ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

国交省・次世代道路サービスの共同研究を公募

2004年12月22日 | ITS
国交省は次世代道路サービス提供システムに関する共同研究への参加者を公募している。
国交省 ITSホームページ
国交省 国土技術政策総合研究所

次世代道路サービス提供システムとは、まさにDSRCのことである。
まあ公募といっても、資格をみれば大手電機メーカーなどに限定される話で、ほぼ決まっているのだろう。

興味深いのは対象サービスがぐっと絞られていること。このブログでさんざん批判してきたGS、ドライブスルーやコンビニのキャッシュレス決済には言及されておらず、以下の3点に集約されている。
(1)公共駐車場決済サービス
(2)道の駅等情報接続サービス
(3)道路上における情報提供サービス

駐車場はたしかにあり得る。ETC装着の付帯メリットとして駐車場のノンストップ入退場があれば、消費者としては結構な話だ。普及のポイントは事業者側のメリットだろう。

駐車場ビジネスはいくら付加価値を向上させても総需要が増加することはない。
また、省人化も既に進んでおり、コスト面でのDSRC導入メリットはない。
しかし付加価値向上はパイの取り合いに有効である。近隣駐車場との競合がある場合は、客数増加に繋がるだろう。大手駐車場なら、数パーセントの客数増加が見込まれればDSRC決済機に対する投資の価値はある。

しかし、道の駅やSA,PAでの情報提供サービスって、いうほどあるのだろうか?施設内の掲示板以上に価値がある情報自体が存在するかどうか、私は疑問である。

道路上における情報提供は、おそらくVICSビーコンの次世代というイメージだろう。
現在のVICSビーコンは電光掲示板の表示内容がナビ画面に表示されるだけ、という感じで魅力がないが、DSRCで情報量を増やせれば、違う展開はあるかもしれない。

これらのDSRCサービスを実現するためには現在のETC車載器ではだめで、専用器が必要となる。しかし、上記程度のサービス提供では、車載器購入時に消費者がプレミアムを支払うかどうか微妙だ。
サービスがなければ、専用機は売れない、専用機が普及しなければ、サービスは提供されないというチキンエッグをどう打破するか。
サービス内容から明確なプロフィットモデルが見えてこない以上、極めて困難だとしか言いようがない。