みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

大祖国戦争映画DVDボックス

2006年05月27日 23時19分56秒 | 映画
買っちゃいました、「WWII 独ソ攻防戦 DVD-BOX」。昔からどこのレンタルビデオ屋さんでも、戦争映画コーナーになぜか必ず並んでいた旧ソ連の国策長編映画を、ひとまとめにしたボックスセットです。「ヨーロッパの解放I」「ヨーロッパの解放II」「ヨーロッパの解放III」「スターリングラード攻防戦」「レニングラード攻防戦(二枚組)」「ベルリン陥落」の、6タイトル計7枚組み(発売元アイ・ヴィー・シー、¥29,800)。
特にこのボックスセットでは、特典ディスクとして初DVD化の「ベルリン陥落」が収録されているのが売りとなっています。「幻の名作」なんだそうです。なぜそれが今まで幻になっていたかというと、スターリン賛美の部分が政治的にまずいのでお蔵入りになっていた、ってことのようです。早速見てみましたが、現代の目で見ると、お蔵入りになっていたのはスターリン賛美だけではなく、単に映画としてくだらないからなんじゃないの?と言いたくなる出来です。そりゃもちろん、気宇壮大。あの時代のソ連でなければ不可能なおびただしいエキストラ、たっぷり出演している実物の戦車…。しかし、残念ながら所詮プロパガンダ映画に過ぎない。要するに様式感たっぷり、というか様式の集合体。
「ベルリン陥落」というタイトルから、独ソのベルリン攻防戦を描いたものかと思っていたのですが、実際はバルバロッサの緒戦からベルリン陥落までを描いたものだったんですね。歴史上の人物のそっくりさんがたくさん出てくるのも面白いのですが、描き方があまりにステレオタイプ。所作も大仰で、今の目から見ると、まるで歌舞伎か京劇を見ているみたい。
ところでこの映画、音楽をショスタコーヴィチが担当しているんですね。実はこの「ベルリン陥落」の音楽、以前CDで聴いたことがあるんです。サウンドトラックではなく、組曲として編集されたものだったと思います。さすがのショスタコーヴィチも駄作を作ったことがあるんだな、という印象でした。あの交響曲や室内楽曲と比べると、ほとんど同じ作曲家の作品と思えないくらい。まあ、よく聴くと節回しはショスタコーヴィチなんですけどね。
しかしこのたび映画として改めて見てみると、音楽単体とはずいぶん印象が違いました。つまり、この映像にはこの音楽がやっぱりお似合いだよな、ショスタコーヴィチの芸術性の高い方の音楽をこの映像に当ててもどうせ違和感があるよな、ということです(あんまり褒めてないな…)。ショスタコーヴィチが社会主義の将来にまだ夢を抱いていた時期にこの曲を書いた、あるいは拒絶することも出来ず国策映画に自ら協力して書いた、などという解釈もできますが、もしかすると、彼はプロの作曲家として、このテの映像に合うような音楽を計算づくで作ったんだ、という見方もできるのかもしれません。