「Le petit lieutenant 」
警察学校を卒業したアントワーヌは、パリ警察の殺人課に配属される。アルコール中毒を克服し仕事に復帰したキャロリーヌは、熱意にあふれたアントワーヌを自分が率いる捜査チームに加える。いつしか彼女は、アントワーヌに死んだ息子の面影を重ねるように。そんな中、浮浪者の他殺死体が川原で発見される。キャロリーヌの指揮の下、アントワーヌたちは捜査線上に浮上したロシア人の行方を追うが…
だいぶ前からすごく観たかったフランス映画、念願かなってついに。大好きなナタリー・バイが、4度目のセザール賞を受賞した作品です。数年前のフランス映画祭で、団長として来日したナタリーおばさまの作品特集が開催され、そのレアで貴重なラインナップはフランス映画ファンにとってかなり垂涎ものだったのですが、残念ながらお江戸は遠く…この作品も、上映作品のひとつでした。ほとんど諦めてたので、観られることになりほんと驚喜でした。
「神々と男たち」が高く評価された、俳優としても知られるグザヴィエ・ボーヴォワ監督作品。原題は若い警官、新米警官という意味でしょうか。刑事ものとはいえ、派手なアクションも奇抜な事件、どんでん返しな展開もなく、とても地味な内容です。日本の刑事ドラマやアメリカの捜査ものが好きな人からすると、ひどく退屈な映画かもしれません。でも、警察ドラマ、人間ドラマとしてはリアルかつシビアで、見応えあります。刑事部屋や取調室、留置所など、署内の様子や刑事たちの日常が、まるでドキュメンタリーのように撮られてます。出てくる刑事たちも、見た目もファッションも本物みたい。すごいモサくて野暮ったいおっさんばっか。こんな刑事いねーよ!な、日本やアメリカのドラマみたいなイケメンや、パリっとしたスーツ着てる刑事なんか一人も登場しません。
相棒とかみたいな、バカバカしいまでに奇をてらったな事件や犯人で面白おかしく作った刑事ものとは違い、事件も捜査も現実的で地道。刑事同士の対立とか上下関係の軋轢とか、刑事もののお約束もほとんどありません。ベタベタしい暑苦しい人間関係がないところは、いかにもフランス的ですが、アルコール中毒とか夫婦の溝とか人種差別とか、ひとりひとりが抱えているプライベートの問題は、かなり切実で深刻。他人や組織を巻きこんでゴタゴタ騒がず、淡々としたドライな対応の仕方なども、邦画や日本のドラマでは見られないフランス人らしい感じで興味深かったです。ラストの事件の決着も、刑事たちの人生も苦く厳しく、ありきたりな一件落着には残せない静かなる深い余韻。
アントワーヌ役のジャリル・ルペールは、ブサイクではないのですがすごい面長顔で、ルーキー刑事らしい初々しさや爽やかさがなかったのが残念。こんな刑事いねーよ!と嗤いつつも、やっぱイケメン刑事のほうがいいですね若い頃のブノワ・マジメルとかタハール・ラヒムとかだったらさぞや♡
主役はどちらかといえばアントワーヌなのですが、じわじわとキャロリーヌの存在が濃ゆくなってきて、後半ある悲劇が起こって以降はキャロリーヌ中心に話は展開されます。キャロリーヌ役のナタリー・バイが、やはり素晴らしかったです。セザール賞受賞も納得。いかにも大熱演してます!な演技や、痩せり太ったりや特殊メイクで別人に化けたり演技や、風変わりな役より、誰にも見せない気づかせない内面の破綻や虚無を抱えたキャロリーヌのような役を、静かにかつ痛ましくも魅力的に演じるほうがはるかに難易度が高いので、竹内U子とか篠原R子とかが主演女優賞を獲るような日本アカデミー賞とは大違い
キャロリーヌのキャラは、ちょっとだけヘレン・ミレン演じる「第一容疑者」のジェーン・テニスンに似てるのですが、キツくて冷酷なテニスンと違って、優しく柔和な感じ。女だからってナメんじゃないよ!なギスギスした力みもなく、いつも温和で冷静。でも、心はテニスン以上に乾いてて虚ろ。ヒステリックに取り乱すこともできない、狂気に落ちて自滅することもできない女の強さが悲痛。そんな孤独な中年女の暗い深淵を、ナタリーおばさまがフランス女優らしい憂いとエレガンスで演じてます。年齢を重ねた女の魅力に憧れます。顔のシワとか、ナチュラルなアンチエンジング無縁さ。地味な役でも、やはり美しい!どこで誰といても、大勢のエキストラの中に混じっていても、大女優にしかないオーラびんびんで、観客の目をすぐに自分のほうに惹きつけるんですよね~。日本やアメリカのドラマの女刑事とは違って、地味だけどセンスのいいファッションもトレビアン。キャロリーヌの独り住まいも、簡素だけどカーテンとかベランダでの朝食とか、フランスらしい趣味の高さ。それが似合うところもさすがフランス女優。
警察学校を卒業したアントワーヌは、パリ警察の殺人課に配属される。アルコール中毒を克服し仕事に復帰したキャロリーヌは、熱意にあふれたアントワーヌを自分が率いる捜査チームに加える。いつしか彼女は、アントワーヌに死んだ息子の面影を重ねるように。そんな中、浮浪者の他殺死体が川原で発見される。キャロリーヌの指揮の下、アントワーヌたちは捜査線上に浮上したロシア人の行方を追うが…
だいぶ前からすごく観たかったフランス映画、念願かなってついに。大好きなナタリー・バイが、4度目のセザール賞を受賞した作品です。数年前のフランス映画祭で、団長として来日したナタリーおばさまの作品特集が開催され、そのレアで貴重なラインナップはフランス映画ファンにとってかなり垂涎ものだったのですが、残念ながらお江戸は遠く…この作品も、上映作品のひとつでした。ほとんど諦めてたので、観られることになりほんと驚喜でした。
「神々と男たち」が高く評価された、俳優としても知られるグザヴィエ・ボーヴォワ監督作品。原題は若い警官、新米警官という意味でしょうか。刑事ものとはいえ、派手なアクションも奇抜な事件、どんでん返しな展開もなく、とても地味な内容です。日本の刑事ドラマやアメリカの捜査ものが好きな人からすると、ひどく退屈な映画かもしれません。でも、警察ドラマ、人間ドラマとしてはリアルかつシビアで、見応えあります。刑事部屋や取調室、留置所など、署内の様子や刑事たちの日常が、まるでドキュメンタリーのように撮られてます。出てくる刑事たちも、見た目もファッションも本物みたい。すごいモサくて野暮ったいおっさんばっか。こんな刑事いねーよ!な、日本やアメリカのドラマみたいなイケメンや、パリっとしたスーツ着てる刑事なんか一人も登場しません。
相棒とかみたいな、バカバカしいまでに奇をてらったな事件や犯人で面白おかしく作った刑事ものとは違い、事件も捜査も現実的で地道。刑事同士の対立とか上下関係の軋轢とか、刑事もののお約束もほとんどありません。ベタベタしい暑苦しい人間関係がないところは、いかにもフランス的ですが、アルコール中毒とか夫婦の溝とか人種差別とか、ひとりひとりが抱えているプライベートの問題は、かなり切実で深刻。他人や組織を巻きこんでゴタゴタ騒がず、淡々としたドライな対応の仕方なども、邦画や日本のドラマでは見られないフランス人らしい感じで興味深かったです。ラストの事件の決着も、刑事たちの人生も苦く厳しく、ありきたりな一件落着には残せない静かなる深い余韻。
アントワーヌ役のジャリル・ルペールは、ブサイクではないのですがすごい面長顔で、ルーキー刑事らしい初々しさや爽やかさがなかったのが残念。こんな刑事いねーよ!と嗤いつつも、やっぱイケメン刑事のほうがいいですね若い頃のブノワ・マジメルとかタハール・ラヒムとかだったらさぞや♡
主役はどちらかといえばアントワーヌなのですが、じわじわとキャロリーヌの存在が濃ゆくなってきて、後半ある悲劇が起こって以降はキャロリーヌ中心に話は展開されます。キャロリーヌ役のナタリー・バイが、やはり素晴らしかったです。セザール賞受賞も納得。いかにも大熱演してます!な演技や、痩せり太ったりや特殊メイクで別人に化けたり演技や、風変わりな役より、誰にも見せない気づかせない内面の破綻や虚無を抱えたキャロリーヌのような役を、静かにかつ痛ましくも魅力的に演じるほうがはるかに難易度が高いので、竹内U子とか篠原R子とかが主演女優賞を獲るような日本アカデミー賞とは大違い
キャロリーヌのキャラは、ちょっとだけヘレン・ミレン演じる「第一容疑者」のジェーン・テニスンに似てるのですが、キツくて冷酷なテニスンと違って、優しく柔和な感じ。女だからってナメんじゃないよ!なギスギスした力みもなく、いつも温和で冷静。でも、心はテニスン以上に乾いてて虚ろ。ヒステリックに取り乱すこともできない、狂気に落ちて自滅することもできない女の強さが悲痛。そんな孤独な中年女の暗い深淵を、ナタリーおばさまがフランス女優らしい憂いとエレガンスで演じてます。年齢を重ねた女の魅力に憧れます。顔のシワとか、ナチュラルなアンチエンジング無縁さ。地味な役でも、やはり美しい!どこで誰といても、大勢のエキストラの中に混じっていても、大女優にしかないオーラびんびんで、観客の目をすぐに自分のほうに惹きつけるんですよね~。日本やアメリカのドラマの女刑事とは違って、地味だけどセンスのいいファッションもトレビアン。キャロリーヌの独り住まいも、簡素だけどカーテンとかベランダでの朝食とか、フランスらしい趣味の高さ。それが似合うところもさすがフランス女優。
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