みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その5

2010年08月15日 00時01分08秒 | 映画
 さて、中国映画「長空雄鷹」、冒頭タイトル画面に続いて、航空機による対地攻撃の恐ろしさをまるで無視するという、現在の我々の目でみると実に滑稽な場面が出てきますので、ちょっと紹介しましょう。
 木の枝で偽装した「吉普車」(ジープ)から顔を出す主人公。何をしているかと言うと、空から襲ってくるF-84サンダージェットを見張って、「もうする降りてくるぞ」とタイミングを計っているんです。で、サンダージェットが攻撃軸線に入っていよいよ発砲しそうになるちょうどその瞬間、となりの運転手に「停車!」と命ずるんです。ジープは急停車。するとサンダージェットの機銃掃射は勢い余ってジープ前方の路上に着弾。サンダージェットのパイロットは、ちぇっ、残念とばかりに上昇して行きます。
 サンダージェットの再度の攻撃、同様にジープから首を出してタイミングを計り、今度は運転手に「停車!」そして「バック!」と命令。ジープは全速後退して停車。また機銃掃射は前方にそれてしまいます。
 写真2コマ目は、運転手が主人公に「同志、この方法はいいですね」と話している場面。そして3コマ目は一応危機を脱して戦場を疾駆するジープです。いやあ、お笑いですね。ヒストリーチャンネルの戦史番組では、朝鮮戦争のものではありませんが、大戦中連合軍のガンカメラが捉えた対地攻撃の様子をしばしば見ることができます。その大口径機銃掃射のすさまじさは、テレビ画面を通してもよく分かります。そもそも対地攻撃は、目標の車輌一台をぴったり狙って瞬間的に発砲するものではない。もしそうならば確かに、ジープを急停車させれば狙いを外すことができましょう。しかし、道路に沿って縦射した場合はそんな小細工は通用しません。路上の車輌はことごとくばらばらにされてしまいます。
 典型的環境中の典型的人物、とでも言うんでしょうか、聡明かつ勇敢な革命的兵士を描こうとして、却って爆笑シーンになってしまっています。実写版トムとジェリーとでも言いますか、ドリフのコントとでも言いますか…。いやもちろん、面白さではトムとジェリーやドリフの比ではありませんが、映画の製作者が大まじめであるがゆえに、製作者の意図しなかった爆笑を誘ってくれるわけです。