天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

『乳房論―乳房をめぐる欲望の社会史』トロイ戦争後帰還したヘレナは自身の”胸のりんご”を夫に見せ許さる

2011-09-17 20:39:50 | 日記
今日の日記は、今読んでいる著書『乳房論―乳房をめぐる欲望の社会史』( マリリン・ヤーロム著 平石律子訳 1998年トレヴィル刊)のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
この著書に、私が昨日の日記で紹介したエフェソス遺跡から発掘された”女神アルテミス”や、ギリシヤ神話”トロイのヘレン”に関するとても興味深い記述がありました。以下に、その著書から一部を引用・抜粋します。
『古代の乳房崇拝の最も驚異的な例は、いくつもの乳房を持つ有名なエフェソスのアルテミス像だろう。現在は近代的なトルコの沿岸都市であるエフェソスの市庁舎跡から、等身大のアルテミス像が二体出土した。従来、胴につけられた複数の球体は、乳がよく出るようにという願いを込めた多数の乳房だと考えられてきたが、今では卵の列であるとか、雄牛の睾丸であるという説さえある。・・だが、像が生まれたいきさつはどうあれ、「多数の乳房」を持つエフェソスのアルテミスは、奇跡の乳を与えるという、時代を超えた人々のファンタジーのシンボルとなった。・・紀元前四世紀以降、いつも裸で、乳房をあらわにしたりはっきり見せる愛の女神、アフロディーテ(ヴィーナス)が登場した。彼女の乳房は固く引き締まりいささか男性的で、古典的な「りんごのような」という表現に見合う、エロティックな理想形をしていた。トロイのヘレナ(私注:ヘレンのこと)もこの理想的な乳房の持ち主だった。トロイア(私注:トロイ)戦争が終わって帰還した際、ヘレナが「胸のりんご」を夫のメネラーオスにあらわにして見せたところ、夫は剣を脇へ置き、彼女を許したという神話(アリストパネス「リシストラータ」紀元前411年)が残っている。ヘレニズム時代のアフロディーテはいわばピンナップ・モデルのような存在となり、崇拝の対象であると同時に、男性の欲望の対象ともなった。アフロディーテのイメージが、実生活での女性の地位の変化にも影響を及ぼしたかどうか不明だが、石でできていようと肉体を持っていようと、セックスの女神がどのような力を持っているかは、最近の例、例えばマリリン・モンローを思い浮かべれ推測できるだろう。』
このマリリン・ヤーロムの説によれば、ヘレニズム時代になると、ギリシヤ神話の『トロイのヘレン』は、現代の”ピンナップ・ガール”の元祖的な存在であり、伝説の女優マリリン・モンローにも匹敵するらしいです。また、女神アルテミスは、時代を超えて”奇跡の乳を与えるファンタジーのシンボル”となったと述べています。
古代の小アジアに生まれた崇高な美の伝道者たちは、今でも全世界の男たちの熱き思いを捕らえて離さないと、私は今強く得心しました。
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