ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

生死

2010年06月25日 | お家狂想曲
旦那の友人にタラブという女性がいる。
旦那が鍼灸師になる!と決心し、鍼灸学校に通っていた三年間、彼と苦学を共にした大ベテランのマッサージ師さん。
年はわたしより十年ちょっと上になるから、旦那からしてみればもう母親に近い。
なので、医学用語や知識を詰め込まなくてはならない学校の授業やテストはかなり苦痛を伴うものになった。
分厚い専門書を何冊も抱え、それを一日中読んでいた旦那でさえ、国家試験や州の認定試験を通るのが難しかった。
彼女はその、最後の最後のところでつまずき、結局は正式に鍼灸師になれないまま今に至っている。
けれども彼女は、それはすばらしいマッサージ師で、彼女のファンも大勢いる。
彼女のご主人ハーブは美術家で、曼荼羅を生涯のテーマにして作品を作り続けながら、子供達の美術教育に心血を注いでいる。
そのご主人がつい最近、肺がんにかかっていることがわかった。かなり進行している。
ショックだったけれど、彼は教育者なので、このアメリカにしてはとても質のいい健康保険を持っていて、なのでいい治療を安く受けられる。
この国に暮らしていて、それが可能なのは大いに救いだ。
だからわたし達はとにかく、看病疲れが出てきているタラブを励ましながら、彼の様子も見守っていこうと思っていた。

その矢先、旦那の仕事仲間の女性から電話がかかってきた。「タラブが大変なの!死にかけてたの!」と。
え?だれ?ハーブじゃなくてタラブ?
混乱した旦那はハーブに早速電話をかけた。

突然の腹痛に見舞われたタラブは、まずこの地域周辺では評判のいい『セイント・バーナバス』という病院に駆け込んだ。
彼女はいろいろと痛みについて訴えるのだけど、その病院の医師はスキャンをせずに、彼女に飲み薬を与えた。
けれども痛みは一向に収まらず、それどころか別の場所にどんどん移動していっているので、ハーブは決意して、彼女を別の病院に連れて行った。
わたし達が住んでいた前の家のすぐ近くの『マウンテンサイド』という病院で、わたし達が入っていた保険では行けなかった、わたし達にとっては幻の病院だ。
すぐにスキャンやMIRを使った詳しい検査が行われ、彼女はあと半時間もしないうちに死ぬところだった?!という状態だったことが判明した。
原因不明の菌の感染が進んでいて、それが腸の壁も突き破り、内臓のあちこちを犯していたらしい。

旦那は見舞いに行き、彼女が本当に、死の間際まで引きずられていたことをまざまざと見せつけられて、大きなショックを受けた。
人は、こんな目にも遭う。そうして、ほんのわずかな決心のズレで、命を奪われてしまう。
今日はわたしもお見舞いに行こうと思う。
少しでもいい『気』を彼女に分けられるよう、庭の命の写真を撮ろう。
 
この夏用に買った吊り花。小さな白い花が可愛らしかったので。


「もうちょっときれいに咲いてる時に撮ってよぉ~」と、文句を言いたげなブリエッタ。


昨日、お水やりをサボっていて、かなり弱らせてしまった。ごめん!


ハエのデートを優しく見守るユリ。


つぼみが柔らかになって出てきたムクゲの花びら。


今年は去年より粒が少し大きいような気がする。


形はちょっと歪だけれどリンゴ。少しだけピンクに色づくと食べごろ?


まるで雑草のようなハーブ達。



みんな、わたしに力をおくれ!