◎ 午前6時半、いつものように朝刊を開き、山田風太郎さんの死を知った。2回にわたり、日記帳にとりあげさせていただが、はからずもその日(7月28日)に逝去され、昨日、近親者のみで密葬を行ったそうである。私は今朝から、関川夏央さんの『戦中派天才老人山田風太郎』を読んでいる。
◎ 山田風太郎さんの随筆は、朝日新聞の朝刊に連載されたものだから、「いや、驚いた。禁煙運動をちょっとひっかいてみたら、ゴウゴウたる非難の嵐だ。私としてはあらかじめ、『禁煙運動の理由は重々わかっているので、こちらも声を大にしていうわけではないが、何とやらにも三分の理があって』云々と煙幕を張っておいたのだが、そんな三分の理など耳に入らばこそのけんまくである。(P41~P42)」という事態を招いたのも当然であった。
それでも山田風太郎氏は黙っておらず、「シャーロック・ホームズはいつもパイプをくゆらし、コロンボはいつも安葉巻をくわえ、銭形平次はいつも煙管にたばこを詰めているということだ。それは架空の人物ではないか、といわれるかも知れないが、それだけ『考える人』の象徴的な姿として意味を持っている」と念を押した上で、半分の理由は「習慣だからやめられない。」としても、あと半分の理由を次のように述べている。
------私は愛煙家を鼓吹(こすい)するために、引かれ者の小唄のようなイチャモンをつけたのではない。いまやいろいろと老人病を発しつつある身体に、首吊り足をひっぱるように(その首吊り足は私自身なのだからこの形容はおかしいか?)盛大にたばこをのみ、酒を飲んでいるのは、どこかで長生きしたくない望みがあるせいじゃないかと思われるのである。~~73まで生きて、何を言っておるか!------
◎ 要するに、禁煙論者には「健康でいつまでも長生きしなければならない」とする前提があるから、著者は自らが「長生きしたくない望みがある」と表明することによって、一方的に議論を打ち切ってしまったのである。私は、これも立派な見識だと感心させられたのである。(SUNDAY.29.JULY.2001)
◎ 山田風太郎さんの随筆は、朝日新聞の朝刊に連載されたものだから、「いや、驚いた。禁煙運動をちょっとひっかいてみたら、ゴウゴウたる非難の嵐だ。私としてはあらかじめ、『禁煙運動の理由は重々わかっているので、こちらも声を大にしていうわけではないが、何とやらにも三分の理があって』云々と煙幕を張っておいたのだが、そんな三分の理など耳に入らばこそのけんまくである。(P41~P42)」という事態を招いたのも当然であった。
それでも山田風太郎氏は黙っておらず、「シャーロック・ホームズはいつもパイプをくゆらし、コロンボはいつも安葉巻をくわえ、銭形平次はいつも煙管にたばこを詰めているということだ。それは架空の人物ではないか、といわれるかも知れないが、それだけ『考える人』の象徴的な姿として意味を持っている」と念を押した上で、半分の理由は「習慣だからやめられない。」としても、あと半分の理由を次のように述べている。
------私は愛煙家を鼓吹(こすい)するために、引かれ者の小唄のようなイチャモンをつけたのではない。いまやいろいろと老人病を発しつつある身体に、首吊り足をひっぱるように(その首吊り足は私自身なのだからこの形容はおかしいか?)盛大にたばこをのみ、酒を飲んでいるのは、どこかで長生きしたくない望みがあるせいじゃないかと思われるのである。~~73まで生きて、何を言っておるか!------
◎ 要するに、禁煙論者には「健康でいつまでも長生きしなければならない」とする前提があるから、著者は自らが「長生きしたくない望みがある」と表明することによって、一方的に議論を打ち切ってしまったのである。私は、これも立派な見識だと感心させられたのである。(SUNDAY.29.JULY.2001)