「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

十戒の一戒ごとの雷火かな 菅原鬨也 「滝」7月号<飛沫抄>

2014-07-05 20:41:14 | 日記
 十戒は、四百年間エジプトの奴隷となっていたイスラエル
の民がモーセに率いられて、エジプトを脱出し、パレスチナ
に向かう旅の途中、シナイ山で神様から与えられた、神への
愛、人への愛に関して守るべき戒めである。詳しく書く字数
も知識も持たないが、モーセはエジプト王に対し神の力をも
って十の奇跡を行い、エジプトからの脱出を叶えた。その一
つに「モーセが杖を天に向けてさし伸ばすと、主は雷と雹を
送り、火が地に向かって走った。主はエジプトの国に雹を降
らせた。雹が降り、雹のただ中を火がひらめき渡った。」と
聖書に記されているそうだ、歴史を変えた雷とも言えるが、
聖書は人々の生活と深く関わりのある内容であるため、いろ
いろな自然現象にも触れられており、キリストの生涯の重要
なできごとのときにも雷が記述されているそうだ。天界から
差す閃光に神をあらしめ、雷鳴の轟となるまでの束の間に、
守るべき一つ一つを反復している作者であろうか。空に目の
ある後ろ姿に、何となく感じる影に惹かれた。(H)