18日の「 Cycle News」HPのトップ記事は「Team USA Wins Motocross of Nations」 だった。
これで、米国チームは国別対抗モトクロス競技大会において7連覇を達成した。
また、優勝した米国チーム3名うち、RYAN VILLOPOTO選手とBLAKE BAGGETT選手の2選手がカワサキマシンで出場した。
RYAN VILLOPOTOとKXF450
レース展開は「ダートヌポーツ」に詳しく投稿されているので、参考にご覧頂きたい。
フランスで開催された今回の Motocross of Nations レースの観客動員数は68,000人。
欧米で開催される競技の常として、自国の旗や代表ライダーに対するロイヤルティ性は日本にいると想像も出来ないほどの興奮状態になる。
世界モトクロス選手権を何度か見学した事があるが、マシン供給側にとってはどのチームであれ、カワサキの出場する選手が勝てばよいのだが、
欧米の観客にとっては、自国選手が勝てば良く、自国の旗が最上に掲げられたら良いのであって、自国に対するロイヤリティさは異常なほど露骨に出てくる。
この自国に対する忠誠心、愛国性は欧州人にとっては極普通のことだ。
処で、今回、各国の代表選手が採用したマシンを見て、気になったことがある。
KTMの出場台数が多くなっているのだ。
数年前のKTMはMXシーンに少し出てきたなとぐらいにしか思わなかったのだが、Pnca Cityレースでの60ccクラスの殆どがKTM一色だったので非常に気になっていた。
2011のFIMチャンピオンがKTMだった事もあり、改めてKTMの台数の多さを見ると、今後の伸長を予期させるものだ。
日本メーカーが予算縮小しているこの時期ほど、KTMにとっては絶好の機会だと思う。
「KTMのモトクロス車種の品揃え」はピカイチなので、ライダー支援を充実していけば、早晩KTMの世界の到来を予感させる。
それにしても、KTMの企業コンセプト「Ready to Race」は非常に明快で判り易い。
ところで、最終結果はこうだった。
1. USA, 26ポイント
2. France, 39
3. Australia, 44
4. Great Britain, 46
5. Belgium, 54
6. South Africa, 56
7. Germany, 68
8. Spain, 68
9. Netherlands, 81
10. Estonia, 86
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13. Japan, 98
日本チームは予選20位以内を何とか通過し、決勝は13位となった。
昨年の19位から13位だから若干の前進だが、過去、10位以内に入ったのは数回しかなく、世界的にみれば13位前後が日本選手の平均的実力なのだろう。
世界、特に欧米の選手が夫々の国で開催されるモトクロス大会で覇を争っている環境に比べれば、日本選手の実力の弱さが如実に出てしまう。
そして、その結果を単純に受け入れてしまう怖さが、残念ながらある。
このように、世界で戦えない日本選手を日本の開発メーカーが契約する理由付けをしっかりと考える必要があると思う。
日本の二輪販売会社がモータスポーツやその支援に全く興味を持たない日本のモータースポーツ界で、参加していく意義はどこにあるのだろう。
商業的価値の少ない環境では、技術開発において意義を見出すしかないのではなかろうか。
日本企業の開発中枢が日本にある限り、そして技術志向の極めて強い二輪を販売する限り、日本が開発の中枢を担う事が最も効率がよいはずだ。
日本選手と海外選手間の技量の差は歴然としている中で、日本選手の開発したマシン仕様が海外のトップ選手にそのまま適用できるはずもないが、
海外のトップライダーの意向や意見を咀嚼して日本での開発に反映していく事を地道に反映していく開発手法こそが日本選手の生きる道でもある。
モトクロスもロードレースも、周回タイムが一秒も違えば、要求されるマシン仕様は全く異なったものになる事は周知の事実だが、
開発の中枢に近い選手には、トップエンドが要求する性能を解釈する能力を備えている選手が多い場合がある。
前提となるのは、日本の開発ライダーは日本のトップライダーであることが必要である。
日本のHQが、日本の戦績が悪いのにも関わらず欧米のチームや選手にチャンピオンになることを要求する事ほど説得力の無いものはない。
だから、日本で開発を担う限りにおいては、全日本チャンピオン獲得が必須事項である。