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1Q84 Book3 たばこの出てくるシーン(5)完

2012年07月24日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」

村上春樹さんの小説から

368ページ  
そして前腕の内側を手のひらでごしごしとこすった。そこには静脈があおく浮かび上がっていた。あまり健康そうには見えない血管だ。酒と煙草と不規則な生活と文芸サロン的陰謀に、長年にわたって痛めつけられてきた血管だ。小松はハイボールの残りを一息で飲み、残った氷を宙でからからと振った。

370ページ  
小松はカウンターに向かって空グラスを上げ、三杯目のハイボールを注文した。新しい煙草を口にくわえた。

371ページ  
「でも小松さん、そうしようと思って、そんなにすんなりと元あった生活に復帰できると思いますか?」
「努力するしかあるまいよ」と小松は言った。そしてマッチを擦って煙草に火をつけた。「天吾くんには何か気にかかるところがあるのか?」

374ページ  
出勤の時間が終わると、アパートを出入りする人間はほとんどいなくなった。子供たちの賑やかな声も消えた。牛河はリモコンのシャッターを手から離し、壁にもたれてセブンスターを吸い、カーテンの隙間から玄関を眺めた。

376ページ  
ふかえりは通りに出ると、足早に駅の方に向かった。一度も後ろを振り返らなかった。牛河は日焼けしたカーテンの隙間からその後ろ姿を見送った。彼女の背中で左右に揺れる緑色のショルダーバッグが見えなくなると、床を這うようにカメラの前を離れ、壁にもたれた。そして体に正常な力が戻るのを待った。セブンスターを口にくわえ、ライターで火をつけた。煙を深々と吸い込んだ。しかし煙草には味がなかった。力はなかなか回復しなかった。

448ページ  
「うちの(安達クミの)お父さんは漁師だったの。 50歳になる前に死んじゃったけど」
「海で亡くなったの?」
「違う。肺癌で死んだ。煙草の吸いすぎ。なぜかは知らないけど、漁師ってみんなすごいヘビースモーカーなんだよ。身体中から煙をもくもく出してるみたいな」

458ページ  
サンドイッチを食べ終え、コーヒーを飲み終えると、牛河は頭を現実の位相に戻すために、煙草をゆっくり一本吸った。自分のここで何をやらなくてはならないのかを、頭の中で再確認した。

466ページ  
11時まで牛河は玄関の監視を続けた。それからひとつ大きくあくびをして、一日の仕事を終えることにした。ペットボトルの緑茶を飲み、クラッカーを何枚か食べ、煙草を一本吸った。洗面所で歯を磨くついでに、大きく舌を出して鏡に写してみた。

482ページ  
「うちのお父さんもここで焼かれたんだよ」と安達クミは言った。「一緒に来た人たちはみんな、ひっきりなしにタバコを吸っていた。おかげで天井のあたりにぽっかり雲が浮かんでいるみたいだった。なにしろそこにいるほとんどが漁師仲間だったからね」
天吾はその光景を想像した。日焼けした一群人々が、着慣れぬダークスーツに身を包み、みんなでせっせとタバコを吹かしている。そして肺癌で死んだ男を悼んでいる。
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1Q84 Book3 たばこの出てくるシーン(4)

2012年07月22日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」


⭕ 亀戸ホルモンで行列に並びました。そういえば、村上春樹さんの小説には「居酒屋」とか、ホルモン焼き屋さんの印象が薄く、今度は注意して読んでみようと思いました。

298ページ  小松は煙草を取り出し、口にくわえてマッチを擦った。目を細めて天吾の顔を見た。「そのあとふかえりは戎野先生のところに帰ったんだよ。あの二俣尾の山の上に」と彼は言った。

304ページ  「そういうことです。僕とふかえりとの間には肉体的な関係はありません」、天吾は相手の目を見ながらきっぱりとそういった。気分が嘘をついているという意識は天吾の中はなかった。「ならいいんだ」、小松はマルボロを口にくわえ、 目を細めマッチで火をつけた。「それがわかればいい」

304ページ それだけ言ってしまうと、小松は息をついてハイボールを飲んだ。そしてガラスの灰皿を手に取り、盲人が事物のかたちを詳しく確かめるときのように、長い指で注意深く表面を撫でた。

309ページ  そして煙草を吸いながら、プリントされた写真を床に並べて整理した。

311ページ  牛河はラジオを消し、セブンスターを一本吸った。煙を肺の奥まで吸い込み、ゆっくりと吐き出した。桃の缶詰の空き缶を灰皿代わりに使った。こんな生き方を続けていれば、死に方もたぶんろくなものではないはずだ。

318ページ  部屋に戻ってマフラーと帽子を取り、再びカメラの前に座った。風に吹かれた頬がすっかり冷たくなっていた。煙草を一本吸い、ミネラル・ウオーターを飲んだ。何か辛いものをたくさん食べたあとのように喉がひどく渇いた。

321ページ  結局その夕方は一枚の写真も撮らなかった。壁にもたれて目を閉じ、何本かセブンスターを吸い、また桃の缶詰を開けて食べた。

327ページ  牛河は電気ストーブをつけ、煙草を一本吸った。そして謎の集金人について推理を巡らせた。彼はなぜあのような挑発的なしゃべり方をしなくてもならないのか。

344ページ  「ーーー腹が減っていたから、全部残さず食べたよ。これも不思議なことだ。普段はあまり食欲がなくて、下手をすると食事をとるのも忘れるくらいだからね。飲み物は牛乳とミネラル・ウオーターだった。コーヒーも紅茶も出してもらえなかった。シングル・モルトも生ビールもなかった。煙草も駄目だった。まあしょうがない。リゾートホテルに静養に来たわけじゃないからな」
小松はそこで思い出したようにマルボロの赤い箱を取り出し、一本を口にくわえ、紙マッチで手をつけた。ゆっくり肺の奥まで吸い込み、吐き出し、それから顔をしかめた。

345ページ  小松は指の間で煙を上げる煙草をしばらく感慨深げに見つめ、それから灰皿に灰を落とした。
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1Q84 Book3 たばこの出てくるシーン(3)

2012年07月21日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」


村上春樹さんの小説から

171ページ ーーー安達クミは言った。「でも何とか無事に通関した。ねぇ、一緒に試してみようよ。純度が高くて効きもいいんだ。ちょっと調べてみたけど、医学的に見ても危険性はほとんどない。常習性がないとは言い切れないけど、煙草やお酒やコカインに比べれば遥かに弱いものだよ。依存症になるから危険だと司法当局は主張しているけど、ほとんどこじつけだね。そんなこと言ったらパチンコの方がよほど危険だ。二日酔いみたいなものもないし、天吾くんのアタマもよく発散すると思うな」

263ページ  リストはそれほど長いものにはならなかった。食料品と飲料水があればとりあえず用は足りる。望遠レンズ付きのカメラと三脚。あとはトイレット・ペーパーと登山用寝袋、携帯燃料、キャンプ用のコッフェル、果物ナイフ、缶切り、ゴミ袋、簡単な洗面用具、電気カミソリ、タオルを何枚か、懐中電灯、トランジスタ・ラジオ。最低限の着替え、煙草を1カートン。そんなところだ。

264ページ  写真の出来に不足はなかった。芸術性は求めたいが、とりあえず用は足りる。ーーー。煙草屋でセブンスターのカートンを買った。ーーー。そして玄関を監視しながら水を飲み、缶詰の桃を食べ、煙草を何本か吸った。

266ページ  あんパンをひとつ食べ、魔法瓶に入れて持ってきたコーヒーを蓋に注いで飲んだ。洗面台の蛇口をひねると、いつの間にか水道が出るようになっていた。彼は石鹸で顔を洗い、歯を磨き、長い小便をした。壁にもたれて煙草を吸った。ウイスキーが一口飲みたかったが、ここにいる間はアルコールは一切口にしないと決めていた。
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1Q84 Book3 たばこの出てくるシーン(2)

2012年07月19日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」


村上春樹さんの小説から

いい小説は、部分的な抜き書きだけでも、どこか緊張感が漂い面白く読める、と私は改めて思いました。

76ページ

「ほう、駆け込み寺ですか」と牛河は言って、老人にセブンスターを一本勧めた。老人は煙草を受け取り、牛河のライターで火をつけてもらい、いかにもうまそうに吸った。セブンスターもそれくらいうまそうに吸われると本望だろうと牛河は思った。

136~137ページ

「牛河さん」と相手は言った。そして何度か咳き込んだ。「申し訳ないんですが、煙草を消していただけませんか?」
「煙草?」、牛河は自分の指にはさまれたセブンスターを見た。その煙は静かに天井に向けて立ち上っていた。「ああ、たしかに煙草は吸っているけれど、でもこれは電話だよ。どうしてそんなことがわかるのかな」
「もちろん匂いはここまではきません。でもそういう息づかいを電話口で耳にしているだけで、呼吸が苦しくなるのです。極端なアレルギー体質なものですから」
「なるほど。そこまで気がつかなかった。申し訳なかった」
相手は幾度か咳払いをした。「いや、牛河さんのせいじゃありません。気がつかないのは当然です」
牛河は煙草を灰皿に押し付けて消し、その上から飲みかけていたお茶をかけた。席を立って窓を大きく開けまでした。「煙草はしっかり消したし、窓を開けて部屋の空気も入れ替えたよ。まぁ外の空気も大して清浄とはいえないけどね」
「申し訳ありません」

147ページ

青豆雅美は川奈天吾と同じ私立小学校に通っていた。生年月日からすると、学年もたぶん同じた。クラスが同じだったかどうか、調べてなくてはわからない。しかし二人が知り合いだった可能性は大いにある。牛河はセブンスターを口にくわえ、ライターで火をつけた。
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1Q84 Book3 たばこの出てくるシーン(1)

2012年07月17日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」


村上春樹さんの小説から

「1Q84 Book3」からは、たばこかセブンスターを中心にたくさん登場します。

11ページ  「煙草は吸わないでいただけますか、牛河さん」と背の低い方の男が言った。牛河はデスクをはさんで向かい合っている相手の顔をしばし眺め、それから自分の指に挟まれたセブンスターに目をやった。煙草には火はついていない。「申し訳ありませんが」と男あくまでも儀礼的に言い添えた。
男は顎を1センチほど上下させたが、視線はみじんも揺らがなかった。その焦点は牛河の目に固定されたままだ。牛河は煙草を箱に戻し、抽斗にしまった。

12ページ  「よくわかっておりますよ」と牛河は煙草のかわりに金色のライターを指でいじりまわしながら言った。「ぐずぐずしている暇はない。それは重々承知しております」

14ページ  牛河の手の中でライターが動き回るのを、穏田は辛抱強く見ていた。それから顔を上げた。

15ページ  牛河はライターを下に置き、デスクの上で両手の指を組み合わせた。「青豆という若い女性がホテル・オークラのスイートルームに呼ばれ、リーダーの筋肉ストレッチングを行った。---」

19ページ  牛河はそこで間を取り、指についた煙草の脂(やに)の色をいろんな角度から眺めて煙草のことを考えた。頭の中で煙草に火を点け、煙を吸い込む。そして吐き出す。

28ページ  牛河はもう一度ライターを手に取り、蓋を開け、具合を試すように火を点けた。そしてすぐに蓋を閉めた。

30ページ  それからセブンスターの箱を抽斗から取り出し、手に取り、一本出して口にくわえ、ライターで火を点けた。煙を大きく吸い込み、天井に向けて大きく吐き出した。

33ページ  牛河は短くなった煙草消し、しばらく考えに耽り、それが一段落したところで新しい煙草に火をつけた。ずいぶん前から肺癌になる可能性について思い惑わさないことに決めていた。考えを集中する日はニコチンの助けが必要だった。二三日先の運命だって知れたものでもない。 15年先の健康について思い煩う必要があるだろうか。三本目のセブンスターを吸っているときに、牛河はちょっとしたこと思いついた。これならうまく行くかもしれないな、と彼は思った。
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1Q84 Book2 における「たばこ」のシーンについて

2012年07月13日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」


私の記憶が正しければ、単行本一冊に、たばこのシーンは6か所だけでした。
少な過ぎかも知れませんが、「1Q84 Book3」では「これでもか!」ぐらいに増えます。

49ページ  「煙草を吸ってかまいませんでしょうか」と牛河は尋ねた。「どうぞ」と天吾は言った。そしてガラスの重い灰皿を彼の方に押しやった。牛河は上着のポケットからセブンスターの箱を取り出し、口にくわえ、金のライターで火をつけた。ほっそりとした高価そうなライターだった。

50ページ  牛河は煙を立ち上がらせる煙草を指に挟んだまま、目を細め天吾の顔を見ていた。「といいますと?」
「なるほど」と牛河は言った。そして煙を肺にたっぷりと吸い込み、いかにもうまそうに吐き出した。

51ページ  牛河は何度かうなずき、二口吸っただけの煙草を灰皿の中で惜しそうに揉み消した。「けっこうです。ご意向よくわかりました。川奈さんのご意思を尊重したいと思います。こちらこそお時間を取らせました。残念ですが、今日のところはあきらめて引き上げます。」

148ページ  一流のホテルらしく、隅々にまで気が配られている。食べ終わったルームサービスの食器がそのまま長くドアの前に放置されているようなことがない。エレベーターの前の灰皿には吸い殻一つない。花瓶に盛られた花はついさっき切られたばかりという新鮮な匂いを放っている。

318ページ  「我々の教団にはそれほど厳しい戒律があるわけではありません。酒と煙草は一応禁止されています。性的なものごとについての禁制もある程度あります。しかし食べ物については比較的自由です。普段は質素なものしか口にしませんが、コーヒーもハムサンド・イッチのとくに禁じられてはいません」

470ページ  フェイ・ダナウェイならおそらく、ここで細身のタバコを取り出して、その先端にライターでクールに火をつけるところだろう。優雅に目を細めて。しかし青豆は煙草を吸わないし、煙草もライターも持ち合わせていなかった。彼女のバックの中にあるのはレモン味の咳止めドロップぐらいだ。それにプラス、鋼鉄製の九ミリ自動拳銃、これまで何人かの男たちの首の後ろに打ち込まれてきた特製のアイスピック。どちらも煙草より致死的かもしれない。
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1Q84 Book1 (4月-6月) (下)

2012年07月12日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
村上春樹さんの小説から



前回の続きです。

250ページ  あゆみはそう言ってバッグからヴァージニア・スリムを取り出し、慣れた手つきで一本取り出して口にくわえ、細い金のライターで火をつけた。そして煙を天井に向けてゆっくりとはいた。

251ページ  あゆみは顔をしかめた。そして指の間に挟んだ細身の煙草を、しばし睨んでいた。

306ページ  そしてマルボロを口にくわえ、目を細め、店のマッチで火をつけた。ーーー小松は何も言わず、家の中でマッチ箱何度も裏返していた。「でもなあ、天吾くん、何はともあれ、ここまできたらお互いもう教えてやるしかないんだよ。ーーー」

399ページ   しかし大半の女性は、同じような目にあってきた他の女性と率直に体験を語り合い、関わり合うことを望んだ。ハウス内での飲酒と喫煙、そして許可のない人の出入りは禁止されているが、他にはこれといった制約はない。

466ページ  冬になると、小舍はかまどから出るいがらっぽい煙がいっぱいに立ち込め、そこで持ってきて、ギリヤーク人たちが、妻や子供に至るまで、タバコをふかすのである。

468ページ  彼らの間では明らかに、女性はタバコや綿布と同様、取引の対象となっているのである。
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1Q84 Book1 (4月-6月) (上)

2012年07月11日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
村上春樹さんの小説から



単行本「1Q84 Book1 (4月-6月)」に出てくる「たばこ」の記載を抜き書きしました。その際、iPadの音声入力を使い、スピードと正確さに驚かされました。

21ページ   右側には、うっすらと白くほこりをかぶった黒い三菱パジェロがいた。助手席に座った若い男は窓を開けて、退屈そうに煙草を吸っていた。

24ページ  他のドライバーたちはただ煙草をふかせ、まゆを軽くひそめ、彼女が側壁と車の間を迷いのない足取りで歩いていく姿を、眩しいものを見るような目で追っていた。

35ページ  小松は上着のポケットからマルボロの箱を取り出し、口に煙草をくわえ、店のマッチで火をつけた。それから腕時計にチラリと目をやった。

36ページ  そしていかにも興味なさそうに煙草の煙を吐き、口をすぼめた。しかし、小松との決して短くはないつきあいから、その見かけの表情には簡単に騙されないようになっていた。

37ページ  小松は灰皿に煙草を置き、右手の中指で鼻の脇をこすった。しかし天吾の問いかけに対しては返事をしなかった。

42ページ  手足が長く、指の先にニコチンのシミが付いている。 19世紀のロシア文学にでてくる革命家崩れのインテリゲンチャを思わせるところがある。

54ページ  小松は新しい煙草を取り出して火をつけた。

79ページ  小松はそこで効果的に間を置いた。煙草をくわえ、マッチで火をつける。電話を通して音を聞いているだけで、その光景がありありと目の前に浮かんだ。彼はライターを使わない。
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わかばのポイ捨て箱で禁断症状

2012年07月10日 | たばこのない日々
たばこを口にしなくなって、かれこれ4か月になります。

受動喫煙が美味しく感じる体質です。

周囲に喫煙者が多いのも気になりせん。

今朝、歩道橋で「わかば」のポイ捨て箱を見ました。

猛烈に、たばこを吸いたくなりました。

久しぶりの感覚でした。禁断症状かもしれません。
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