まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

情焔の人妻 “わてを抱いておくれやす”

2016-04-12 | 日本映画
 「女殺油地獄」
 大阪天満の油屋、河内屋の放蕩息子与兵衛は、元締めの一人娘小菊との色事に耽溺する。同じ油屋である豊島屋の女房で、与兵衛の乳母だったお吉は、与兵衛を諫めようとするが…
 「鬼龍院花子の生涯」や「吉原炎上」などの名匠、五社英雄監督の遺作。原作は近松門左衛門の人形浄瑠璃。
 男女の激情や情念を独特の演出で描いていた五社監督ですが、遺作は何となく抑え気味、ちょっとTVドラマっぽくなってたように感じました。「陽暉楼」のキャットファイトシーンとか、「」の濡れ場みたいな、激しさ生々しさがなかったし。でも、ラストの油まみれな女殺しシーンは、往年の五社監督テイストを堪能することができました。
 男女の抜き差しならぬ情愛や色欲を、きめ細かくねっとり激しく描く邦画が死に絶えて久しい。今の邦画は、内容も演出も俳優も、TVドラマの延長ですもんね~。時代劇映画なんか、おちゃらけた軽~いコメディばかりですし。大人が楽しめる時代劇って、もう制作不可能なのでしょうか。

 女の中に棲む魔性が、この映画のテーマでしょうか。お吉も小菊も、ほんと非道いビッチどもなんですよ。彼女たちに愚弄されまくる与兵衛が、ほんとアホで可哀想でした。男は可愛い、欲しい、でも都合が悪くなるとバッサリアッサリ切り捨てる。恋に燃えても狂ったりはせず、冷めた理性を保ってる。いざという時は、逃げ道も用意してたり。男のほうが自分を失って、進路も退路も断たれてしまうんですよね。でも、そうなって追いつめられた男は、やっぱ怖い。どーにでもなれ!な自暴自棄という最終手段に出ますからね~。ぷっつん男のストーカー殺人って、実際にもよく起きてますから。男をナメすぎると、とんだシッペ返しに遭います。お吉も、もうちょっと上手に事態をコントロールすべきでした。
 江戸時代の大阪の商人言葉が、はんなりとして何か可愛かった。今でもあんな大阪弁、使ってる人いるのかしらん?商家や町並み、出会い茶屋などのセットも、雰囲気がよく出ていて良かったです。小菊の嫁入りシーンも、妖しくも幻想的で美しかったです。
 お吉役の樋口可南子が、妖しくも美しかったです。樋口さんといえば、今ではすっかりソフトバンクのお母さんですが、当時は大胆で挑発的な女優として名を馳せていたんですよね。与兵衛を誘う仕草や目つき、嫉妬や欲情に悶える表情や声がエロかったです。濡れ場はおとなしめで、肌もそんなに見せてないのが、樋口さんらしくなかった。彼女なら、もっと進んで脱いだりしそうなのに。
 与兵衛役は、当時28歳!の若き堤真一。

 いや~堤さん、若い!カッコいい!エロい!今こんなに男の色気がある若い俳優、いないですよね~。イケメンとか美男ではないけど、男!♂!って感じで、最近の某事務所のタレントとか子どもじみた男を見慣れてる目には、新鮮かつ刺激的です。若い男の持て余した精力、行き場のない活力も余すところなく迸らせてる熱演は、さすが舞台仕込みの力強さ。自堕落で享楽的、幼稚で思慮分別ゼロの、誰にとっても大迷惑なバカぼん与兵衛も、堤さんだから憎めない可愛いダメ男に見えるんですよ。全裸になったりはしないのですが、浅黒い肌、引き締まった筋肉質な体つきが何ともセクシーで、はだけた胸の厚さや長く引き締まった足のスネ毛や、やたら見せるフンドシ姿で分かるキョっとした形のいいケツとか、コレデモカ!と♂フェロモンをダダ漏れさせてます。ラストの殺人シーンでは、油だらけでスッテンコロリンのたうちまわる堤さん、まるでローションプレイ!フンドシで両足開脚とか、キワどすぎるアングルに驚喜。あれ、撮影前に前も後ろもかなり毛を剃ってるはずです。

 堤さんの魅力実力を活かした映画やドラマが、あまりないのが惜しい。堤さんが下積み時代に付き人をしていた真田広之が、日本ではいい作品に出会えないので海外に行ってしまったように、堤さんも舞台のほうをメインにしてるみたいで残念…
 小菊役は、元祖プッツン女優の藤谷美和子。可愛い!けど、掴めないフワフワしたところ、何するか予測不可能な危険さは、男を振り回す役に合ってます。今でいうと、ちょっと吉高由里子っぽい?フニャフニャクチャクチャしたブリっコなんだけど、綾瀬はるかとか石原さとみみたいなのとは違って、ほんとにヤバい人なのでは?と怖くなる狂気じみたところが、女優の業の深さを感じさせます。あの皇居押しかけ事件以来、すっかり表舞台から姿を消してしまった藤谷さん、今どうしてるんだろう…

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2 コメント

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元堤ファンでございます。 (すねこすり)
2016-04-13 21:43:01
お久しぶりです!

実は私…、メジャーになる前、本作より少し前くらいまでの彼が好きでした。
爽やかすぎず、イケメンすぎず、適度にワイルド、適度に男前、尚且つ演技はサイコーってことで、ホント好きでした。

…って、告白調で失礼しました。
刑法39条辺りから、一気に心が離れて行きましたが、いまもまあ一応、気にはしています。
この映画未見なので見てみたい!

実はたけ子さんの古い記事で、処女の泉のレビュー拝読し、思わず声上げてしまいそうになりました。
私もブロンソンを思い浮かべていたのです! そんなの、私くらいだろうなぁ、と思っていたのに、たけ子さんも! 嬉しい♪
というわけで、思わずコメしてしまいました。

カープ、まあまあじゃないですか! この調子で今年こそ…、と密かに願っております。
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堤真一、いい男だった… (松たけ子)
2016-04-14 18:43:45
すねこすりさん、こんばんは!お久です(^^♪
そうそう!私もこの映画の前年ぐらいのTVドラマで、初めて堤真一を見て超イケてる~!と、幼心ときめかせたんですよ~。大竹しのぶとラブシーンで見せた裸が、めっちゃいいカラダでエロかったんですよ。
鈴木京香と付き合い始めた頃から、私も心が離れたかも。り面白そうな作品にも出なくなったし…
この映画の堤さん、若くてフェロモンたっぷりで、イケてますよ~。必見!
処女の泉、あれってチャールズ・ブロンソンですよね~。私だって、復讐します!
カープ、緒方監督になってj初めて首位(単独じゃないけど)に立った!やっぱ嬉しいです!あんまし期待したら去年みたいにズッコケトホホになるので、冷静に応援したいと思います(^^♪今夜はジョンソン!頑張れKJ!
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