轆轤で練込み模様を作る際、練込みした色土を筒状に積み上げ、成形させて作品を作るのが
普通です。それ故、どの様に練込みした土を筒状にするかによって、作品の模様も大きく変わります。
4) 鶉(うずら)文や矢羽文の作品を作る。
板状の鶉文や矢羽文を作り、筒に巻いて形を作ります。作品は壷類などや鉢などが多い様です。
① 鶉文や矢羽文の板(タタラ)を作る。
鶉(うずいら)はキジ科の鳥で、全長約20cm位、全体に茶色で黄白色の縦斑と黒斑とがあり、
草原に住み地上を歩き回ります。食用になる鶉の卵が有名です。
鶉文とは、鶉の羽の様に茶褐色に黒白の斑紋(まだらもん)がある模様を言います。
但し、白黒や茶色の色土で仕上げる必要はありません。単に模様が似ているだけです。
) 鶉文も矢羽文も作り方はほぼ同じで、色土の切り方の差によります。
) 作り方は次の通りです。
a) 数種類の色土を積み上げる。
タタラ状にした色土を順番に重ねて積み上げます。しっかり圧接して各土が離れ無い様に
します。二個の角材などを利用して、色土の塊を平行にプレスします。
b) 色土を厚みが8~10mm程度に糸でスライスし、タタラ状にします。
この段階で更に圧接します。その際、ビニールの風呂敷の上に色土を置きます。
圧接すると面積が縮みますが、ビニールが有ると、床に着かずに自由に移動できます。
ビニールはそのままにしておき、次の工程で役立たせます。
c) 不揃いの耳を定規を当てて、剣先や針、カッター等で切り落とします。
d) 細長い平らな棒を定規にして、「竹へら」で等間隔(1~2cm程度)に切ていきます。
その際、一方向(上から下へ)にのみ切ると鶉文になります。又上から下、下から上へと
交互に切ていくと矢羽文になります。即ち、軟らかい色土を「竹へら」で切ると、切り口は
「竹へら」を引いた方向(動かした方向)に伸ばされ変形します。切れ過ぎる刃物では上手く
模様に成りません。
・ 鶉文は連続した蒲鉾(かまぼこ)形になりますし、矢羽文は「Vの字形」になります。
e) 円筒に巻き付け円筒形の色土を作る。
イ) 円筒を用意し、その筒を一回りする大きさに、上記色土を切り取ります。
但し円筒の太さは、片手が入る程度は必要です。
ロ) 円筒には紙を巻いて、くっつのを予防します。
ハ) ビニールを外側にして、海苔巻きの要領で、筒に巻き付けます。
合わせ目はしっかり接着して押さえます。次に出来た筒状の色土を手轆轤上に立て、
中の筒を垂直に引き上げます。中の紙は筒中にあると思いますが、これは紙の一端を
摘み、手轆轤を回転させれば簡単に取り除く事が出来ます。
f) 電動轆轤などを使い、作品の底を轆轤挽きします。形は凹形にしその外径は上記筒の
外径に合わせます。底の部分に色土の筒を嵌め込みます。底と良く接着させる為に、内外
から土同士を締めます。
h) 轆轤挽きを行う。
色土が垂直である事を確認したら、轆轤挽きを行います。筒状の物の胴部分を広げ直径を
大きくして、徐々に膨らませ形を作ります。模様は轆轤回転とは反対方向に捩れながら
横に倒れるます。轆轤の回転スピードと、轆轤挽きの時間の長さによって模様が変化します
ので、なるべく手早く轆轤挽きを行うと良い結果が得られます。
i) 形が出来たら削れる程度に乾燥させた後(生渇き状態)、カンナで削って模様を出します。
削る際、口縁に手が入れば内側からも支えられ、作業がやり易いです。
電動轆轤を手回し轆轤の様に使い、ゆっくり回転させ模様の出具合を確かめながら削ります
j) 削り終えた作品は時間を掛けて徐々に乾燥させます。急な乾燥は土同士の接着を弱め、
境目に割れが発生します。その後素焼きし、透明釉を掛けて本焼きします。
この工程で一番の楽しみは、削り出しで模様が現れる瞬間です。どの様な模様になっているかは
削り作業で初めて確認できるからです。
以下次回に続きます。
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