野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

なるほど・・・「You meet the nicest people on a HONDA」

2013-12-18 06:16:06 | 二輪事業


14日のBSで、田原総一朗の仰天歴史塾「ニッポン経営者列伝 ホンダ 本田宗一郎」を放送していた。2時間見たが、本田宗一郎伝は何時見て痛快で面白い。番組にあった「ホンダは何時もレースに挑戦とは? レースは世界対照テスト!」とは興味深し。本当にこんな会社ってあるんだなと思う反面、本当にそうかと疑うこともままある。レースを企業行動の真正面に据えることに躊躇する二輪企業が多い中で、レースを、いやモータースポーツを企業の原点、あるいはDNAだと言って憚らないのはホンダだけ。レースとは技術的合理性の塊のようなもので、それは企業にとっての技術的優位性を競うものであるが、ある面、非合理性が必要な二輪や四輪とは明らかに異なるものだ。だとすれば、レースが企業の原点だと言われても実際の二輪企業活動の現実と、レース活動と企業活動との結び付けを一般顧客がどのように理解しているのだろうか。ホンダの伊東社長は、2011年モ-ターショーの挨拶で、「モータスポーツが持つワクワクドキドキ感をもったパーソナルモビリティを市場に提供しつづけるのがホンダの役割で、その先導役をモータースポーツ活動が担っている」、続けて「ワクワクドキドキできる商品を提供するために私は、就任時より「画鋲のような尖がった商品」を開発できる体制作りを進めてきました。尖った商品とは、しっかりした環境・安全性能をベースに、エッジが効いた商品を表します」として、レースの持つ大きな役割をホンダは説明している。「画鋲のように尖った商品」とか「ワクワクする商品」を展開するために、その先頭をモータースポーツ活動にあるとしているが、なんとなくイメージが掴みにくい。抽象的な表現で、一見分かり易いような印象もある反面、レースと言わずモータースポーツと言い直さねばならない世界もあるのも事実。それにしても、本田宗一郎の話題は痛快活劇をみるように面白いが実に合理的で、番組に出演している大学生がどのような反応をみせるかも合わせて見ると面白かった。

それはそれとして、先日ホンダの「ナイセスト・ピープル」と言う記事に出会った。
          「You meet the nicest people on a HONDA」
上記のキャッチコピーは二輪に携わっている人であれば誰でも知っている広告で、米国の広告史に残る名キャンペーン「ナイセスト・ピープル」だ。米国で最も成功した例として知られる「ナイセスト・ピープル」キャンペーンは、米国民の持っていた二輪のイメージを大きく変えた言われ、ここからホンダ二輪が本格的な米国進出が始まる。これを起点にホンダは米国の二輪市場で大成功を収めていくことになるが、その秘訣を「ホンダは周到な計画に基づいてマーケットを開拓し、大胆な投資を行なって、一気に新しい市場を築き上げた」と聞かされてきた。ところが、「定番の戦略論を疑え、ホンダ米国進出の真実」によると、ホンダの実際の関係者らから返ってきた答えは、「自分たちはそんな考えは全く知らなかった」というものだった。つまり、ホンダは背伸びして米国でハーレーのような大型二輪を売ろうとして大失敗し、資金も尽きかけて途方にくれていた頃、ひょんな事からスーパーカブで成功した話しだ。従来説明の「それまでのオートバイとは全く異なる訴求ポイントを持った差別化商品としてスーパーカブを売ることに成功した」と言う、それまでの分析はあくまで結果論であって、緻密な調査と明確な戦略がホンダに最初からあったわけではなく、大失敗した死の渕からの場当たり的な行動が当った言う話。

よく言われている事だが、「成功の要因は、いつも非合理」「失敗の要因は、いつも合理」。
「成功要因は、いつも非合理」だといっても、事前の調査等合理的思考なきままに市場に出て行くと大失敗につながるが、「ナイセスト・ピープル」のホンダの例は場当たり的対応で成功したわけだ。「確実性が高い現実のビジネスにおいて有効に機能する戦略は、事前の計画で策定することは難しく、むしろ走りながら修正を加えつつ進んでいくべきである」と言うのが上記の解説にもある。こういう事例があるから、塀の外からみるホンダという企業はいつも面白い素材を提供するので何時の時代になっても観客の興味を引き付ける会社だというわけか。これこそ、勝つために周到な計画を立案しても、敵といざ戦う段になると、意外に敵は手強く、悪戦苦闘しながらも勝ち方を修正していくレースの醍醐味にも似てワクワクする。

参考:「進化戦略研究会」の「経営戦略論 VS ホンダ」に面白い分析がある。

コメント
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