福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

何で病院の外来はこんなに待ち時間が長いのですか??(1)真面目に考えると 

2006年07月12日 06時19分19秒 | 医療、医学
 院内各所に設置してある投書箱には「患者さんの声」としていろいろな意見が寄せられるが、やはり待ち時間に関連するものは少なくない。● は最近の投書にあった意見、◎は玄関ホールに掲示した返事である。

●「乳腺外来を受診しております。たいへん親切に応対していただいておりますが、待ち時間が長いので善処をお願いします。(外来患者)」。
◎「乳腺内分泌外来は、朝の検査(エコー、マンモグラフィ)が混雑するため、とくに待ち時間が長くなっており、患者さんに大変ご迷惑をおかけしております。
 4月からは、朝の検査の待ち時間短縮のため、午前の診察時間を「前半」と「後半」に分ける等工夫をして検査時間を調整しております。また、エコーについては診察日とは別の日に予約で検査を受けられるようにしております。
 以上のように、私どもも待ち時間の長さについては心をいためており、待ち時間短縮の工夫をいろいろ試みておりますが、まだまだ十分とはいえません。いま、予約制などについても検討中ですので、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。2006/7院長」

 外来の待ち時間については私共も本当に心を痛めている。何故待ち時間が長くなるかというと、理由は簡単で、医師一人あたりの患者数が限界を越えているからである。また、投書にあったように「たいへん親切に応対している」と評価を戴くのはとても嬉しいことであるが、これでも当然待ち時間は長くなる。
 診療スタッフをもっと外来に投入できれば解決するだろうが、病院は多くの入院患者も抱えており、むしろ入院医療の方が主体だから、外来にこれ以上のマンパワーを割くのは出来ない、という事情もある。

 「予約制導入」は待ち時間解消のために有用な方法であるが、妙薬とはなり得ない。複雑な病態を持つ患者が集まる診療科では予定通り診察が進行せず、時間あたりの診察できる患者数がむしろ減少する。患者にも新たな不満が生じてくるし、診察中の医師にとっても診察時間の遅れ、外来終了時間が遅くなることは大きな心理的ストレスになる。受け持ちの入院患者が不調だったり、外来終了後に手術ほかの予定を組んでいる様なときは診察医の立場、心理状況は地獄と化す。
 また、予約外に訪れた患者を断るわけに行かないから診察する医師が別に必要になるなど、病院側の負荷はむしろ増える。

 待ち時間が長くなる要因に患者の「待ち時間は出来るだけ短く。でも、自分の診察時間は出来るだけ長く」という患者の矛盾した欲求もある。診察としてはもう終了しているのにいろいろ相談事を並べてなかなか椅子から立たない患者もいて、診察を終わらせるために払う医師の苦労も大変なものである。

 上記の如く、病院の外来診療は患者にとっても大変なことは分かるが、医師にとっても大きなストレスの場である。この辺のことは、しかしながら、なかなかご理解いただけない。私にとっても、火水木の予約外来はとても大変である。
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