映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「ゴッズ・オウン・カントリー」

2019年02月05日 | 恋愛映画

ヨークシャーの片田舎で祖母と、厳格で体の不自由な父と暮らすジョニーは、
牧場の仕事を1人でこなし、羊と牛の世話に明け暮れる毎日。
若者らしい楽しみとは縁遠く、
酒と、行きずりの男性との性行為が唯一の鬱憤晴らしだった。
羊の出産シーズンに雇われたルーマニア移民ゲオルゲがやってくるが、
ジョニーはそんな彼に差別的に接する。
しかし牛や羊へのケアが的確で、優しい気性ながらも誇り高いゲオルゲに、
かつてなかった感情がジョニーに芽生えて…というあらすじ。恋愛映画です。

日本で5回上映をやった際は、東京4回で大阪1回だった。
その大阪上映を取るために、予約開始の24時にスタンバイして、
座席指定までいったけど、途中でエラーが出て、そのあとは何度やっても駄目。
15分で完売でした。
DVDにもならないと言われたので、もう諦めてたのですけど
このたび拡大上映になって各都市劇場で上映中です。
(今のところ山陰山陽四国はないけど…)配給会社さんありがとう!

「リバです!」って聞いて見に行ったんですが(笑)、
リバでした!羊飼いBLです。
子羊の解体と生皮を剥ぐ描写、幾度かの性行為描写があるので
そこのところ平気な人むけ!

全部ばれ

ジョニーは人間1周目で、人間になりたてなので
性行為の経験はあってもほぼ排泄とニアリーイコールで
恋愛経験がなく、人を好きなった時どうすればいいのか、
何をすると恋愛関係が破綻するのかをよく分かってない。
もちろん修復の方法も知らない。はらはらしました。

恋人とゆっくり食事する楽しさとか、
ふざけ合いっこする楽しさとか、
いちゃいちゃしながら互いに興味を持ってお話しする楽しさとか、
以前した会話を自分も相手も覚えていてもう一回繰り返す楽しさとか、
ジョニーは何も知らないので、
戸惑いがちの笑顔には胸が痛くなる感じでした。
そしてゲオルゲの、傷付いた人独特の優しい感じ。
食を楽しんでいる様子、
雇い主(ジョニー父)の家の中ではその息子と
性行為に及ばないきちんとしたところ、
誇りを傷つけられると怒り、潔く去る毅然としたところ、
好~き~!と思いました。
ジョニーは早く人間になって、
ゲオルゲを幸せにしてあげてほしい。

ゲオルゲがジョニーに「パキか?」と聞かれて即座に否定するシーン、
(字幕の記憶がないのですが、たぶん「パキ」って言ったと思う)
ボヘミアン・ラプソディを見ているので、パキスタン人に対する
尊敬を伴わない呼びかただというという事は分かったけど、
ルーマニア人とパキスタン人って似てるかな…?
(ゲオルゲを演じるアレック・セカレアヌはルーマニア出身)
何でもいいから言いがかりをつけたいだけだったかもですが。

ジョニーは、ゲオルゲにガツンとやられたときに
本格的に好きになったと解釈しましたが、
やっぱり父性的なものに憧れている設定なのかな?
ハウス食品アニメの頼れるお父さんって感じだからなーゲオルゲ。

遠くからやってきたひとが、
自分の生活を、身の回りの人との関係を
風景の美しさを見直すきっかけをくれるって、
パディントンだな…ふふ、と思いました。
そういえば怒った時のゲオルゲとパディントン、似てますね。
あと当然ブロークバック・マウンテンを思い出しました。
が、なんかあのラスト許さんという意思も
気のせいか感じ取りました。
同性愛者の映画だからって、
悲劇エンドにならなくていい流れはここ数年のことのように思いますが、
私は光属性なもので、大変喜ばしいです。

嘔吐シーンが2回と、放尿シーンが3回あります。
嘔吐は非アジア映画では珍しい(彼等はアルコールに強いから)泥酔嘔吐です。
断っておきますが、私は嘔吐マニアでも排泄マニアでもありません。
100%親切心です。

エンドロールで、収穫物の上にちょーんと乗ってる犬がかわいい。
ネズミよけかな?


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「サスペリア」

2019年02月03日 | ホラー映画

ルカ・グァダニーノ監督。R15+
40年前の伝説的ホラーを「君の名前で僕を呼んで」のグァダニーノ監督がリメイク。
旧作はともかく赤の美しい映画で、ダリオ・アルジェント監督はこの作品で
美少女ホラーの第一人者となられた感じ。
https://www.google.com/search?rlz=1C2AFAA_jaJP592JP592&biw=1654&bih=936&tbm=isch&sa=1&ei=wDUaXP-iEZT6wAOTw7HICw&q=Suspiria%E3%80%80school%E3%80%801977&oq=Suspiria%E3%80%80school%E3%80%801977&gs_l=img.3..35i39.25815.26705..27287...0.0..0.133.1354.8j6......1....1..gws-wiz-img.a9h5xptCZNw#imgrc=_
私は旧作のファンで、もちろん魔女三部作を見守って、最後の魔女で「へへへ…」ってなった。

ドイツのダンスパフォーマンス集団の公演を見て感銘を受けたスージー・バニヨンは
マルコス・ダンス・カンパニーの入団テスを受けにやってくる。
彼女の踊りは振付師のマダム・ブランの目に留まり、入団を許される。
しかし団員の少女パトリシアはダンス集団の秘密について勘づき、
カウンセラーに相談していた…というあらすじ。

雨の日に初めて訪れるダンススクール、廊下の赤っぽい光、
章のタイトルに含まれる三母神等々、旧作へのリスペクトも含みつつ
これはまったく別の映画です。
むしろ旧作より、映画的にちゃんとしている。
サスペリアを冠しない方が、評価された気さえします。
旧作は純粋な美少女である主人公が恐ろしい魔女に抵抗する童話のような話でしたが、
今作は魔女側に多くの時間が割かれ、そして魔女の解釈が最新のものだった。
あと分断されていた時代の20世紀のドイツの空気。当時の建物や内装が好きな人は必見です。

人間の体が折れて中の汁をまき散らしたり、
尖ったものが何度も人体に刺さったり、腹を割って中身を出したりするので
私と9割趣味がかぶっている人以外にはおすすめしませんが、
私はわりと好きです。
あ、あと死亡演出で初めて見るタイプの技術があったので、そこも推す。
見るつもりのかたは、やたら検索しない方がいいと思います。

余談ですが監督の前作「君の名前で僕を呼んで」では
BLの趣味が合わね~~~~!って思ったんですが、百合の趣味が合ってしまった!
スージー・バニヨンはダコタ・ジョンソン、その親友になる少女サラがミア・ゴス、
舞踏団から逃げる少女がクロエ・グレース・モレッツ、
舞踏団の中心人物マダム・ブランをティルダ・スウィントンが演じます。


オチばれ注意!!!

魔女の解釈が!
権力者にも従わぬ女性集団で(政府が国家のために子宮を開けと要求しても受け入れなかった的なセリフ)
老いも若きも思い思いのファッションを楽しみ、酒を飲み、肉を食らう。とっても楽しそうでした。
あと色々な年齢、体型の女性がこんなにたくさん出演している映画はけっこう珍しいと思う。
魔女の飛翔にも触れつつ、旧作三母神ファンにも目配せしつつ、
東西ドイツの空気も描写して、なおかつただのホラー映画、フェミ映画ではないですよ、
思想集団の隆盛と粛清などのメタファですよという高尚の香りも匂わせて、
そして最後は後味悪くなり過ぎないよう砂糖も投入して、しかも甘くなり過ぎないよう
人ならざる神の残酷さも示すという気の配りよう。

しかしながら国家権力と男性を愚弄する表現があるので、男性受けはあまりよくないと思います。
というか純粋無垢な美少女がキャーって言うホラーを求めてきたひとはおそらく憤死する。
旧作も好きだから気持ちは分かるけども…。
私はあの、魔女がゲラゲラ笑ったり怒鳴りながら走ってきたりして
まず相手の感情を乱してから意思を操作するやりかたがけっこう面白かった。
洗脳と暗示と魔法の中間くらい。あとまあダンシング呪殺。

前作「君の名前で僕を呼んで」となにひとつ共通点が見いだせないので、
この人は何のジャンルでもある程度理詰めで作ってしまえる技術寄りの人なのかな?と思いました。
とりあえずホラー映画の鉄板メソッドはほとんど使われていないので
ホラーにはあまり興味がないのだなという事は分かる。

マダム・ブランだけではなく、精神科医もティルダさんが演じていらっしゃるそう。
全然気付かなかった!(1人3役らしい)男性の少ない映画だと思う。
(あ、あとオリジナル版のヒロインは、精神科医の妻アンケでこれも気付かなかった)
マダム・ブランはロングドレス姿が美しかったけど、
シルエット重視だろうにポケットがついてるのがなんともいえずいいんだよねあのドレス。
最後生きておられたので、今後はサスペリアのかわいい子猫ちゃんとして生きるといいなと思います。
まさかのサスペリア総攻め。
サスペリアは、全かわいこちゃんと、女性を思う男性の守護者だけども、
対抗派閥というか、自分のお気に入りをいじめた奴は全員殺すという悪のダンブルドア。
グリフィンドール以外全員死刑。ふいた。

総攻めのサスペリアと他の女神との仁義なき抗争を見たいけど、たぶん無理だろうなこれ…。

あ、美女の排尿シーンがありますので、その筋の方はどうぞ。




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