まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

デスバレー幽遊白書

2016-07-05 | フランス、ベルギー映画
 フランス映画祭②
 「愛と死の谷」
 イザベルは、俳優の元夫ジェラールとカリフォルニアのデスバレーで再会。会いたければ指定した時間と場所に二人で来るように、という自殺した息子の遺書に従う元夫婦だったが…
 不思議な映画でした。でも面白かったです。
 ほとんど主役の元夫婦しか出てこない、彼らの会話劇。謎の遺書を遺して自殺した息子のことで、言い争ったり反省し合ったり、慰め合って優しい気持ちになった次の瞬間には、刺々しく辛辣になったり。様々な複雑な感情をぶつけ合う元夫婦。ユニークだったのは、死と愛の喪失というテーマだから重く暗い映画になりそうなのに、何かそこはかとなく笑えるところ。厳密には喜劇ではないのですが、二人の激しくも噛み合わないやりとりは、悲痛さよりも滑稽さのほうが濃厚だったような。これはもう、35年ぶりの共演だというイザベル・ユペールとジェラール・ドパルデュ-の、絶妙すぎる演技と個性の成せるワザ。二人の珍妙な掛け合いは、まるでツッコミなしの両者ボケ夫婦漫才みたいです。

 イザベル・ユペールは、他の作品に比べると多弁でエモーショナル。相変わらず嵐の前の静けさのような不穏さを常に湛えてるのですが、最近の彼女の持ち味である“ニヒルにトボけてる”が、今回も絶品でした。前夫のやることなすことにケチをつけ、何でも悪いほうにとる歪み、攻撃的なネガティヴさが、ネチネチ陰湿じゃなく、ホントはどーでもいいのよみたいな投げやりな感じで笑えた。コワレる?コワレない?な、理性がギリギリ状態演技も、ヤバさ満点です。

 クールで狂気的だけど、すっとぼけてもいるユペりんは、今や世界随一の独特女優として敵なし状態。灼熱の砂漠にいても、汗くささなど微塵も感じさせない冷ややかさ、フランス女優らしいシックさが素敵でした。シンプルなワンピースとかシャツが、ほんとセンス抜群!小柄で華奢なので、すごく可愛らしくも見えます。英語の台詞も多く、フランス語同様フツーにペラペラ喋ってたのもカッコよかったです。
 そしてジェラドパ…反則的な、ほとんど出オチな見た目!太りすぎ~!メタボなんてレベルじゃない。どこの相撲部屋の親方だよ?!みたいな。トランクス一丁姿は、おそ松くんに出てくるデカパンおじさんみたいで、醜悪を通り越したマンガみたいな滑稽さ。鈍重な動き、喋るとハーハー息苦しそうで、大丈夫なの?!と心配になりました。そりゃあ、あんだけ太ればしんどいわ。

 ユペりんが小ボケなら、ドパ氏は大ボケ。元妻にどんだけ罵られ責められイヤミを言われても、逆らわず逃げず真面目に受け止めながらも、あの風貌のせいか深刻に悩んでるようには見えず、ふてぶてしいまでに鷹揚とボケ~っとしてて可笑しかったです。一般人にサインを求められ、某大スターの名前を書くのが笑えた。
 残酷なまでの強い日差し、カラカラに乾いた不毛で荒涼としたデスバレーの風景も印象的です。ラストは、スピリチュアルな奇跡なのか、それとも…観客に判断は委ねられます。

 ↑これで還暦!ハリウッドにも日本にも、こんなカッコいいアラ還女優いないですよね~
 
 

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2 コメント

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Unknown (pu-ko)
2016-07-14 04:06:10
これでアラ還、まじか~。
そうしてこんなにおつまでもお綺麗なのかしら。
まずは細身であることよね。
ドパ様はもう岩の類。
お二人の元夫婦漫才観たいわぁ。
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奇跡のアラ還! (松たけ子)
2016-07-14 19:11:53
pu-koさん、こんばんは!
生でもイザベル・ユペール見たのですが、とにかくシャキっとパキっとしてて、そして洗練されててカッコいいんですよ!日本やハリウッドのアンチエイジングに血道をあげてるアラ還熟女とは違いますわ。ほんと、まずガリガリじゃなくてほっそりしなやかな体つきと、姿勢のよさが大事ですよね!
ドパさん、出オチすぎ!ユペールとの深刻なはずなのに笑えるやりとり、ぜひチェキラー☆彡
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