まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

子どものけんかで親が…

2012-07-29 | フランス、ベルギー映画
 ロンドンオリンピック、いよいよ始まりましたね♪
 早くも柔道の平岡拓晃が、銀メダルを獲得しました!おめでと!彼って広島出身だったんですね。ついでに奥さん子どももいたんですね…
 他の日本人選手も健闘中で、大量のメダル獲得も期待させられますが。今のところ、ワタシ的に最もインパクトに残ってしまってるのは、開会式でのアノ御方。そう、大英帝国の統治者エリザベス女王陛下です。金曜日の夜は遅くまで遊んでたので、翌日にダイジェストを観たのですが。私の目は女王さまにクギづけ!
 まず、女王さまとジェームズ・ボンドの共演に驚喜。あーいうのが実現するイギリスって、すごい国です。女王さまもなかなかノリがよくてオチャメですね。それにしても。英国の王室と日本の皇室って、やっぱ国民からの捉えられ方が全然ちがいますね。天皇陛下に人気俳優とコントさせるなんてこと、畏れ多すぎて不敬すぎて、絶対ありえないし。天皇陛下にあんなことやらせたら、暴動が起きそう。
 で、ヘリコプターから会場に降臨した女王陛下は…華やかに趣向を凝らしたセレモニーが進行、スター選手が意気揚々と誇らしく登場する中、それがどうしたとばかりに無関心そうに座っている女王さま。極めつけは、御国イギリスの選手がラストに現れた時。女王さまは、何とうつむいてご自分の爪をいじってたのでした。とにかく終始、かたっるそうで眠そうでした。
 女王さま、大丈夫なの?!と、本気で心配になりました。うちの死んだ婆さんが、ボケ始めの頃あんなだったから…まあ、女王さまも御年86歳。夜遅くまで起きてて長々と退屈な式典を観なきゃなんないのは、確かにつらいことと存じます。お年寄りは酷使してはいけません。でもま、フツーのおばあちゃんっぽくて、親近感を抱きましたが。
 どんな猛暑や極寒の中でも、にこやかかつ威儀を正しておいでの皇后美智子さまって、やっぱ超人的な御方なんだなと畏敬の念がいや増すのでした。

 「おとなのけんか」
 ニューヨークに住むマイケル&ペネロペのロングストリート夫妻と アラン&ナンシーのカウワン夫妻は、互いの子どものケンカについて話し合いの場を設ける。和解のため理性的に穏やかに振る舞っていた2組の夫婦だったが、しだいに抑えていた本音や感情が表面化し、激しく不毛な口撃戦が勃発するのだった…
 ヒットした舞台劇の映画化で、全編ほとんどロングストリート夫妻の家の居間だけで話が展開される室内劇です。知的・生活水準の高いスノッブな男女が、とりつくろった仮面をかなぐり捨てて、ひたすら壮絶に口汚く見苦しく言い争う。ただそれだけの映画です。エリザベス・テーラーがオスカーを獲得した「バージニア・ウルフなんかこわくない」に、ちょっと内容が似てたかも?こっちのほうがコメディ色が強かったけど。
 2組の夫婦のやりとりのほとんどが、相手の神経を逆なでする当てこすりの応酬で、上祐さんも呆れるほどのあーいえばこーいうぶりが黒い笑いを誘います。激しくてエゲツない口撃も、相手を傷つけたいとか貶めたいとか否定したいとかいった悪意のあるものではなく、ただもう自分の主張や気持ちを訴えてるだけ。そこが嫌な気持ちにならず笑って観られる所以なのですが。悲壮な自己中心的さには、嫌な意味で共感を覚えてしまいました。
 4人が、今度は誰と誰が、どんなきっかけで衝突するかが、観ているうちに楽しみになってきます。ケンカの始まりかた、繰り返しになってしまう展開が絶妙。夫婦がタッグを組んで相手の夫婦と闘うのではなく、夫婦同士でさえ険悪なバトルをおっぱじめるのがトホホ&おいおい、で笑えます。味方はおらず、みんな敵同士。自分に関わりがなければ、他人のケンカってエンターテイメントだなあと、不謹慎な感慨を抱いてしまいます。
 2組の夫婦を演じた4人の俳優が、豪華で濃ゆいです。

 芸術とか人権とかにうるさいインテリ妻ペネロペを、「告発の行方」「羊たちの沈黙」と2度のオスカーに輝くジョディ・フォスターが、顔をシワクチャにし血管をブチ切れそうなほどピキピキ浮かせて、神経症チックにヒステリックに熱演。そのめんどくさい女ぶりは、見てるほうも心底うんざりしてしまうほどです。こんなギスギスカリカリしたインテリおばはん役、もうジョディ姐さんの専売特許になってますよねえ。
 キャリアウーマン妻ナンシー役は、「愛を読むひと」で遂にオスカーを受賞したケイト・ウィンスレット。良識的に上品に振る舞ってるけど、チラチラと俗悪な正体はナニゲに見せる演技が巧妙でした。中盤でゲロをドバっと吐くシーンにウゲゲ。おケイさん、名女優を通り越して怪女優へとバージョンアップ中…
 あくまで知的な喜劇なので、韓流のように女同士が髪の毛掴みあって乱闘!なんてことにはならないのですが、ジョディ姐さんVSおケイさんのガチンコキャットファイト、見たかったかも。

 一見陽気で人がよさそうだけど、実は無神経でふてぶてしく、セコくて狭量なマイケル役は、「シカゴ」でオスカー候補になったジョン・C・ライリー。美男俳優は吐いて捨てるほどいるけど、彼みたいな個性的な性格俳優は希少で貴重です。
 弁護士のアラン役は、「イングロリアス・バスターズ」でオスカーを獲ったクリストフ・ヴァルツ。人の話をろくに聞かず携帯ばかりいじり、人を小ばかにした上から目線なチャチ入れで争いの火に油を注ぐ彼には、ロングストリート夫妻やナンシーだけでなく観客もイラっとします。イラっとさせつつトボけた感じも出してて、クスっとも笑える妙演です。ヴァルツ氏が飄々と余計なことを言ってジョディ姐をヒスらせる、のパターンがいちばん面白かったかも。
 名匠ロマン・ポランスキー監督は、こういう人間の内面に秘められた抑圧されてた暗部恥部を笑う映画を撮らせたら、やっぱピカイチですよね。エゲツないのに決して下品にならないところも素敵です。80分ぐらいのコンパクトさにまとめられていたのも、ダレずに観やすい映画でした。
 争いの原因となっていた子どもたちとハムスター、携帯電話が…なラストに、ホっと脱力します。
 
 
コメント
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