しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

~幾山河越え去り行かば~  (岡山県広島県・二本松の国境)

2024年05月02日 | 旅と文学

若山牧水は中国山地の麓、備後と備中の国境の宿で、この歌を詠んだ。
その宿も街道に沿った公園に再建されている。

牧水二本松公園は岡山県側になるが、
備後の東城から、国道182号線で約3分の距離。
国道の北側を旧道が通り、
今に往年を感じる町並みが残っている。

公園を訪れる人は、文化教室で短歌を習う人の聖地になっているようで、
老先生と老生徒が散策する姿を見ることがある。

高校生の頃、カール・ブッセの「山のあなたの空とおく」の日本版のように感じていたが、
今はブッセはブッセ、牧水は牧水と思えるようになった。

「幾山河 越えさり行かば 寂しさの 終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく」

 

 

旅の場所・岡山県新見市哲西町大竹 「 牧水二本松公園 」
旅の日・2022年5月18日
書名・「海の声」
作者・若山牧水
参考本・「若山牧水と哲西町」 哲西町 平成12年発行

 

 

(広島県東城・岡山県新見の県境)

 

「若山牧水と哲西町」 哲西町


明治四十年六月、木綿の白がすり着物に小倉の袴姿の一人の若い旅人が、岡山駅に降り立ちました。
自然を愛し、自然と融合することを歌風として多くの名歌を残した大歌人、若山 牧水の若き日の姿です。
当時、早稲田大学の学生だった若山牧水は、夏の休暇を利用して中国地方を旅しました。
郷里の宮崎県へ帰省する途中の旅でした。 
そのころ、宮崎県にはまだ鉄道が完全には通じていなかったので、故郷と東京を往復する時、牧水はいつも神戸と細島港間の汽船を利用していた のですが、
親友の詩人、有本芳水から、敬愛する田山花袋 が小説「蒲団」の主人公の故郷を新見にしたこと、 
高梁川の渓谷をほめていることを聞き、「渓谷を歩いて備中から備後に抜けてみると、きっといい歌ができるよ」と勧められ、
まだ見ぬ土地へ憧れ、陸路をとり岡山に立ち寄ることを決めたのです。

旅と自然と酒をこよなく愛し、旅の歌人、酒の歌人とも評された若山牧水。
四十三年という短い生涯のうち、日本全国、たくさんの場所を旅し、すばらしい歌を数多く残しています。
とりわけ、中国地方の旅は、牧水を語る時、はずすことのできない 最も重要な旅といえます。

 

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