
←4日目(2017年8月15日)からの続き
今日はベオグラードの街とセルビアに別れを告げて、次の目的地であるブルガリアの首都ソフィアへと再び向かう。

ベオグラードからソフィアへの移動手段となるのが、国際列車BALKAN号。
…現在、バルカン半島では国際間の鉄道の運行系統が大幅に見直されており、このBALKAN号も夏季のみ運行の季節臨時列車である。
かつてはベオグラードからは旧ユーゴ各国や東欧各国そしてトルコへと向かう国際列車が多数運行されていたが、
現在は夜行列車は西欧のドイツ・スイス・オーストリア方面とハンガリー行き以外はほぼ全廃、昼行列車も季節ごとに臨時運行されるという不安定な状態となっている。

夏の臨時列車BALKAN号はベオグラード-ソフィアの首都間国際列車にも関わらず、2等車のみでたったの2両編成。
しかも客車は落書きだらけでかなりコンディションが悪い。
ヨーロッパの国際列車というと想像される優雅なコンパートメントの客室や食堂車での温かい食事は、到底期待出来そうにもない…

オンボロ国際列車BALKAN号の乗客は外国人観光客が中心で、それもバックパックを背負った若いツーリストが多い。
やっぱり地元の人は安くて便利な高速バスに、カネを持ってる層の旅行者は飛行機に乗るんだろうなぁ…


こちらがBALKAN号の客室。
落書きまみれで汚らしい外観に比べたら随分マシな印象。
全席指定で立ち席になる恐れもなく、冷房はないが窓が僅かに開くので、まぁそれなりに寛いでバルカン半島の旅路を過ごすことが出来そうだ。
列車はほぼ定刻の朝9時半にベオグラード駅を発車。夜8時過ぎのソフィア到着まで約11時間のバルカン半島横断の鉄道の旅の始まりだ。
途中、チトーのブルートレインの車庫の横を通ったりしながらベオグラードの街を離れていく。さようならベオグラード…

オンボロ列車の長旅の必需品、水とスナックとカメラと文庫本。
…ちょっとベタだがバックパッカーたちの旅のバイブル「深夜特急」は、実はユーゴスラヴィアを無視してギリシャから直接イタリアに渡ってしまうのだけれどもね(笑)

BALKAN号の車窓から。
何と最後尾のデッキは貫通扉が開けっ放しで、怖いけれど最高の展望車状態!


こちらは最前部、列車の先頭に立つ電気機関車との連結器がよく見える鉄道好きには堪らない絶景ポイント(笑)
喜んでずっと機関車を眺めていたら、車掌氏からも他の乗客からも不審そうな目で見られ始めたので退散…

小さな駅をいくつも通り過ぎる。


名も知らぬ駅にて。


のどかな農村風景を走る。


とうもろこし畑やひまわり畑が続くバルカン半島の農村をゆく鉄道の旅は、どこか宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」を想わせる…


セルビアとブルガリアの国境地帯ではローカル線のような非電化区間となり、列車はディーゼル機関車に牽かれて渓谷を走る。

ブルガリアに入ると真夏の日が暮れた…

21:15、定刻より1時間ばかり遅れてBALKAN号はソフィア駅に到着した。
…3日ぶりにソフィアに戻ってきたことになる。

そんなお久しぶりのソフィアの街でチェックインしたホテル・ブダペスト。
「なんかそんなタイトルの、ヘンテコなストーリーの映画があったなぁ…」などと思いつつ部屋に入ると、おお、オシャレできれいだ!

バスルームには大きなバスタブも完備で「やった、このホテルは当たりだぞ!」とご機嫌で風呂に浸かったのはよかったが…
何と、入浴後に栓を抜こうとしてもバスタブからお湯が流れ出ていかない!
慌てて身体を拭いて服を着込んでフロントに駆け込んだりしたので、せっかくの湯上がりでいい気分が台無しである。
「やれやれ、本当に『グランド・ブダペスト・ホテル』みたいなドタバタを演じることになった、なんてこったい!」
…でも、フロントのホテルマンがすぐに詫びて代わりの広い部屋を用意してくれたので、まぁ合格点(笑)

気分直しの夜食はキオスクで買った本場のブルガリアヨーグルト。
おやすみなさい…
→6日目(2017年8月17日)に続く
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