天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

『誘惑のアフロディーテ』古代ギリシヤ舞踏合唱を狂言廻にしても才人Wアレンらしからぬ判り易い現代恋愛劇

2011-09-19 23:16:00 | 日記
今日の続編日記は、今久しぶりにお茶の間鑑賞している映画『誘惑のアフロディーテ』(1995年製作 ウディ・アレン脚本監督 ウディ・アレン ミラ・ソルヴィーノ主演)のことです。
私はギリシヤ神話の話題をしていて、その神話を時系を超えて現代のニューヨ-クの男女の物語に当てはめたウディ・アレンの恋愛映画をふと思い出しました。ですので、私はその映画『誘惑のアフロディーテ』をレンタル店から借りて、今鑑賞しています。
この映画の冒頭には、ギリシヤ古代円形劇場に仮面を付けた神々らしき男女(私注・コロス:古代ギリシヤの舞踏合唱隊でこの映画の狂言廻し的役目)が登場します。
そして、そのコロスらは、『ギリシヤのアキレス英雄は、血に染まって息絶えた、その原因はトロイのヘネナ、アンティネゴーの父、オディプス王は母と交わった罪から自分の眼をえぐった 彼こそ非情な運命な犠牲者』と語りながら、現代のニューヨ-クのある夫婦、夫ウディ・アレンと妻ヘレナ・ボナム・カーター(2010年『英国王のスピーチ』のエリザベス王女役を好演) の物語を紹介します。
この夫ウディ・アレンは、もらった養子の実の母親を知りたくなって、身元調査してみます。すると、母親は売れないAV女優(演じるのはミラ・ソルヴィーノ:この演技で第68回アカデミー助演女優賞受賞)で今は身を売る娼婦だったのです。
添付した写真は、天真爛漫でとてもセクシーで魅力的なミラ・ソルヴィーノ(左側)とまったく冴えない中年男を演じた才人ウディ・アレン(右側)です。このまったく価値観や年齢の違う二人のやりとりで、ウディ・アレンのウイットに富んだ会話に、私は思わず微笑んでしまいました。
やはり、この映画はウディ・アレンの脚本の冴え(冒頭には悲劇性を匂わせておきながら最後はハッピーエンドになる)に負っているとても元気になるラブコメディです。また、ウディ・アレンは新人女優の演技発掘(この映画でミラ・ソルヴィーノを、『それでも恋するバルセロナ』でペネロペ・クルスを)に長けた名匠だと、私は今回再認識しました。
そして、映画の最後にウディ・アレンとミラ・ソルヴィーノが数年後秋のニューヨークで再会します。お互いに連れている子供が自分の子だとは気づかないまま、挨拶を交わして別れていくシーンで、再びコロスの長(F・マーリー・エイブラハム)が登場して来ます。
彼は『まったく人生とは皮肉なもの 信じがたく奇想天外で悲しくてすばらしい どれも真実!』と語りこの円形劇場から退場します。とても、才人らしからぬわかりやすいウディ・アレン監督の作品です。でも、このような映画が私はとても大好きです。
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『荒木経惟文学全集〈四〉ラブホテルで楽写』新宿風俗景:ビーバー・マリアでアラーキー、マリアのヒモにと

2011-09-19 13:10:02 | 日記
今日の日記は、今読んでいる荒木経惟著『荒木経惟文学全集〈四〉ラブホテルで楽写』(1998年平凡社刊)のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
この著書・写真家の荒木経惟氏(1940年5月25日~)は、私の大学工学部(注:卒業学科は違う)の大先輩です。その彼の業績を知りたくて、この著書『荒木経惟文学全集〈四〉ラブホテルで楽写』を、今私は読んでいます。
この著書は、荒木経惟氏が雑誌に寄稿したエッセイを集大成したものです。そのエッセイ集の中で、雑誌『噂の真相』(1983年4月号~85年3月号)に書かれた『新宿風俗景』の一節「ビーバー・マリア」の記述に、とても強い衝撃を受けました。
以下に、その記述全文(注:著書の意図に従い、匿名等の修正を一切せず、表現は原文のまま)を引用・掲載します。尚、この雑誌『噂の真相』は今は休刊されています。
『第2の美加マドカって噂のマリアってが風林会館うらの「DX歌舞伎町ミュージック」(232・99XX)に出てるってんでちょっと階段をおりてみた。さーいよいよマリアの登場。アナウンスが始まるやいなや6人の男がさっと立ってジャンケンポン愛こでショー。その真剣な表情、指、キンたまげたねえ、こんだけオトナをピーターパンにしちゃうなんて、どんなコなんだろうと期待マンマン。お、出てきたぞー、おっとーう、ボタンの入れ墨、でもう、かわゆーい、前歯がかわゆーい。さっそくニックネーミングしちゃって、ビーバー・マリア。さっさとディスコダンスすましちゃって、さーていよいよ噂の3P本番生板回転ショー(注:原文のまま)のはじまりはじまり、パッパッパッとバッチシ閃写したからね、すんごいですねー、ストロボ光らせてもしぼまないもんね、立派なもんだ、2人ともエライ。あたしもやってほしいね、ビーバー・フェラチオ(注:原文のまま)。んでも、あそこんとこのる度胸ないねえ。美加マドカなっかよりずーっとイイゼ、プロさぜ、ビーバー・マリア。なんてったって選曲がいいやね、「献身」と「秋冬」で3Pさぜ、ったくもー、キンたまらねえぜ。パーラメントがすきなマリアを休憩時間に近くの「あかべこ」に誘ってすき焼き、うまかったねー。トイレついでに勘定すましちゃったマリア、まったくもー、なってコなんだろう、もーこーなったらアラーキー、マリアのヒモになっちゃう、ごちそうさま、マリアさま。』
この雑誌『噂の真相』に寄稿した頃の荒木経惟氏は、まだ若々しい40歳前半の異色写真家です。彼のこの踊り子嬢・マリアを強く応援する熱気が直に伝わってくるような、とても楽しい風俗紹介文です。また、彼が約27年前のストリップ劇場(注:今も現存している劇場)の踊り子嬢も写真撮影していたことを、今回の寄稿で初めて知り、彼に私はとても強い親近感を抱きました。
また、逆に、昔のストリップ劇場の赤裸々な様子を知り、某踊り子嬢の独善的な応援教義を信奉する親衛隊に、この昔の劇場の現状を教えてたくなりました。写真家荒木経惟氏は、ストリップショーに参加する男たちに愛情を込めて、”ピーターパン”と表現しています。その彼の思いには、嫌悪や猥褻感がまったく込められていません。
27年前のストリップ劇場と今の劇場はまったくショー内容は違っています。しかし、それに強く引かれる男たちの思いは、まったく変わらないです。
荒木経惟氏が紹介した劇場で、明日の20日に誕生日を迎える某踊り子嬢の親衛隊に、この荒木経惟氏のエッセイ「ビーバー・マリア」を私は衷心より捧げます。
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