行雲流水

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『驢鞍橋』を読む(1)

2016年01月15日 | 禅の心
鈴木正三(1679-1755)は江戸時代初期の旗本出身の禅僧です。

『驢鞍橋』は鈴木正三の弟子が正三の言葉をまとめたものです。

驢鞍橋とは、驢馬の骨のことです。中国で、戦死した父親の遺体を息子が探しに行くのですが、見つからず、驢馬の骨を拾って持ち帰った故事にちなみます。


一日示曰、仏道修行は、仏像を手本にして修すべし。
     仏像と云(いう)は、初心の人如来像に眼を著(つけ)て、如来坐禅は及べからず。
     只二王(におう)不動の像等に目を著(つけ)て二王坐禅を作すべし。


仏道修行は、仏像を見ることから始めなさい。仏像を見ているだけで仏様に近づけるような気持ちになるけれど、なかなか仏様の境地に至ることはできません。だから如来坐禅にはすぐには及びません。だから、まずは仁王様や不動様の気迫に満ちた姿を見て、積極的に行動し、二王座禅をやってみなさい。


私は偶像崇拝は好きではありませんが、仏像とは見ていて仏の境地に自分を近づけていくものだと思います。仏像から仏の魂を分けていただくのです。鈴木正三は、いきなり難しい如来像から始めるよりは、初心者はまず、仁王様や不動様のようにわかりやすいものから始めなさいと勧めています。仁王様や不動様を見ていると何となく元気が出てきて積極的に行動しようと思うようになるではありませんか。まずは心を沸き立たせることが坐禅の第一段階なのですね。私はいつも、仏教は虚無主義ではなく、虚無主義から脱出して虚無主義を超えるものであると言っています。プラスに考えていく訓練がまず第一歩だと思っています。
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