みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

R.V.AircraftのニーンエンジンとVK-1エンジン その3

2013年02月08日 00時00分10秒 | 航空機(露・軍用機)
 さて、サンケイ第二次大戦ブックス『ミグ戦闘機』に出てくる、MiG-15の話です。朝鮮戦争で、初めて後退翼のジェット戦闘機と遭遇したムスタングのパイロットが、
「ついに、新型ジェット戦闘機があらわれたぞ」
「あの星のマークは、中国空軍のものだ」
「しかし機体は、ソ連製のミグ15ではないのか」
と会話したりする、臨場感あふれる(笑)文体は健在です。当時の私は、まだ少なかった日本語で読める共産圏の航空機に関する書物として、本書を愛読していたわけです。
 写真や図がたくさん挿入されているのも本シリーズの魅力でして、この『ミグ戦闘機』にもソ連東欧の航空機の写真がたくさん載っています。さて問題のエンジンの写真は、113ページに掲載されています。トップ画像がそれです。上はロールスロイス・ニーンエンジン、下がそのソ連による改良型VK-1とのこと。写真キャプションには、

ミグ15の初期型には、ロールスロイス「ニーン」ターボジェット・エンジン(上)が、
後期型にはVK1エンジン(下)が装備された。

とあります。つまり、初期型のエンジンが上で、その改良型が下だ、ってことですね。完全に形が違ってます。本書を愛読していた私は、改良型のVK-1は、オリジナルのニーンエンジンの出力を増やすため、形が変わるほど大改造したものだと思ってしまったわけです。
 しかしその後しばらくして気づきました。下のVK-1とされるエンジンって、そもそも軸流式ターボジェットじゃないの?単に本書の写真が間違っていただけじゃないの?と。だって元のニーンエンジンは遠心式なんだから、いくら改良したからって、下の写真のようにはならないよな。さてそうすると気になるのは、ニーンエンジンとVK-1エンジンって、外見上どれくらい違うんだろう、ということです。
 それから何年も後、ついにタミヤから1/48のMiG-15が発売されました。近所の私鉄駅裏の模型店で早速買い込んだことを覚えています。見ると、胴体後半を取り外してエンジンを見られるようになってるんではありませんか。タミヤのMiG-15は後期型のbisです。こうなると、初期型のニーン(RD-45)と後期型のVK-1とがどう違うのかが、やや切実な問題になってきたわけです。もしも『ミグ戦闘機』のこの写真が正しければ、タミヤのキットには下側の写真のようなエンジンを載せなければならなくなりますからね。当時は今みたいに、ネットで「Rolls-Royce Nene」とか「Klimov VK-1」とか検索したらたちまち画像が探せるような時代ではなかったので、書物からソ連製航空機のエンジンの写真を探すのは大変だったんです。
 で、結局今になってあれこれ画像を検索して、ロールスロイス・ニーンエンジンと、そのコピーのクリモフRD-45と、その改良型であるクリモフVK-1とは、外見上ほとんど違いがない、ということが分かってきました。では、サンケイの『ミグ戦闘機』が間違って掲載していた、下側のエンジンは何だったのだろう、ということなんですが、これはなかなか探すの難しい。今のところ、ミクリンRD-3Mではなかろうかな、と考えています。
http://www.kmpo.ru/eng/history.php
このページの真ん中あたり、ジェットエンジンの二番目の写真(VK-1の次)にあります。Tu-16バジャーに用いられた軸流式ターボジェットです。時期的にも近いし、形状が似ている(補機やパイピングなど)というだけなんですけど。

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