わ! かった陶芸 (明窓窯)

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続 釉(薬)について6 (熔ける温度とは)

2018-03-16 21:52:26 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
釉はガラス質と述べましたが、それには三様の状態を呈します。

即ち、透明釉とマット(艶消し)釉、乳濁(白濁)釉です。後者を失透明釉と呼ぶ事もあります。

1) 釉として使用できるのは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)成分の割合によって決まります。

 (以上が前回の話です。)

釉として重要な条件の一つとして、熔ける温度が挙げられます。

釉の主成分であるアルミナ(カリ、正長石)の融点は約1200℃で、シリカ(珪酸)の融点は1685℃

です。それ故一般の焼成温度1200~1300℃では、熔けない事になります。熔け易くする為に、

アルカリ成分を添加します。

釉には、作品の表面を被服する為に、各々最適な温度又は温度範囲があります。

当然、磁器や、陶器、楽焼の場合では、釉の熔ける温度に違いがあります。

更に、結晶を成長させる温度や、窯変を起こす為の釉の温度等、釉の温度管理は重要に成ります。

これらを熔かすには熔融剤(フラックス)が必要になります。

2) 釉を熔かし易くするのは、アルカリ成分です。

 ① アルカリ成分には以下の物質があります。

  ⅰ) 酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、石灰石(炭酸カルシウムCaCo3)、

   酸化マグネシウム(MgO)、硼酸(酸化バリウム)、炭酸バリウム(BaCo3)、炭酸リシウム

   (Li2CO3)、酸化ストロンチウム(Sr)等です。

  ⅱ) アルカリ成分は二種以上又はそれ以上の種類を使うと、より強力な熔剤となります。

   更に、アルカリは、釉の流動性を増し、顔料の発色を促進する重要な働きも有ります。

  ⅲ) カリは長石釉では最も多く使われます。福島長石(正長石=カリ長石)が多く利用される為

   です。尚、カリはソーダ(ナトリウム)と置換出来ます。但し、その作用はほとんど同じですが、

   カリはソーダより、熔け易い釉となり、光沢も優れます。

   但し石灰をカリやソーダに置換すると、貫入が増加する傾向があります。

   特にソーダは熱膨張率が最大級の為、素地より釉の膨張が大きく貫入が入り易いです。

  ⅳ) リチウムは最近多く使われています。

   これは釉の光沢と機械的強度を増し、風化に対して強い抵抗性を持つからです。 

  ⅴ) マグネシア源として、マグネサイト、ドロマイト、滑石などがあります。

   ドロマイトはマグネシアと石灰の化合物で、安価な為、貫入防止剤として使用します。

   滑石は「ひび釉」を作るのに利用されます。少量添加すると光沢を増しますが、8~20%

   添加すると、艶消釉になります。

  ⅵ) ストロンチウムは石灰釉よりも発色を良くします。更に石灰やバリウムと置換すると素地

   との密着度を良くし、引っ掻き強度を増しますので、食器などに利用されています。但し、

   高価なので、利用する価値があるか効果の確認が必要です。  

② その他の熔融剤

  亜鉛華(酸化亜鉛)、第二酸化鉄(弁柄)も釉を熔け易くする働きが有ります。

  亜鉛華は多量に添加すると、乳濁剤としても用いられます。又結晶釉を作る時にも添加します。

  尚、結晶釉に付いては後日お話する予定です。

③ 釉を熔け易くするには、焼成温度を上昇させるか、寝らし時間を長くすれば良いのですが、

  個々の釉の熔ける温度を調整するのは、アルカリ成分の種類と量を調節しているのが現状です。
 

以下次回に続きます。
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