ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

交通事故死者数の減少

2010年12月28日 | 雑記
今年の交通事故死者は25日現在4775人。
5000人を切った昨年レベルとなりそうだ。

警視庁交通局が交通死亡事故についての統計資料を毎年まとめてる。
平成21年度版はここで入手できる。

このレポートは近年死者が減少している理由は以下であるとしている。
1.シートベルト着用率の向上、2.(事故発生直前の)車両速度の低下 3.無謀運転の減少、4.歩行者の法令遵守

しかし、シートベルト装着率はもうかなり昔から高かったのではないか?
事実、平成11年で81.8%から平成21年で93.3%に伸びているけど、増加率は1割強であり、それほど大きく事故死者減に寄与したとは思えない。
これは着用推進運動の手柄を強調したい警察の思惑だろう。

むしろ、若者の車離れが最大の要因ではないか。
実際、平成元年には3000人以上の若者(16歳~24歳)が交通事故で亡くなっているが、平成21年にはわずか519人だ。
平成になってから全ての年齢層で死亡事故は減少しているが、16歳~24歳の減少は圧倒的であり、この20年間で減少した死亡者5000人の半分は若者なのだ。

そして、これがまさに車両速度の低下と無謀運転の減少に関係しているのだろう。

そして我が国のITSだが。

今や、交通事故死者の約半数は歩行者、自転車で、その大半は高齢者だ。
自動車乗車中の事故死、いわゆる「走る棺桶型」の事故死者は平成21年度で1600人にすぎず、これは一貫して減少している。

さらに、1600人のうち、高速道路で亡くなった方はわずか180人。1割にすぎない。交通事故死全体でいえば3%程度。
そのうち追突などの車対車の事故はその半分以下、60人程度。
我が国の交通事故死者の1%程度だ。

一方でITSスポットは、高速道路の前方にある落下物や渋滞を後続車両に情報提供することで交通安全への寄与を謳っている。
しかし、それで防止できる交通事故死は極めて限定される。

2010年度、国交省は250億円をかけ、主要高速道路にITSスポット1600基を設置した。さらに、今後拡大していくと言っている。

ITSスポットは対応車載器が普及しないから宝の持ちぐされになる、と言ってきたが、100歩譲って仮に普及したとしたって、この程度の効果しかない。

本当にこれが正しいのか?


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2 コメント

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Unknown (通りすがり)
2011-10-02 19:13:59
偶然このサイトを見つけました
ITSサービスで良くなるのは死亡者数だけでなく,通行止めなどによる経済損失を回避するためなどじゃないかなって思いました
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Unknown (maikawa)
2011-10-02 21:49:35
スマートウェイだったかの一番の謳い文句に「交通事故死者をゼロに」と言われていたらから、このエントリーでは事故死者を減らすという目的のためには費用対効果のいい方法ではない、と主張しました。

でも、百歩譲って単なる事故防止=経済損失回避にしても、今やっているITSスポットの費用対効果は怪しいと思ってます。
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