『スケールアヴィエーション』誌の3月号が「冷戦時代のソ連軍機」なので、買ってみました。私は『スケアビ』と『アーモデ』、特集に興味を感じた方どちらかを買っているのですが、最近はずっと『アーモデ』ばかりだったな。でもソ連機特集ですから、今回は買い。
表紙はいきなりAモデルのTu-128フィドラー。めちゃかっこいい! 中の記事も、あの作りにくいキットをよくぞここまで!という作例ばかりです。コンドルのMiG-25、KPのSu-7フィッター、そして何よりVESのSu-15フラゴン! いずれも、フォルムはとてもよいのに作るのが大変、というキットで、ではそのよいフォルムを出した作例はというと、なかなかお目にかかれないのです。今月号はお買い得でした。
また、鹿目晃一郎氏の「Take it easy Modelling!!」も、あのキットこのキット、よくぞみんな作って下さったと、大感激。La-176も、Be-61も、Yak-28Pも、途中まで作って何度も中断したキットなので、作る人が作ればこうなるんだ、しかもそれが「Take it easy」だとは、もう感動ものです。
私が気づいた細かいことを敢えて述べますと、P.47のMiG-9ファーゴ、タイトルには「スカラベ1/72」とあるのに本文は「Aモデル」となっています。作例はどちらでしょうか。ちなみにAモデルからは異なる時期にMiG-9のキットが二種類出ていまして、もちろん出来のよいのは後から出た方。それから同じページのYak-21。本文には「キットの風防は滑らかなラインの物ですが、よく見る実記写真ではゴツゴツした感じの風防が付いています」と書いてあります。しかし著者のおっしゃるゴツゴツした風防はYak-17UTIのことではないかと思います。極々簡単に言うと、Yak-21はYak-15の複座練習型。Yak-17の複座練習型がYak-17UTI。両者はやや異なる機体です。Yak-15は尾輪式。だからこのYak-21も尾輪式。Yak-17は首輪式。だからYak-17UTIも首輪式。よって簡単に区別できます。Yak-15はすぐにYak-17に置き換えられますので、それに伴ってYak-21も少数生産に終わっています。一方Yak-17UTIはかなりたくさん生産されています。この記事ではYak-21とYak-17UTIとがやや混同されている感じがします。
もう一つ、こがしゅうと氏の連載記事「イラストで見る末期的兵器総覧 アナタノ知ラナイ兵器」では「MiG-15」が採り上げられています。おっ、MiG-15の記事となると見過ごせません。早速読んでみると…
なんだかすかした、キザな文章ですね。「シクミだ」とか「テッキリ」とか「ヤタラと」とか「するツモリ」とか、所々カタカナになっている。それに「MiG-十五bis」などと数字だけ漢数字になっている。だったら「B-17」は「B一七」じゃなくて「B十七」と書かなければいけないんでは? 「VK-1」エンジンを「VK-一」ってのも、かなり苦しい。
それはそれとして、やや問題なのは「ウェポンシステム」の項目。本ブログでも何度も採り上げたように、MiG-15の機関砲はパック式になっていて、機体からワイヤーで吊り降ろして整備することができます。これについて著者は「推測で申し訳ない限りだが」と断りつつ、この機関砲を吊り下げている四本のワイヤーは「絡車」(リール)で巻き上げるようになっているのかと疑問を呈しておられます。そして「仮にそうでないとしたら大事だ。ヤタラと思いこの部位を屈強なオトコ達が担ぎ上げるサマは……何とも無骨で、」と述べておられます。
いや、そんなことはありません。機体側に装着したクランクハンドルでワイヤーを巻いて機関砲を昇降させている写真はいろんな本に載っていますし、また北朝鮮の亡命機の機関砲をクランクハンドルを回して降ろしている映像は、Youtubeでも見ることができます。
またこの機関砲の設置方法について、「機関砲に不具合が生じた場合」、もしくは「極端な場合あらかじめ給弾が完了したこの部位を用意して」そっくり交換することができる、「整備や保守点検・給弾等において非常にすばらしいアイデアに思える」と述べておられます。機関砲が故障した場合の交換は確かに容易でしょう。しかし、給弾をすませておいた機関砲をそっくりそのまま交換する、という整備方法が実際に採られたのかどうか、分かりません。この機関砲パックを機体から降ろすには、まず機関砲の砲口カバーを三つ取り外し、それからパックの固定を解除し、クランクハンドルを装着して降ろし…、という手順になります。その過程で外さなければならないビスの数はかなりのもの。もしも、機体に機関砲を装着したままアクセスパネルを開けて給弾するという普通の方法が採れるなら、そちらの方がよほど手早いということになりそうなのですが、その点はもっと調べないと何とも言えません。(続く)
表紙はいきなりAモデルのTu-128フィドラー。めちゃかっこいい! 中の記事も、あの作りにくいキットをよくぞここまで!という作例ばかりです。コンドルのMiG-25、KPのSu-7フィッター、そして何よりVESのSu-15フラゴン! いずれも、フォルムはとてもよいのに作るのが大変、というキットで、ではそのよいフォルムを出した作例はというと、なかなかお目にかかれないのです。今月号はお買い得でした。
また、鹿目晃一郎氏の「Take it easy Modelling!!」も、あのキットこのキット、よくぞみんな作って下さったと、大感激。La-176も、Be-61も、Yak-28Pも、途中まで作って何度も中断したキットなので、作る人が作ればこうなるんだ、しかもそれが「Take it easy」だとは、もう感動ものです。
私が気づいた細かいことを敢えて述べますと、P.47のMiG-9ファーゴ、タイトルには「スカラベ1/72」とあるのに本文は「Aモデル」となっています。作例はどちらでしょうか。ちなみにAモデルからは異なる時期にMiG-9のキットが二種類出ていまして、もちろん出来のよいのは後から出た方。それから同じページのYak-21。本文には「キットの風防は滑らかなラインの物ですが、よく見る実記写真ではゴツゴツした感じの風防が付いています」と書いてあります。しかし著者のおっしゃるゴツゴツした風防はYak-17UTIのことではないかと思います。極々簡単に言うと、Yak-21はYak-15の複座練習型。Yak-17の複座練習型がYak-17UTI。両者はやや異なる機体です。Yak-15は尾輪式。だからこのYak-21も尾輪式。Yak-17は首輪式。だからYak-17UTIも首輪式。よって簡単に区別できます。Yak-15はすぐにYak-17に置き換えられますので、それに伴ってYak-21も少数生産に終わっています。一方Yak-17UTIはかなりたくさん生産されています。この記事ではYak-21とYak-17UTIとがやや混同されている感じがします。
もう一つ、こがしゅうと氏の連載記事「イラストで見る末期的兵器総覧 アナタノ知ラナイ兵器」では「MiG-15」が採り上げられています。おっ、MiG-15の記事となると見過ごせません。早速読んでみると…
なんだかすかした、キザな文章ですね。「シクミだ」とか「テッキリ」とか「ヤタラと」とか「するツモリ」とか、所々カタカナになっている。それに「MiG-十五bis」などと数字だけ漢数字になっている。だったら「B-17」は「B一七」じゃなくて「B十七」と書かなければいけないんでは? 「VK-1」エンジンを「VK-一」ってのも、かなり苦しい。
それはそれとして、やや問題なのは「ウェポンシステム」の項目。本ブログでも何度も採り上げたように、MiG-15の機関砲はパック式になっていて、機体からワイヤーで吊り降ろして整備することができます。これについて著者は「推測で申し訳ない限りだが」と断りつつ、この機関砲を吊り下げている四本のワイヤーは「絡車」(リール)で巻き上げるようになっているのかと疑問を呈しておられます。そして「仮にそうでないとしたら大事だ。ヤタラと思いこの部位を屈強なオトコ達が担ぎ上げるサマは……何とも無骨で、」と述べておられます。
いや、そんなことはありません。機体側に装着したクランクハンドルでワイヤーを巻いて機関砲を昇降させている写真はいろんな本に載っていますし、また北朝鮮の亡命機の機関砲をクランクハンドルを回して降ろしている映像は、Youtubeでも見ることができます。
またこの機関砲の設置方法について、「機関砲に不具合が生じた場合」、もしくは「極端な場合あらかじめ給弾が完了したこの部位を用意して」そっくり交換することができる、「整備や保守点検・給弾等において非常にすばらしいアイデアに思える」と述べておられます。機関砲が故障した場合の交換は確かに容易でしょう。しかし、給弾をすませておいた機関砲をそっくりそのまま交換する、という整備方法が実際に採られたのかどうか、分かりません。この機関砲パックを機体から降ろすには、まず機関砲の砲口カバーを三つ取り外し、それからパックの固定を解除し、クランクハンドルを装着して降ろし…、という手順になります。その過程で外さなければならないビスの数はかなりのもの。もしも、機体に機関砲を装着したままアクセスパネルを開けて給弾するという普通の方法が採れるなら、そちらの方がよほど手早いということになりそうなのですが、その点はもっと調べないと何とも言えません。(続く)