天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

木下千花著『溝口健二論』倒錯重層的伝言と儀礼・権力演出「元禄忠臣蔵」はマゾヒスト的快楽生む映画性誇示

2016-06-26 16:14:08 | 日記
今日の日記は、とても久しぶりに映画論への投稿です。私は、以前2012年7月17日付自身日記ブログ『「国際シンポジウム・溝口健二」木下千花氏卓越評論「元禄忠臣蔵」の風俗は日本的でなく異化効果として働く』で日本映画の巨匠・溝口健二監督を取扱いました。そして、約4年程経って、この映画学専攻の木下千花京都大学大学院准教授の新刊本発売を知り、今自宅で読んでいます。その著書は『溝口健二論・映画の美学と政治学』(2016年5月・法政大学出版局刊)です。添付した写真は、その著書の表紙です。
その著書では、さらに深化した溝口映画の特徴を画面の各々1シーンずつを詳細に紹介しながら解説しています。その映画解説で、私が特に強く共感した記述の一部を、以下に引用・掲載します。
『「元禄忠臣蔵」は時代劇の規範に抗って可能な限り元禄時代の風俗に則り、そうした意味で、空虚な観念に過ぎなかった「歴史映画」を一挙にかつ大胆に実現してしまった。・・松の廊下の顛末の締めくくりとして、綱豊卿(市川右太右衛門)が目付役・多門伝八郎(小杉勇)に称賛の言葉を与える印象深い場面がある。・・茶坊主が「甲府中納言さまよりのお言葉にござります」と告げると、多門はさらに頭を下げる。茶坊主は続ける。「元和の偃武から70年、世は泰平に慣れて、侍心地に落ちたるとき、今日その方の振る舞い、武士の本分に叶う、綱豊、忘れおかぬ」。・・坊主が「申しつけました」という報告を終えると、綱豊はようやく歩み出して画面は暗転する。このショット・シークェンスの間接性はほとんど倒錯的だ。・・次期将軍と目される御三家当主(私注:著者のミス・甲府宰相で御三家ではない)が公にはできない言葉を、殿中で伝えるとしたら、茶坊主を介するに違いない。この認識は、徹頭徹尾、映画的問題として追求されている。・・「元禄忠臣蔵」における倒錯的なまでに重層的な伝言と儀礼、権力の演出は、アメリカ映画的な直接のアクションへの欲望を頓挫されつつ、独自のやり方で映画性を誇示するばかりではない。距離と媒介の演出は、マゾヒスト的な快楽-クライマックス(この場合、討入)を宙づりにして儀式のシチュエーションと細部に興奮するという意味で-を生む。』
私は、この映画『元禄忠臣蔵』の南部坂雪の別れでの瑤泉院と大石内蔵助のやりとりで、瑤泉院の毅然たる言葉『その儀、なりませぬ』を自身日記ブログ(2012年7月16日付)で紹介しています。その言葉も元禄時代の歴史性を直視した溝口健二監督のアイデアと今強く得心しました。さらに、時代考証や歴史的社会関係についての配慮を全くせず、人物の直接の対面、接触、会話、対決をドラマチェックに演出する薄ぺらなTV時代劇とは一線を画した、素晴らしい日本映画だと私は思ってます。
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何ら権限知識なき者が首相専権事項国家大方針を勝手に決めつける悪しき事例が札幌別宅マンション理事長言動

2016-06-04 15:37:47 | 日記
今日の日記は、2017年4月から予定されていた消費税10%アップを6月1日に安倍首相が2年半延期した事です。私は、臨時総会開催後の初めて札幌別宅を訪問して、今久しぶりにブログ日記投稿しています。
この別宅マンション組合の元理事長は、2015年3月21日の定期総会で、”引き上げられる時期については、2014年11月と異なり、確定的”と断言していました。何故、何ら権限や知識がない一市民が、首相の専権事項である国家の大方針を勝手に決めつける事が出来るのか?この議事録を読んでいて、私は大いなる危惧や不安を抱いていました。この元理事長は、物事を短絡的にしか思考判断できないので、リーダー(組合員のリーダー・理事長)としては、全くの不適格者だったのです。強制的に6名選出される輪番制の欠陥(6名の中で誰が理事長になるのか6名で互選)が、如実に顕れた組合の悲劇だったのです。
この元理事長は今どんな心境でいるのか?私は組合の監事として問い質した気持ちもあります。でも、臨時総会において抗議だけを強く主張した参加者がこの元理事長なら、何ら反省や自責の念を持っているとは全く考えられないです。だから、私はそんな事は無駄だと諦めました。
逆に、現理事長に、臨時総会を再招集して、消費税10%分を含んだインターネット使用料を組合員から徴収している現行の悪しき行為を速やかに改善する要望書を提出しました。でも、どうなるか?分りませんが、私はその彼の行動にあまり期待はしていません。それだけ、現理事長の臨時総会での優柔不断ぶりに、私は絶望しているからです。
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