天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

論文発表から30年で佐藤勝彦氏に顕彰を与えた学士院に失望、今はもう超ひも理論の「マルチバース」が主流

2010-03-15 23:12:15 | 日記
今日の日記は、宇宙の「ゆらぎ」を生む「指数関数的膨張モデル」を30年前に考えて論文を発表した宇宙物理学者・佐藤勝彦明星大客員教授の科学的業績のことです。
その佐藤氏に関連した最近のニュースで、『日本学士院(久保正彰院長)は、3月12日、優れた研究や著作を顕彰する2010年度日本学士院賞の授賞者一人に、その佐藤勝彦氏(宇宙物理学・64歳)を内定。授賞の理由は、30年前の論文の「加速的宇宙膨張理論の研究」での成果業績』と報道していました。
そのニュースを聞いた時、私は「佐藤博士は、その有名な研究で、今まで授賞していなかったのか?」との、とても意外な思いと大きな驚きを持ちました。何故なら、佐藤氏は日本を代表する「宇宙論」の理論物理学者で、現在、明星大客員教授と東大数物連携宇宙研究機構特任教授などを務める、著名で世界的にも認められた科学者だからです。
この授賞理由となった彼の有名な「加速的宇宙膨張理論」を、私は以前からよく知っています。だから、今まで彼の研究成果が授賞対象にもならず、論文発表からその認証に30年もかかる日本学士院の評価認定のとても遅いサークル体質に、私はまったく失望しました。いくら、タイムテーブルがとても長い光年単位であり、その成否検証が天文学の観測結果に左右される「宇宙の創生を扱う論文」でも、学士院のまったく閉鎖的な見識に、私は今強い憤りを感じています。
さらに、現在の宇宙論は、佐藤氏らが提唱した単一な宇宙ではなく、「超ひも理論」から導かれ発展派生した「マルチバース」が主流になっています。以下に、佐藤勝彦氏の最新著作『宇宙論入門ー誕生から未来へ』(2008年11月・岩波新書刊)より、その該当箇所を私は引用し掲載します。
『無限に宇宙があるという宇宙像は、今日「マルチバース」という言葉で表現されている。「マルチバース(multiverse)は「宇宙(universe)」の単一を意味する「uni」を、たくさんという意味の「multi」に置き換えて作った造語である。・・マルチバースという言葉は10年前には聞き慣れない言葉であったが、今や宇宙の初期や宇宙の誕生を研究している研究者だけでなく、広く使われるようになってきている。そのきっかけとなったのは、インフレーションや量子論的宇宙の創生であるが、今新たなブームとなっているのは、超ひも理論やそれに基づくブレーン宇宙論が必然的にマルチバースの姿を描いているからである。・・仏教の三千大千世界のように、多種多様な宇宙が存在する超ひも理論のマルチバースを、俯瞰する曼荼羅はまだ描かれていない。私達の住んでいる宇宙は、その中でどのような位置にあるのか、皆目わかっていない。アインシュタインから始まった相対性理論に基づく科学的宇宙論では、宇宙は唯一であり、それがビックバン宇宙として始まり現在に至っていると考えてきた。物理学の法則に基づいて、宇宙の姿や進化の過程はきっちり決まっていると、暗黙のうちに考えていた。しかし、超ひも理論の宇宙観は、この考えを根底から覆したといえる。』
このような最新学術論文「超ひも理論」を率先して評価検証する日本学士院に、その体質改善し、生まれ変わってほしいと私は衷心より願っています。そうしなければ、授賞まで30年もかかってしまった過去の反省が、まったく生かされません。さらに、佐藤勝彦氏の功績が迅速に正しく評価されなかった無念さが、まったく報われません。
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