「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

たんぽぽの絮いまは星雲の果 石母田星人 「滝」7月号<瀬音集>

2014-07-06 06:28:42 | 日記
 一面に黄金色に咲いていたたんぽぽの花の数だけ、たんぽ
ぽは真ん丸な白い絮になり、風に吹かれたり、人に吹かれた
りして空へ発つが、そんな絮に電車の中で逢った事があった。
しばらく目で追っていたが見失った。童話を書き応募したが
選考に入らなかった。今、その理由がはっきりわかった気が
する。もっと絮の旅が想像の世界に飛んでいたら・・・。と、
感性の違いを思わないではいられない。絮の質感が星雲を引
き出し、飛ぶという現象が「果」という所に着地する。しか
し、「いまは」である。絮の旅は更に続くのだ。なんと壮大な
絮の旅であることか。
 「季語が動かない」という言葉が選評の時に良く使われる。
俳句を始めたばかりの頃、それを納得させてくれたのが
「兜虫月齧らんと発ちにけり 菅原鬨也」
だったことを思い出した句でもあった。(H)