野々池周辺散策

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AMERICAN SUZUKI は「USモトクロスレース」を継続する

2012-11-09 06:36:49 | 二輪事業
    「頑張れスズキ」

7日付け「Motocross Action」は「AMERICAN SUZUKI FILES FOR BANKRUPTCY; SHUTS DOWN U.S. AUTO SALES」としてアメリカンスズキは米国の四輪販売から撤退し、二輪、船外機、ATV販売の再編に専念するために破産保護(米連邦破産法11条:日本の民事再生法に相当)を申請すると報道した。スズキブランドの二輪、ATV及び船外機エンジン販売を再構築し、且つスーパークロス、モトクロス、ロードレースチームのスポンサーは継続すると述べた。

一方、新聞報道によると、
「スズキが米国本土での四輪車販売から撤退することについて、鈴木修会長兼社長は6日、浜松市内で報道陣の取材に応じ、「為替の影響で損益面が赤字化したのが一番の問題で、 1ドル95~100円くらいなら販売を続けられた。為替に殺された」と、 長引く円高が要因になったと強調した」「四輪販売撤退の要因としては「大型車の需要が高い米国で、小型車中心の商品では問題があった」とも語り、米国市場に再進出する可能性は「120%ない」と断言した」「一方、欧州は市場全体が冷え込み、日本市場でも長期的な販売低迷が予想され、今後の設備投資は新興国に集中させる方針」と述べたとある。


★日本の四輪企業が米国販売から撤退するのは’92年のダイハツ工業以来だそうだ。
通常、自動車市場から撤退する場合、販売店との契約を巡って訴訟となり、長期化する例が多いとされ、これを避けるために連邦破産法11条を申請したとのアナリスト分析もある。スズキは昨年、二輪のMotoGP や WSBレースからファクトリ参戦を中止し、最重要市場のモトクロスレースもワークス活動を止めて支援活動に専念し続けている中での四輪事業撤退は、末端の二輪販売にも少なからず影響する可能性があるものと捉え、二輪各ウエブサイトは一様にスズキの二輪販売継続を報道している。二輪の販売やレース支援継続の意味するところは、米国市場でのスズキ二輪やATVの商品競争力はあると経営判断された事なので、当面は一安心と言うところか。

ところで、「アメリカンスズキ最近3年間の経営成績及び財政状態」を見ると、H22年度の経営収支は黒字で、ここ2年間のH23年とH24年3月期が悪化したとだけが報告されており、
米国の自動車市場は明らかに回復傾向にある中で、何故四輪事業だけを撤退するのだろうか。
一方、近年のスズキ二輪事業収益経緯をみると、過去4年間、赤字決算が続いているところから二輪事業も必ずしも楽観できるものではない。
 ■スズキ二輪事業収益推移(億円)・・・スズキHPより
  ・年度    2013   2012   2011    2010   2009    2008
  ・売上高         2,548  2,577   2,629  4,543   5,920                    
  ・営業利益         △24   △108   △211    △64     225  
二輪事業悪化分は日本や東南アジア向け四輪事業収益で十分に吸収でき、かつ競争力のある米国二輪販売は継続するとの経営判断だが、先進国の二輪事情は当面好転する見込みは無く、為替も円安に振れる可能性も乏しい状況にあるのは今後当面は変らない。
 

★スズキは撤退理由として「為替を含む経済環境、市場動向、小型車中心の自社のモデルラインナップ、達成可能な販売規模、環境や安全面での法規制の強化などを考慮すると、四輪販売事業の採算性を確保・維持していくことは極めて困難であると判断した」と発表したが、一方、富士重工業は「スバルの米国販売が過去最高を達成」と発表した。
 ~ 米国において5年連続で前年実績を上回る唯一のメーカー
「富士重工業の米国販売会社スバル オブ アメリカ は、2012 年末まで約2 ヶ月を残す中、前年の年間販売記録を更新したことを10 月30 日に発表し、 2012 年累計販売は、2011 年に達成した年間販売記録(266,989 台)を更新し、5 年連続の対前年越え、4 年連続の過去最高記録樹立となる」「スバルが成長を続けることが出来ているのは、魅力ある商品と、ディーラーによる顧客満足向上への取組みの成果であるとコメントした。 富士重工業は、スバルのブランドステートメントである“Confidence in Motion”で掲げる、企画・開発から販売・サービスにいたるすべてのプロセスでの「安心と愉しさ」の提供、 を通じてお客さまの期待に応え、更なる成長を目指す。」

スバルとスズキ、世界最大の自動車市場で成功しつつある企業と撤退を余儀なくされた企業。
米国市場で成功する経営と東南アジアに軸に成功の道をさぐる企業のそれぞれの経営方向性は、日本の自動車産業の生き方を見るうえで参考となる。
コメント
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