福田の雑記帖

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今年の「高校生一日医師体験」は、県の医師対策の企画として実施

2007年08月28日 07時43分45秒 | 秋田の話題
 私どもの病院では毎年「高校生一日医師体験」を行っており、県内の高校から毎回10数名の高校生が参加している。この企画は、開かれた医療機関として法人及び病院の医療活動を社会にアピールする一方、医師を目指している高校生が、病院を見学し、医師やスタッフ達の仕事を見学し、一部を模擬体験することで、目指す方向をより明確に強固にしてもらう、という趣旨と目的で行われている。

 昨年まで7回施行されたが、8回目の今年は病院独自の企画ではなく、県の医師確保総合対策の一環としての事業に協力するという形で実施した。

 秋田県の絶対的医師不足、偏在の解消は喫緊の課題であるが、対策としてそれほど決定的、速効性のある名案があるわけではない。県は国の指示や他県の試み、医師会、各病院からの提言等を受け、「医師確保総合計画」として種々の試みや対策を行っている。

 平成19年度に県が挙げた事業は、■地域医療従事医師修学資金等貸与事業、■夢実現・ドクターセミナー開催事業、■臨床研修対策支援事業、■医師登録紹介・広報事業、■医師リクルート強化緊急事業、■産科等医療体制特別対策事業、■県職員採用医師派遣事業、である。

 このうち、「夢実現・ドクターセミナー開催事業」は当院で行ってきた「高校生一日医師体験」とほぼ同様の内容の試みであり、県が今年から事業として開始したもので、7月-8月にかけて県内4病院で実施した。今年の協力病院は、県北は大館市立総合病院、中央地区では当院と市立秋田総合病院、県南地区では平鹿総合病院である。

 当院では8月3日と7日に行われ34人が参加した。参加者は院内の各職場を回り、医師だけでなく、コ・メディカルの脇でその仕事内容も見学した。また、医師、看護師によるミニ講演、手術見学、心電図検査やギプス巻きの模擬体験、医師との懇談も行われた。

 当院が行ってきた「高校生一日医師体験」は高校の指導教諭からも、参加者からも評価は高く、参加した高校生は高頻度に医学部を志望しており、秋田県人の医師養成に貢献している。秋田大学が関東、関西圏出身者の医師養成所化し、加えて、新臨床研修制度のもとで従来よりは遥かに自由に研修先を選べることから秋大卒生の秋田県への定着率は低い。これは早急に対策を講じなければならないが、この一環として秋田県人から医師を養成する企画の意義は決して小さくない。

 この「高校生一日医師体験」の企画が高校生の進路決定により前向きに寄与していることは今までの感触、実績から明らかである。一人前の医師に養成するには時間はかかるが、このような地道な努力が必要だと思う。

 秋田県の医療は秋田県民が守るのだ、地域で医師を育てるのだ、と言う視点が医療関係者のみならず県民にも重要だと思う。
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