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たばこの似合う人になりたい

2007年08月09日 | たばこの気持ち
* たばこは、内外を問わず、「世間の嫌われもの」的な扱いを受けつつある。とくに、義務教育現場での指導よろしく、わが家においても中1の息子が「僕の前で、たばこを吸わないで!間接喫煙になるんだからね」と、まるで正義の味方のような口調である。
「お前な、わが家の生計を含め、お父さんは小さな頃からたばこにお世話になってきたのに、その言い草は何だ」と、ぶっとばしてやりたかったけれど、「いずれ吸うようになるはずだ。必ず吸わせてやる」と思い、じっと我慢した。というわけで、たばこの話である。(2001 06/27)

●  私はマイルドセブン・スーパーライトを1日に40本ほど吸っている。「のど越しがよい」という基準で選んでいるが、月に1~2箱ぐらいはショート・ホープやマールボロを吸うときもある。それは気分の問題であり、慣習性と移り気を前提にした嗜好品の特性でもあるのだろう。
しかし、WHO(世界保健機構)における「たばこ規制枠組み条約」に向けた動きでも明らかなように、たばこに関する風当たりは強くなるばかりである。

● 劇作家で演出家のつかこうへいさんは、無類のたばこ好きである。2001年1月30日の朝日新聞夕刊、ズームアップ「ともさかりえ」の中で、つかさんは彼女を「凛としたひと」と評していた。
1998年、つかさんがこの人のために書き下ろした「犬を使う女」での体験は、よっぽど強烈であったようであり、「千本ノック」「それまでの自分が何も役に立たず」「自分が裸になって無力感さえ覚えた」とのことである。そういえば、私もTVドラマでのともさかりえの演技や表情が変わってきた、と思ったことがある。
アイドル的に人気者になったタレント・歌手・役者でも、その多くは1~2年で消えていくが、人との出会いによって自分を磨き上げた者だけが生き残っているようだ。

● 私は10年以上も前に、東海道新幹線の食堂車(2000年に廃止)で、マネージャー、竹田くんと一緒のつかさんを近くで見たことがある。当時を振り返ると、映画「熱海殺人事件」のロケの帰りだったのだろう。
つかさんは通路側にマネージャーと並んで座っていた。テーブル越しに竹田くんが熱っぽく演技のことなどを話していたが、つかさんはハイライトを美味しそうに吸いながら、ツルンとした表情でそれを聞いていた。
つかさんの大ファンである私は、若いときから彼の発想に強く影響されてきた。実際に、そばで観察しながら、「コント役者である竹田くんに対しても威張ったところが全然なく、つかさんの人柄はいいなあ」と実感し、「サインを下さい」というような雰囲気ではなかったので、軽食をとったあと私は静かに退席した。

● それから、劇団で裏方をしている友人の激励をかねて新宿紀伊国屋ホールに演劇を見に出かけ、休憩時間に彼とたばこを吸いに喫煙コーナー行ったら、市川昆さんがいた(昨年のNHK連続ドラマ「オードリー」で題字を書いた人)。
灰皿の近くで、写真や映像を何度も見ていたとおり、欠けた前歯にたばこをはさみ、連れの人たちと談笑していた。
つかさんや市川さんは、たばこがよく似合う人だと思う。今、自宅にスキャナを購入し古い写真をパソコンに取り込んでいるが、私は若いころからたばこを手にして写っている写真が多いことに気づいた。つかさんや市川さんのように、たばこが似合う人間になりたいけれど、それは人格とも深く関わっていることなので、私の願いはとても叶いそうにない。
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