夏休み時期を代表する野菜だった。
夏休みの朝は、
両親は果物の収穫で畑に行って留守だった。
たいてい冷えた味噌汁をご飯にかけた「汁かけ」を毎朝食べていた。
汁かけで足らない時は、さえんからナスビを取ってきて、塩もみににしておかずにしていた。
ナスビの塩もみは、子どもでも簡単にでき、出来あがるまで1分。
便利な野菜だった。
(父の話)
なすび
たいがい自家用としてつくりょうた。
だいしょう早く出せば金になりょうた。温室で早ぅ出して売ったこともある。じゃけどあれも肥をぼっこうせんとええのができんのじゃ。
朝、農協へもっていくにも手間がかかるし、重たぁばぁ。えっと銭にもららなんだ、それで止めた。
2002.8.5
父がナスビを商品として温室栽培をしていたのは、たぶん昭和50年頃と思われる。
稲作を止め、田んぼはトウガキ畑やイチゴ畑に変わっていった。その当時と思える。
「日本の伝統野菜」宮崎書店 板木弘明 2015年発行
なす
いろいろな形のなすが全国にあります
8世紀に日本に やってきました。
江戸時代にはすでに多くの品種があったようです。
漬けもの、煮もの、 焼きなすなどで食べるほか、
お盆の時期にはなすで作った馬を使い、霊の迎え送りをする風習も残っており、
いろいろな行事にも利用されてきた重要な野菜です。
さいばい
古くから栽培されているため、長卵形なす、長なす、大長なす、ボールのような丸なすなど、
いろいろな形のなすがあります。
「日本の風土食探訪 市川健夫 白水社 2003年発行
味が濃い丸茄子
丸茄子はかつて全国的に栽培されていた。
東京都下でも大正初期までつくられていた。
しかし丸茄子は晩成種で収穫期が短く生産量が少ないため、大量生産が不可欠な現代社会では敬遠されて、秋田・山形・福島・新潟・長野・京都などの府県に限られている。
「野菜まるごと辞典」 成美堂出版 2012年発行
ナス(茄子)
江戸時代の『農業全書』に「紫・白・青の三色あり、また長きあり丸きあり」と記述されているように、日本でも昔から多くの品種が栽培されていたようです。
漬物、蒸しもの、煮物、炒め物と幅広く使える野菜。
油との相性がよい。
「岡山の食風俗」 鶴藤鹿忠 岡山文庫 昭和52年発行
茄子
ナスともいうが、ナスビと呼ぶことが多い。
平安時代すでに栽培されていた。
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