MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『「食道楽」の人 村井弦斎 』『美食探偵』

2014年02月07日 | BOOKS
 「食育」を100年以上前に提唱していたという 村井弦斎。
 NHK朝ドラの「ごちそうさん」に出てくる文士「室井幸斎」さんの発想の素になった人なんだそうです。(詳しくは下記リンク)
 (初めは、音が似てるので「室生犀星」がモデルかと思ってました

 
 彼に関係のある書籍を読んでみました。

『「食道楽」の人 村井弦斎 』
黒岩 比佐子 /著
岩波書店


『美食探偵』
火坂 雅志/著
角川書店


『「食道楽」の人 村井弦斎 』は、彼の作品と人生に光をあてた評伝です。
 明治時代後期に新聞小説で大人気のベストセラー作家だったこと。小説の執筆を止めた後も女性・家庭人の啓蒙に力を入れ、健康・健康法に著しい興味を持ち、自分の生活に取り入れていたこと。周りも羨む愛妻家であったこと。
 明治の男性のイメージとはかけ離れたエピソードに驚くばかり。
 彼の著作の中で最も有名な『食道楽』という作品は、彼自身がその題名を『The Pleasures of House-keeping』と英訳しているというところに彼の価値観を感じました。
 家庭を守るということ、食事・家事の重要性について、現代の男性よりも進んだ考えを持っていたのじゃないでしょうか。
 「食育」に注目しているところも、時代を超えた先見の明だと思います。
「小児には徳育よりも智育よりも体育よりも食育が先き」
 順番はともかく、たしかに食べることは生きることの基本・生きるエネルギーの源ですものね。

 一方、『美食探偵』は 村井弦斎を主人公にしたミステリーです。明治の著名な政治家も複数登場します。
あまりなじみのない明治という時代背景も、作中に登場する美味しそうなメニューも魅力的です。
 主人公村井氏は、お金の余裕もあり、知識豊かで、推理力は鋭く、語学に堪能な、おしゃれな紳士といったふう。
 評伝の中の村井氏とは、イメージがだいぶ違います。
 

 2冊を読んで感じたのは、頭が良すぎる人であったのだろうなぁということ。
 心が細やかで、いつも人の何倍も考え、仕事をし、執筆し、自ら実践した生き方は、真似のできない「天才」の人生のように感じました。
 今度、「食道楽」を読んでみようかな。


<参考サイト>
NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」 脚本家×プロデューサー スペシャル対談
<上記サイトから引用>「他のキャストとは違う発想から生まれたキャラクターはいますね。一人は、『食道樂』の作者・村井弦斎さんにオマージュをささげて誕生した、山中崇さんが演じる室井幸斎。もう一人は、大阪のまちづくりに多大な影響を与えた建築家武田五一さんへの敬意から生まれた、ムロツヨシさんが演じる竹元教授です。」(岡本チーフ・プロデューサー談)

<追記>
 今話題の「割烹着(かっぽうぎ)」も、 村井弦斎が考え、『食道楽』で発表したそうです。「音羽嬢式台所上衣」という名称だったということです。
村井弦斎と食道楽 - 平塚 村井弦斎まつり
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