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雨雲を突き抜け、宇宙へ!「こうのとり」3号機/H-IIBロケット3号機打上げレポート

2012-07-22 | 宇宙
H-IIBロケット3号機リフトオフ数時間後の種子島宇宙センター大型ロケット発射場第2射点(左側)


平成24年7月21日
日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)を搭載したH-IIBロケット3号機が種子島宇宙センターから打上げられました。
今回の打上げは夏休みの初日の土曜日、しかも種子島まで高速船で日帰りできる時間帯ということもあって、かつてない数の見学者が島を訪れ大変な賑わいとなりました。でも、あいにく天候はすぐれず…
輝く青空に真っ白なロケットロードを残しての打上げとはなりませんでしたが、ともあれ僕も日帰り弾丸ツアーで三羽目のこうのとりの見送りに行って来ました「種子島・夏のロケット2012」です。

打上げ当日の夜明け前に熊本県八代の自宅を出発して、高速道路を走って九州を南下。
途中、宮崎と鹿児島の県境付近では凄まじい豪雨となり、通行止めすら懸念されるほどでしたが何とか朝6時には鹿児島本港南埠頭の高速船ターミナルに到着。


今朝の鹿児島市内は豪雨とまではいかないものの、雨が降り続く状態。
桜島も朝陽に照らされるどころか、厚い雨雲にすっぽりと覆い隠されています。
なんだかイヤな予感…
「この天候で、本当に飛べるんだろうか。今時点ではJAXAの打上げGO/NOGO判断ではGOが出ているようだけど…」

今日の朝一番の種子島行き高速船は満席。
僕も前もってネット予約で何とかチケットを確保しましたが、発売開始からわずか数分で売り切れてしまったようです。
本当に大勢の人がロケットを見に行くんですねぇ…
高速船ターミナルの待合室も種子島行きの乗客で大賑わい。あまりの混雑ぶりに、急遽非公開の臨時便も出されていたようです。

午前7時半頃、満席の乗客全員が船内に入るのに手間取ったようで若干遅れて種子島行き高速船トッピーは出港。
僕は深夜の豪雨山越えドライブの疲れを取るために、すぐに仮眠モードに入ります。1時間半ばかりぐっすり眠って、目覚めるともう種子島・西之表港に入港。急いで下船して、港のバス停から島を南下する路線バスに乗車。


路線バスもロケット見学の乗客が殺到することを見越して、いつもの小さなバスから大型のスクールバス専用車に変更した上に台数を2台に増やして対応してくれていました。
運賃表もロケット打上げの公式見学場所「長谷展望公園」最寄りの長谷バス停までの運賃を大きく掲示して、さながらロケット見学者専用バス状態です(笑)
途中のバス停で乗り降りする地元のお客さんはびっくりしたろうなぁ…


路線バスからの車窓も、厚くたれこめた雲から雨がそぼ降る状況が続きます。
晴れていれば気持ちのいい青い海も、今日はどんより。

西之表から約1時間で、長谷バス停に到着。
ここで下車して長谷展望公園まで歩きますが、延々と見学者の自家用車が渋滞の車列となり、その横を徒歩の見学者が行列で歩く状態。
数年前の皆既日食の時も、ここまで人が多くなかったような。


公式見学場所の長谷展望公園に到着しましたが、既にこの状況。人多過ぎ です!
しかも雨が降り続いているので、傘や雨具を装着することになってますます混みあう感じ。
いつもは、ここは広々とした芝生広場にみんなで並んで立ってのんびりと打上げを見られる場所だったんですけどねぇ…

長谷展望公園で、Twitter宇宙クラスタのお友達H先生ご一家と遭遇。
先生のお子さんと「こうのとりの絵本」を読んだりして遊びながら、一緒に打上げを待ちます。もう、あと30分ほどでリフトオフです!


長谷展望公園からは大型ロケット発射場第2射点に立つH-IIBロケット3号機がこのように見えます。
太い2発クラスタロケットエンジンの第一段に個体ロケットブースターを4発束ねた日本最大最強のH-IIBロケットの雄姿です。
長谷展望公園から見るとH-IIAロケットが使用する第1射点は大型ロケット組立棟(VAB)の陰に半分隠れてしまいますが、第2射点はきれいにロケットの全景を見ることができます。

午前11時頃、よりによって打上げ間近になってから雨脚が強まって来ました。
「なんて酷い悪条件での打上げだ…」
ふと、リフトオフ6分前に悪天候で打上げが急遽中止・延期されたH-IIAロケット17号機「あかつき」「イカロス」のことが脳裏に浮かび、不安な気分に…

それでも、僕の不安をよそに打上げカウントダウンは粛々と進みます。
雨の中、ついに打上げ10秒前!9・8・7…


打上げ6秒前、観衆から「おおー!!」と歓声が上がります。
目の前に大勢の人がいたのでよく見えませんでしたが、2発のメインエンジンLE-7Aに火が入ったようです。

5・4・3・2・1…リフトオフ!


平成24年7月21日11時06分18秒(日本標準時)、
「こうのとり」3号機を載せたH-IIBロケット3号機は飛び立ちました!

…そして約10秒後、H-IIBは真っ赤な噴射炎と共に大型ロケット発射場上空に低くたれこめた雨雲に突入、視界から姿を消しました。
その直後、雲の向こうから種子島の大地を揺さぶる重低音の衝撃波が降って来ました。


ロケット雲も雨と風に溶けて瞬く間に消えていきます。
三羽目のこうのとりは荒天をものともせず、あっという間に飛び去って行きました。
今までに種子島で数々のロケット打上げを見送りましたが、最もあっけない印象の打上げだった気がしました。

打上げ後は、長谷展望公園から引き上げて帰る見学者の自家用車で道路は大渋滞。
長谷バス停までH先生にクルマで送って頂き、さてバスに乗って西之表の港に戻ろうか…と思っていたら、ここでまた別の宇宙クラスタ仲間と遭遇(今日は、島中に宇宙仲間が居るはずだからねぇ)。
一緒にレンタカーに乗せてもらい、ロケット打上げに伴う立ち入り規制が解除されたばかりの種子島宇宙センターを見に行く事に。


種子島宇宙センター内・ロケットの丘展望所から望む大型ロケット発射場。


つい数時間前まで、あの移動発射台の上にH-IIBロケット3号機がいたんですねぇ…
よく見ると、「こうのとり」3号機ミッションロゴのペイントの横がちょっと焦げてるような。H-IIBの猛烈な噴射炎に炙られたんでしょうね。


大崎射点(中型ロケット発射場)にも行ってみました。
昨夜は、ここから移動発射台に乗ったH-IIBロケットがVABから第2射点へと機体移動する様子を撮影しようという多くの人で大変な賑わいだったそうです。
夜の機体移動、見てみたかったな。

種子島宇宙センターをあちこち見て回ってから西之表の町まで送ってもらい、皆で打上げ祝いのカレーを食べてから解散。
最終の鹿児島行き高速船ロケットに乗って島を離れます。
さらば種子島。また来るよ!…そして、この次は晴れた空にロケットが飛びますように。


鹿児島本港に戻ってくると、何と空は晴れ上がりきれいな夕焼けが…
「あと半日早く晴れてよ!ったくもう!!」

鹿児島でも、今日は仕事の都合で惜しくも種子島に行けなかったという宇宙クラスタ仲間のmatteruyk氏に出迎えられ、一緒に祝杯を(アルコールは抜きで)上げました。
H-IIBロケット3号機の打上げの成功おめでとう、カンパ~イ!!
このまま無事に国際宇宙ステーションに辿り着けよ、「こうのとり」3号機!!


H-IIBロケット3号機による
宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の打上げ結果について

(JAXAプレスリリース 平成24年7月21日)

H-IIBロケット3号機 第2段制御落下実験の結果について
(JAXAプレスリリース 平成24年7月21日)

…さて、H-IIBロケット3号機の打上げ成功で華々しく始まった今年の宇宙の夏ですが、
僕は今週水曜日の夜から今度は“例大祭” ことJAXA相模原キャンパス特別公開2012に参戦すべく出発します。
以前に的川先生と約束していた「はやぶさに乗ってはやぶさの聖地に行く」 を数年ぶりに果たす為に、熊本から鹿児島・青森経由で相模原を目指しますよ。
今年も、熱い夏になりそうだ…