今年は、洋物ホラーNO1が「イット・フォローズ」で
和物ホラーNO1が「残穢」かなって気がします。まだ2月だけど。
和ホラーは、すごいCGの何かがバァァァーン!!って出て、
役者さんが「ンギャァァァー!!」って悲鳴をあげる怖さではなく、
たとえば「今あなたの座っている席に去年座っていた
あなたと同じ年齢の女性は自殺したんですよ…」って告げられた時の、
嫌さと不安さが混ざったような怖さなんですよ。
「残穢」はまさにそんな感じの映画です。
1人暮らしを始めた女子大生が、部屋でかすかな物音を聞くところから始まります。
彼女が体験談をオカルト系雑誌に送った所から、体験記の文字起こしをしている
小説家と交流するようになり、2人はそのマンションの建っていた土地で、
かつて何があったかを調査します。
人間の演じている部分はすごく怖い。
ちょっとノイローゼ気味の夫人が「あなたも仲間なの…?」っていう顔とか、
久保さんが家に帰ってきたら隣の奥さんが顔だけ出して喋る時の顔とか、
床下男の不鮮明な顔とか。
あと隣家の人を思い出すシーンで旦那さんだけ笑ってないのが怖い。
CGはなんていうか、あの、しょぼい。そこさえ目をつぶれば。
ラストばれ
物理的に攻撃してくる怪異ではないので
この映画を見て、アメリカ人がどう感じるかはとても興味があります。
日本人でも、肉体的なピンチにしか恐怖を感じないタイプの人には
眠いサスペンスになってしまうかも…。
原作のラストは、わりと投げっぱなしなんですが、
本の中から現実世界の私達に向かって球を投げるという高等な事をしているので、
映画には不向きと考えられたのか、改変されてました。
(まあ原作だと主人公は作者の小野さん本人ですよとはっきり書いてなくても
分かるようになっているし、実在の人物が出てきますが、
それに気付かないと怖さは3分の2くらいに減るし、
想像力を要求される怖さなんですよねつまり)
怪異は終わって平凡な日常に戻った、っていうシーンで、
赤ん坊の泣き声がかすかに聞こえているし、実は赤ん坊映ってるし、
子供たちは天井の一点を見てる、ってところは実によかった。
編集部はやりすぎというか、特に机の下にいたやつ、お前は絶対に駄目だ。
手が煤で汚れたあたりで止めておいてくれたら更によかったんだけどなあ…。
劇場の照明がついても、誰も立ち上がりませんでした。
ああいうの、ちょっと嬉しい。