
数日前、大相撲初場所限りで引退した高見盛の振分親方は早くもテレビ解説10件以上のオファーを受け、しかもNHKは3月春場所での解説を要望したとあった。「直感でしたから、自分の相撲は。口下手だし、アドリブでやるしかない」と新聞記事にある。 面白い。これは相撲ファンとしては朗報だ。 ロボコップとして親しまれた高見盛、NHK出演時の桂文珍を驚嘆させた程に土俵上下の落差の大きい高見盛、冒頓とした話しぶりに加え、どんな話題を提供するのか楽しみにしている。たぶん、楽しい解説になるんではなかろうか。
大相撲のテレビ観戦は大好きで、だいたい5時位の取り組みからテレビの前に座る。
相撲そのものも勿論面白いので集中してみるが、時々、予想していない相撲結果に終わると一瞬大声が自然とでる。その時には、相撲が終わると、下に降りて食事の準備をしている女房に、誰が勝ったか、どのように勝ったかの説明がいる。

取組と同様に相撲を見る楽しみがもうひとつある。 相撲解説者の的をえた解説が結果に付随しておれば、尚更合点がいって面白いのだ。加えて、NHKアナウンサーが解説者の説明を巧く引き出すと、尚更楽しい。アナウンサーと解説者の掛け合いを聞いているとあっという間に次の相撲が始まるからだ。例えば、吉田アナや藤井アナと北の富士との掛け合いは面白い。アナウンサーが巧く北の富士の解説を引き出し、間合いもよく、聞いていてアクがなく素晴らしいの一言。聞いて楽しい解説者は北の富士。 気楽に喋っているし、自分に合点がいかないとアナウンサーが仕向けてもそのように話さない。北の富士の解説が一番面白いと思っているが、組むアナウンサーによって北の富士の気分が明らかに違い、吉田、藤井アナの時の北の富士はリラックスして話してくれる。ところが、新人や不慣れなアナウンサーが担当すると、北の富士の解説トーンが明らかに異なる。いくらアナウンサーが仕向けても素っ頓狂な話し方をしたり、全く違う解説をしたり、場合によっては全く話さない事もままある。あまりにも経験不足のアナウンサーにたいし、少し勉強してから来いと促しているように聞こえるし、最初から相性が悪いと思っているのか、的を得た話をしない。そんなときに巡り合うと、テレビ観戦しても、まったく楽しくない。アナウンサーの方が委縮しているのが直ぐわかる。解説者とアナウンサーの呼吸が合ってないのが画面を通じてもろ分かりだが、それでも我慢して相撲観戦するしかない。或る時、向こう正面の解説者が相撲界や力士の事をこうすべきだともっともらしく解説していた。これを聞いた北の富士が「部屋に帰って、そのように指導しなさい」と諭していた。褒めるべき力士は褒めるし、厳しめるべき力士には課題をはっきりと言うし、北の富士以外にこんな辛口批評をする解説者はいないだけに愉快だ。
もう一人、浅香山親方(魁皇)の解説も聞いていて納得がいく。
『現役時の魁皇は、それこそ「気は優しくて力持ち、真面目で努力家、潔い」-金太郎のような「お相撲さん」らしい力士で、しかも九州出身、日本人の道義の基本を示してくれた力士でもあった』と以前の本ブログにも書いたことがある。つまり魁皇ファンの一人だ。その浅香山親方が解説すると、そうなんだとごく自然に納得がいく。取組内容を 詳細に説明するわけでもないが、そうかと納得させられる。だから不思議だ。一度や、浅香山親方がNKHの「鶴瓶の家族に乾杯」の九州人吉編に出演していた。そのときの浅香山親方の話し方や焼酎大好きという表情がごく自然だった。その自然な雰囲気を相撲解説時にも対応している。 対応すると言うより自然にふるまっている感じだ。浅香山親方がテレビ解説に出ると、大相撲の雰囲気が一気に和んで茶の間に一気に近づいてくるから、当方もテレビ場面にに釘づけになってくる。相撲の現役を引退しても、なお大好きな部類に入る相撲取りはそうざらにいるものではないが、その筆頭が浅香山親方(魁皇)。
そして、玉ノ井親方(栃東)の解説も、ごく自然に取組内容が理解できるから聞いて納得できる。
取組の内容や、差し手など巧く説明してくれる。 玉ノ井親方が解説に出演すると、相撲番組が妙に格式が高くなったようで、品の良さを感じる。一方、千代の富士や貴乃花の相撲解説も丁寧な言葉を選び説得力はあるが、如何せん肩がこる。貴乃花の解説は特に肩が凝る。
舞の海の解説も当初は好感が持てたが、最近、重箱の隅をつつくような解説をする。多分、アナウンサーとの相性もあるようだが、このところの解説は聞きづらい視聴者にとってはどうでもいいような事を力説したり、妙に力士を持ち上げたりあるいはけなしたりする。北の富士と組んだ時など、北の富士の意見を求め過ぎたりなどの場面が多い。あまりにも媚びる内容の解説はいらない。
一方、最も聞きずらい解説者は秀ノ山親方(琴錦)。
丁寧な解説ですごくポイントをついているように思えるのだが、それ本当かな?と思ってしまう。妙に自分に納得するような言葉で話しするのも聞きづらい。解説が軽すぎるのだ。
★相撲観戦大好きファンの一人として、力士の取組もさることながら、担当アナと解説者との駆け引き等は相撲を楽しくさせる。だから相撲って面白い。ついでに言えば、相撲アナに経験不足のアナウンサーを担当させるのだけは遠慮してもらいたい。これほど楽しくないものはない。視聴料を強制的に支払っているファンとしては、愉快で楽しい相撲番組を見たいのだ。NHK番組の中で楽しく観れるのは相撲ぐらいしかないのだから。