「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

牡丹の音なく崩れ子の生るる 鈴木弘子 「滝」7月号<滝集>

2014-07-24 03:25:30 | 日記
 桜は散る、梅はこぼれる、朝顔はしぼむ、椿は落ちるなど
と、散り方の表現は花によって様々。「牡丹が崩れるように
散る」も決して新奇ではないのだが「音なく」に、その瞬間
に立ち会った強さを感じる。緊張の糸が切れたように牡丹が
散り、その花の在った空間が途端に大きく意識される。「生
るる」という神や天皇など、神聖な存在が出現する場合にの
み用いる古語が、人類の、いえ、地球の、宇宙の、新たな救
世主の誕生を思わされる。牡丹の花の終焉は、牡丹なればこ
そ、作者に美しい未来を思い描かせたようです。(H)