば通じますかね…。

庵野さんは、巨大生物が地面と平行になって
空に浮かんでいる絵面がお好きだな…と思ってました。
しかしゼットンガチ勢とかがもしおられたら、
推しが1兆度火の玉製造機となった気持ちはどんなものか聞いてみたい。
やっぱりつらいんだろうか。

あのめちゃくちゃおいしそうな居酒屋は、
浅草一文本店というお店だとSNSで知りました。
メフィラス星人、いい店をいっぱい知ってそう。
インスタアカウントを教えてほしい。

「大怪獣のあとしまつ」と比較すると、さすが本家だけあって
格の違いがよく分かりました。


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「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」

2022年05月06日 | バトル映画

「マーベル・シネマティック・ユニバース」の28作品目。
ドクター・ストレンジシリーズとしては2作目。
監督はサム・ライミ。
ストレンジは異世界の怪物に追われ、守護していた少女を
やむを得ず裏切る夢を見て飛び起きる。
かつての恋人であったクリスティーンの結婚式に参列し、
内心の未練を隠して平静にふるまうストレンジだが
式の最中NYに、夢に見た怪物と少女が出現し…というあらすじ。

サム・ライミ監督色が相当強い。
監督のカラーとMCUが上手く融合してます、
フェーズ4のメインテーマであるマルチバース設定に踏み込み、
ストレンジ先生の内心の屈託を描写し、
なおかつホラー表現とバトルが合体した、これまでのMCUにないテイストで
「絶対に飽きさせない」という強い意志を感じました。

見ておいたほうがいい作品は前作の「ドクターストレンジ」。
余裕があればドラマ「ワンダヴィジョン」も。

ちょっとしたゴア表現と嘔吐シーンがあります。
エンドロールの途中とラストに1シーンあります。

ラストまでばれ

「キャプテン・スーパーマーケット」じゃん!
いやでも100%サム・ライミ監督のやりたいように撮っておられたら
たぶんこうはなってなかった(もっと人を選ぶ内容になっていた)
気がするので、絶妙なバランスだと思います。
ゾンビの目がキリッとしたヒーローの目なのと、
ぶちぎれたクリスティーンの反撃がオラオラしていたところと、
最後の「やっと終わった!」という(ブルース・キャンベルさん!)自虐ジョークに
サム・ライミ監督っぽさを感じた。(分かる人だけ分かってください)
死体トンチも好き。

アベンジャーズは合意なく奪われた宇宙の半数の生命体を救ったけど、
代償も大きくて、何名かは命を落としたし、
ワンダのように愛する者の命を奪うという苦痛に耐えた人もいた。
力を持ったものは全員、自己犠牲に生きろとか、
強い精神力で苦難に耐えて当然とか、言う権利は誰にもないので
ましてや不幸にして子供時代に家族を奪われたワンダに
高潔であれ、理性的であれとは言えないよなあと思いました。
恨みに狂うアベンジャーズが出るのも仕方がない。
彼女の怒りや執着と、ホラー表現がよくマッチしてました。
対抗する先生は、ゲートを使った戦闘表現はNWHのほうが上だけど、
まあ今回はゾンビ&悪霊バトルが最高なのでね。

ライミ監督は人の美貌にさほど興味ない印象だったのですが
今回のMoMはカンバーバッチさんが美しかった。特に冒頭。
元カノの結婚式場で変身して巨大生物と戦うって、
MCUのツカミは相変わらずレベルが高い。
ところでクリスティーンの結婚式について、
出席したことをウォンさんが驚くコミカルなシーン、
以前にプライベートについてウォンさんに話したのかな?
もしかして事前に相談したりしたのかも…。

そういえば考えたこともなかったけど、
指パチンで消えた人の飼っていたペットは
外飼いとかでない限りほぼ100%死ぬことになるな。
下手すると声の出せない、身動きの出来ない要介護の人間も。

今回の最大のサプライズはイルミナティ。
サーが「出演はしてない」と言っておられましたが
例のガー氏以来、もう誰のことも信じてないので(笑)
ほらね!ほらね!と思ってました。
キャプテンが「I can do this all day.」を言ってくれて
キャー!(気絶)ってなりました。
背中のジェットパックはストンパーの応用なのかどうなのか。
マリアがキャプテン・マーベルなのも白目になりましたが、
(キャロルはどうなった世界…?)
あそこまで無慈悲な退場だと、むしろ笑いました。
あっでもFOX勢を刺激しないで…!!!!とも思った。
ブラックボルトについては、お好きなかたには申し訳ないですが
私のMCUワースト作品は「マーベル インヒューマンズ」なので、
ちょっと爽快でした…。

チャベスさんは、久しぶりに見た
制御できないスーパーパワーによって強大なヴィランに追われるティーンですが、
散々性格に問題のある描写をされている先生、
なんのかんの言って未成年は無条件で助けてくれるんですよね。
(チャベスさんのご両親、女性カップルですがまたもや中国で削られるのか?)
めちゃくちゃやりたい放題やっている印象のこの映画、
自分がメスを握らないと気が済まない先生の性分、
世界のための犠牲は仕方ないという先生の考え、
ウォンさんへの友情と敬意、クリスティーンへの思いの決着、
自分は幸せか?という問いの答え、
劇中で起こる出来事をきっかけに先生が変遷し
答えを得ていく様子が案外細やかに描写されています。
なので見終わったあと、そんなに暗い印象はない。
(私はワンダが生きていると考えるので)
クリスティーンとはうまくいかなかったけど
先生にはウォンさんとマントちゃんがいるからね!

シャーリーズ・セロンさん参戦!
わー!アンジーと戦ってほしい。





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