映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「フリー・ガイ」

2021年08月15日 | SF映画

面白かったー!おすすめです。
毎日決められたルーチンをこなす銀行員のガイは善良な男だった。
銀行は強盗事件が頻発し、街では乱闘や事故が数分おきに起こっているが
彼には関係なかった。
しかし彼はずっと探し求めていた理想の女性と街で出会い、
決められた毎日から一歩踏み出して声を掛けてみる。
しかし女性から告げられたのは、
ここはオープンワールドバイオレンスゲームの世界で、
女性はユーザー、ガイはモブキャラクターだという驚愕の事実だった。

監督ショーン・レヴィ
脚本マット・リーバーマン
  ザック・ペン

微SFですが、難しいことはひとつもなく、
楽しいエンタテインメント映画です。
今の世の中どこまでも残虐に面白おかしく生きられるツールに溢れているけど
でもより良く生きてみるのも楽しいし、ハッピーだよ!
みんな主役だよ!大好きだよ!というのをド正面からやっている。
そういう話を見ると体が焼けただれる人以外におすすめ!

ゲーム会社の悪の社長役をタイカ・ワイティティ監督が演じています。
生き生きと怪演なさってますが、監督、MCUの新作はもう終わったの!?

ラストばれ

人工知能と意識の話がSUKI……。
恋愛の話ではあるんですけど、恋愛至上主義的ではなく、
ガイとバディ、キーズと同僚のひとの友情も大切に描かれてるし、
プレイヤーキャラクタをチヤホヤする役割の金髪美女NPCが
「恋愛イラネ」って気付くシーンがあるのもよかったです。
脳筋デュードも、私たち観客からはユーモラスに見えるけど
街の人々は少しもバカにせず真面目に接していて
最終的に彼なりの役割と立ち位置を得ていたのも細やかだった。
しかしキメ台詞2、キメ台詞3が未定ってそんなことあるのか!

あのバイオレンスゲーム、モブに奥行きを出すために
ミリーとキーズの作ったキャラクターアルゴリズムを転用しようとして
その部分だけ抜き出す作業が面倒でゲーム丸ごと走らせてたってこと???
サーバ勿体NEEEEEEEEEEEE。

一点残念なのは、人工人格と人間の恋愛のハードルを
技術でクリアしていくラストだと私は思っていたので、
何か急に人間と人間の恋愛になったのは少ししょんぼりしてしまった…。
キーズいいやつだし、ガイにはバディがいるけどさ……。

人工知能にも人権意識が芽生えるはずとか、
人間による人工人格の虐待とか、性欲の押し付け、
あと人工知能が存在するためのコスト、メンテナンス、
そっちの方面の話を見たかった…というかたは、もし未読であれば
テッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
飛浩隆「グラン・ヴァカンス: 廃園の天使」
などの小説がおすすめです。

カメオ出演、サプライズ演出が多くて楽しい。
(クリス・エヴァンスしか分からなかったけども)
(ヒュー・ジャックマンどこに…?)
(くりえば、この役で出るなら「what if…?」にも出てくれていいのよ?)
(20世紀FOXはディズニー傘下なので版権侵害はしてませんセーフ)

トロールジョークの「同性愛者と車椅子の男が赤ん坊を殺そうとして…」
って何なのか検索しても出てこなかった。オチは!?オチは何!?



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「イン・ザ・ハイツ」

2021年08月09日 | ミュージカル映画
ラテンアメリカからの移民の多いマンハッタンのワシントンハイツ。
ドミニカやキューバ、プエルトリコからやってきた人々、およびその孫子たちは
互いに助け合いながら生活してきた。
ドミニカからの移民であるウスナビは、父の食料品店を受け継ぎ
いとこのソニーと協力して経営しているが、
いつかはドミニカに帰るという夢を持っていた。
ウスナビが思いを寄せるヴァネッサはデザイナーになる夢を持ち、
大学に進学した、地区の期待の星であるニーナは悩みを持って帰郷した。
彼らそれぞれの思いを歌にしたミュージカルです。舞台版の映画化。

ラップやラテンミュージックが次々と流れますが、リズムがすごい。
なんとなくウキウキした気持ちになります。

予告
https://www.youtube.com/watch?v=rEj04GDi5_0

内容ばれ

親に連れられてアメリカに来た子たちはビザがないため
運転免許が取れないし、大学に進学することができない。
そして不法移民扱いになるため、送還される措置もありうる。
(オバマ政権下では送還猶予措置があったが、
トランプ元大統領がそれを廃止し、その後裁判で争われることになった)
しかし大学に進学したニーナも、レストランで従業員と間違われたり
寮で泥棒扱いを受けたりとあらゆる差別に遭遇して心が折れてしまう。
移民第一世代の親たちも、言語の強制や低賃金に苦しめられる。
そして現在の彼等は、地区一帯が高額所得者向けに開発が進んでいるので
やがて地価の高騰で住処を追われてしまう。
当然ながら映画内では諸問題の大半は解決せず宙に浮いたままなので、
彼等の生き生きとした表情や明るい色彩、
音楽のパワーがなければ相当な鬱映画になったと思います。
それほどに楽曲は躍動感にあふれ、ちからがありました。

エンドロール後に1シーンあります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ワイルド・スピード ジェットブレイク」

2021年08月08日 | アクション映画
郊外で、レティと幼い息子、3人で暮らすドミニクのところに
ミスター・ノーバディー行方不明の報が舞い込む。
彼が輸送中だった未知のテクノロジー「アリエス」の
回収に成功するドミニクたちだが、
突然現れた謎の部隊に強奪されてしまう。
その部隊を指揮していたのが、若い頃に別れたドミニクの弟だった…
というあらすじ。

今作品は過去作品に登場した人がどんどん出てくるので
ここから見るのにはあまり向いてないかもです。
そしてドムの弟と父(故人)初登場!
定番の光の兄と影の弟の、弟→→→→兄愛憎もの。

予告でハンの再登場が明かされてましたが
過去作で殺害されていたので、一体どういう…
と気になってましたが…

内容ばれ

殺された事実がなかったことになってたら嫌だね?
と途中で思っていたので、一応理屈をつけてくれてよかったです。
ステイサム、確認雑かよ!そしてジゼルは死んだままなのか。
ところで今回ハンが食べているのは亀田の柿の種とのことです。

磁力を使ったカーアクションが楽しくて
色々なアイディア目白押しだった。

強キャラ大集合!の今作、
ヘレン・ミレンさまやマイケル・ルーカーさんの使い方が
実に贅沢だった…今後の活躍に期待。
「カーラの妹」は誰だっけ…?と思ったけど
このシリーズにはカーラが2人いて、
人種的にシリーズ4作目のMAXに出てきたカーラのようです。
「TOKYO DRIFT」の人達の出番多めですが、
監督がお好きなのかもしれない。
東京パートは、女優さんがラーメンを
つつきまわして食べないのが気になりました(笑)。
伸びるから早く食べて!(上の具材を一口食べた)
たぶんセットだと思うんですが、ハンの家の内装や、
ノーバディが勧誘する居酒屋さんの内装は結構いい感じだった。
ハンの保護している娘エルを演じるのは澤井杏奈さんで
日系ニュージーランド人。日本人という設定なのかな?
この方も今後のご活躍に期待。
しかしあのメカのメロンみたいなアリエス、
シリーズ通してのマクガフィンの中でもダントツに大味だったな…。

シャーリーズ・セロン、最終的なラスボスになるのかも。
ところでドミニクは、怒りにくるって父の敵をぶちのめした経験から
自分の復讐心を自制するようになったのか…?と思った。
なのでハンを殺したステイサムと手を組んだり、
エレナを殺したサイファーを見過ごそうとしたのかも。

弟は今後、お助けキャラクターになりそうですけど、
しかし汚れ仕事は下の息子にやらせる父、相当アレですね…。
弟ちゃんは兄が仲間とハグするところをすごい目で睨んでましたが、
ドムは、周囲を狂わせる光属性だと思う。弟ももっとハグしてやれ!

ところでミスター・ノーバディ結局どうなった…?
私、なにか見落とした!?

エンドロール中に映像があります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「返校 言葉が消えた日」

2021年08月02日 | ホラー映画

同名ゲームを原作とした台湾のホラー映画。
強烈な思想統制が行われている戒厳令下の台湾で
うたた寝をしていた女子高生が教室で目覚めると夜になっており、
彼女は学校を出ようとするが…というあらすじです。
予告では社会問題サスペンス映画ぽかったですが
がっつりホラーなので苦手な方はご注意。

夜の学校から出られなくなった少女と少年が、
恐ろしいものに追われながら、何が起きたのかを探っていく内容で、
湿度の高い独特の雰囲気があって好きです。
主役の少女、とても可愛く撮られている。

内容ばれ

恥ずかしながら白色テロという言葉を知らず、
思想統制も中国によるものだと思ってました。

闇の中の蝋燭や、顔にかぶせられる麻袋、ぶら下がっている体、
泣き笑いながら追ってくる不気味な少女等々とても良かった。
ただ1点、教師と生徒の恋愛を肯定的に美しく描いているのが引っかかる。
時代と、手を出してはいないのでギリOKかな…
でも家庭の事情で不安定な子を狙うのは典型的なやり口だからな。

ゲームは未プレイであらすじだけざっと読みましたが
映画の先生は良い人度が上がっているように思う。
若い人たちに思想の自由を伝えるのはとても重要だけど、
自分の命がかかっているようなときは、
もうちょっとこう情緒の安定していて用心深いメンバーで固めたほうがよくはないか。
(男子くんがうかつすぎる)

恐ろしい弾圧や差別的な政策は、
魔女狩りのように、人々が理性で抑えていた嫉妬や憎しみと結びついて、
じわじわと浸透して強固になる。
私たちはたまたま戦争や恐怖政治のない期間に生まれついて、
映画の中で教師が夢見た思想の自由を得ているけど今後は分からない。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする