しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

かぐや姫 (広島県竹原市)

2024年05月28日 | 旅と文学

おとぎ話の人物は、自称を含め縁の地は多い。
桃太郎さんは岡山・広島・香川に特に多い。
浦島太郎さんは日本全国、北から南まで数え切れず。
「かぐや姫」もまた、日本中に縁の地が多い。

広島県竹原市は「かぐや姫」の縁の町の一つ。
では、「竹原」と「かぐや姫」が何の関係があるのか?
といえば、それがよく分からない。
どうも”竹”原と、”竹から生れた”姫をこじつけたに過ぎないようだ。

 

 

旅の場所・広島県竹原市本町(竹原重伝建保存地区)
旅の日・2014.5.4 「たけ祭」 
書名・竹取物語
原作者・不明
現代訳・「日本の古典3・竹取物語・伊勢物語」 世界文化社  1974年発行

 


 

・・・

かぐや姫と竹取の翁


いまではもう遠い昔のこと。
竹取の翁とよばれる人があった。野や山にはいって竹を取っては、さまざまなことに使っていた。
竹取の翁のいつも取りにゆく竹の中に、根元の光る竹が一本あった。
あやしく思って寄ってみると、中が光っている。
見ると三寸(約一〇センチ)ほどの人が、たいそう愛らしい様子ではいっていた。

 

 

その愛らしいことといったら限りがない。
まことに幼いので、竹籠に入れて養育する。
竹取を生業としている竹取の翁は、この子を見つけてから後に竹を取ると、節を隔てた空洞ごとに黄金のある竹を見つけることが重なった。
翁はだんだん豊かになってゆく。

この幼児は、育てるうちに、みるみる大きく立派になった。
三か月ほどのうちに、人としてほどよい姿になったので、髪上げなどの儀をと考えて、 女のあかしの裳着の式を行った。
それからは帳の内から 外にだすこともなく、大切に養った。
この児の顔かたちの気高さ美しさは、世にまたとない。輝きわたる美しさに、家の内は暗い所を失って、光が満ちあふれた。


この児がすっかり成人したので、名をつけさせた。
「なよ竹のかぐや姫」とつけた。
この披露に三日を通しての宴を催した。 
歌舞管絃その他、さまざまな遊びをしてもてなした。
男たちをもだれかれなく招き集めて、たいそう豪勢な事だった。


・・・


さて、かぐや姫の姿形が、世にたぐいなくすぐれていることを御門がおききになって、
「よく見てまいるように」とおっしゃいましたので、伺うと、嫗はかぐや姫に、
「さあ早く、御門の御使いにおあいなさいませ」と言うと、かぐや姫は、
「とくべつにすぐれて美しい顔形ではございません。それなのにどうしてお目にかかれましょうか」と言う。
あおうとする気配はさらさらない。


「残念でございますが、この幼い者は強情者でございまして、おあいしそうにはございません」と申しあげる。

侍は、「必ず拝見してくるようにとの仰せがございました。
国王のご命令を、たしかにこの世に住んでおいでになる人が、お受けにならずにいらっしゃることができましょうか」
わけのわからない事をなさってはいけません」と、語調するどく言ったので、これを聞いたかぐや姫は、
なおさら納得するはずもない。「国王のご命令を背いたといって責められるのなら、早く私を殺してくださいませ」と言う。

 

 


かぐや姫は成人後、常にのように”わけのわからない事をなさって”いて、
悪く言えば異常で、わがまま。良く言えば妥協しない、筋を通す。
子どもの頃に紙芝居や絵本で見た、かわいらしい「かぐや姫」とは、たいそうな差を感じる。

 

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コメント
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