ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

今年を振り返る

2006年12月31日 | ITS
なんかステレオタイプだけど、年初に書いた「2006年のITSを予測する」をベースに今年を振り返ってみよう。

まず、ETCは予想通りに普及が進んでいる。
もうリース助成などの購入支援などに金を使うのはやめたらどうのだろう。

ASVの普及は、予想(というか、私の希望)ほどは進んでいないという印象だ。
たとえば、渋滞最後尾の追突事故はレーダーと制動介入で劇的に減らすことが出来るだろう。
まだまだ高価なコンポだが、エアバック普及のような道筋をとって欲しいと思う。

一方、不調を予測したテレマティクスは、その通り大きな展開はなかった。
日産がスカイラインからCARWINGSの次世代を出したが、大きなインパクトはない。

ETC(DSRC)は、一部公共駐車場ですら新たな商用サービスの開始はなかったし、対応車載器の発売もなかった。
3月に利用車番号利用の開放がアナウンスされたが、それに対する事業化の動きも年末のibaによる神戸空港駐車場構想以外なかった。

スマートプレートは、まだまだあきらめていないぞ、という掛け声はいくつかあったが、計画に進展があったようには思えない。

全般にいえば、「背後に巨大なビジネスチャンスをもつITS」が幻であったことについては、概ね業界が合意した年なのではないか。

一方で、もっと地に足がついたITSが語られたか、というと、そこが残念なところだ。
交通事故の低減と渋滞の軽減のためにとるべき策が本当に検討されたのか?

ハイテクの力を借りることで改善するものもあるだろうし、電光掲示や道路の構造といった、従来施策での改善余地もまだまだある。要はそのなかから最も効果がある方法を組み合わせて施行するべきなのだ。

しかし、ITSにかかわっている官・民ともに、何故か通信を使うことを前提にしか考えていない。これがどうしても理解できない。

参宮橋実験が最たる例だ。カーブ先渋滞で危険な箇所はほかにもあるだろう。
道路の構造を改善したり、手前に効果的な電光掲示を設置することで事故は減る。それをまずするべきだ。
一部の車にしかついていない(かつ今後も普及が望めない)ビーコンナビ画面に表示する実験を延々とやり続ける理由がわからない。

通信をつかって車載器に表示されなければ世界ITS会議で発表する時にインパクトがないからなのだろうか?