「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

低唱のゴンドラの唄冷奴 菅原鬨也 「滝」7月号<飛沫抄>

2014-07-11 04:32:56 | 日記
 いのち短かし恋せよ乙女、紅き唇あせぬ間に・・・との出
だしの歌詞。作詞吉井勇、作曲中山晋平の名曲、ゴンドラの
唄である。
 過ぎ去ったあの日、あの時、低い声で、気の向くまま、ゴン
ドラの唄を歌っている。
 作者も、そのかたわらで、同じ思いに耽りながら、耳を傾
けいているのだ。冷奴は、食べ物俳句では、もっとも人間に
親しみがある。
 おろし生姜、青紫蘇、葱などの好みの薬味で食べる。冷奴
は庶民的で夏の料理の定番でもある。さらに、食べる場所に
よっては冷奴の価値観が変わってくる。冷奴に托して、ふと
揺れ動く微妙な心理がさりげなく表現されている。(及川源作)