わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 ぐい呑み 1

2010-06-27 21:20:17 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
徳利と「ぐい呑み」は、セットに成って、使われます。

 ・ 「ぐい呑み」の名称は、酒をぐいと、一口に飲める杯から、来ています。

   大型の猪口(ちょこ)の事で、猪口よりは大きく、湯飲みよりは、小さい器を指します。

   片手で持ち、肉厚のやや重い、「どっしりした」形の物も、あります。

 ・ 大きさや価格が、手ごろで、素材や形が、色々ある為、「コレクション」にする愛好者も多いです。

   又、焼き物の、道楽の第一歩(入門)にも、適すしています。

 ・ 杯(さかずき)が、5客揃っているのに比べて、「ぐい呑み」は原則一個づつ、異なった器です。

   茶懐石の席では、趣の異なった、各種の「ぐい呑み」を、客に自由に選ばせます。

 ・ 「ぐい呑み」自体が、鑑賞や話題となり、酒の肴になる器でもあります。

 ・ 小さな物ですが、抹茶々碗と同様に、形や大きさ、色彩など、工夫が凝らされている物が多く

   それなりの、値段になる(高価)物も、多いです。

 ・ 徳利に入った酒(日本酒)は、一般に陶磁器製の「ぐい呑み」(石杯)で、頂きます。

   焼き物以外では、木製、漆器、ガラス製などが有ります。

 ・ 「ぐい呑み」には、数物と一品物が有ります。

   数物は、一式5客で、同じ大きさで、同じ紋様が施されています。

   一品物は、一個一個に特徴があり、それぞれ違った形と、大きさで、更に、色も千差万別です。

 ・ 「ぐい呑み」の、入る量にも、決まりは有りません。

1) ぐい呑みの形と、大きさ

  碗形、筒形、平形、四方形、六角形、分銅形、蕎麦猪口形、馬上杯などの、形があり、大きさも

  色々あります。

  ・ 一般に径は、5~7cm、高さは、5.5~6.5cm程度が多く、この程度が、使い易い大きさ

    だと思われます。 但し、馬上杯(後述)は、やや高めに、成ります。

2) 代表的な産地は、美濃焼き(志野、黄瀬戸、織部)、唐津焼き(絵、斑、皮鯨手)、備前焼き、

   古九谷焼(鍋島焼)などです。

  ・ 無釉の焼き締めは、使うほど、酒が器に除々に、浸み込み、艶と色が変化して行きます。

 ① 黄瀬戸の「ぐい呑み」は、六角形が基本です。(丸い物も有りますが・・)

   手捻り(タタラや玉作り)で造るか、轆轤挽き後、六角に変形させます。

 ② 唐津焼き。 桃山時代の「ぐい呑み」が、今でも多く存在しています。(特に、斑唐津)

   それだけ、茶人に人気が有り、多く作られていた為と、思われます。
 
   ・ 慶長形式と呼ばれる物は、口縁を、意識的にやや強く、歪ませてあるのが、特徴で、皮鯨手の

     技法を取っています。

   ・ 皮鯨手(かわくじらて)とは、唐津焼きの技法で、口縁に掛かった、釉の色が、鯨の皮に

     似ている為に、付けられました。

     実際には、素焼後に、口に弁柄などの、鉄を塗ってから、唐津釉で施釉した物です。

  ③ 鍋島焼は、江戸時代に、伊万里焼を、領有する鍋島藩が、伊万里焼の技術を使い、将軍家や、

    各地の大名への献上品を、焼かせた物で、染付けや、色絵の磁器です。

    (特にこれを、色鍋島と言います。)

    デザインには、絵画調、幾何学文様、図案化された物などが、有ります。

  ④ 織部焼、備前焼の伝来品は、数が少ない様です。

    備前の徳利が多いのに、「ぐい呑み」が少ないのには、少々驚きです。

以下次回に続来ます。 

ぐい呑み
 
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