”Vid Og Vid”by Olof Arnalds
マニアな音楽ファンの間で話題の、アイスランドの女性シンガー・ソングライター。2006年のデビュー作。
ジャケに妙なものが映っているが、これは一つの胴体に二つの頭を持つ白鳥がいて、その二つの首がニュ~ッと伸びてグルグルグルグルと絡まりあっている様が描かれているのだ。どんな物語が秘められているのか、何しろジャケもほぼ全編、アイスランド語でしか書かれていないので、知りようもなし。
ともかく、こんな不気味なイラストでデビューアルバムのジャケを飾りたい、などとは、常人はなかなか考えないものだ。一筋縄では行かない女性と覚悟を決めたほうが良い。
とは言うけれど、中身を聴いてみると、アコースティックな音を前面に出した、もの静かな美しさに溢れた作品である。ゆったりとした弦楽器の爪弾きが主体の伴奏に乗り、Olof Arnalds女史の甲高い声が、そっと優美で幻想的なメロディを歌い上げる。
いかにもヨーロッパの古い伝統に連なる美しさに溢れているが、そういえば中欧の古きローレライの川辺では、こんな具合の妖精の歌声に惑わされた船乗りたちが水に飲まれて帰らなかった故事があるではないか。
ヨーロッパも北の果ての雪と氷に閉ざされた小島で、長い冬の夜を暖炉のそばで過ごす子供たちが、お婆ちゃんの話してくれた夜話の中に見た幻想の手触り、などというものを想起させる。ファンタジックな、ちょっぴりホラーの気配も匂う、不思議な薄明境通信である。 冬の夜は、北辺の小島に吹き付ける風の音などに想いを馳せながら、この幻想に酔っていたいと思う。
それにしてもOlof Arnalds女史、あのビョークに「個性的な人だ」と言われたっていうのだから、なにやら笑えます。
マニアな音楽ファンの間で話題の、アイスランドの女性シンガー・ソングライター。2006年のデビュー作。
ジャケに妙なものが映っているが、これは一つの胴体に二つの頭を持つ白鳥がいて、その二つの首がニュ~ッと伸びてグルグルグルグルと絡まりあっている様が描かれているのだ。どんな物語が秘められているのか、何しろジャケもほぼ全編、アイスランド語でしか書かれていないので、知りようもなし。
ともかく、こんな不気味なイラストでデビューアルバムのジャケを飾りたい、などとは、常人はなかなか考えないものだ。一筋縄では行かない女性と覚悟を決めたほうが良い。
とは言うけれど、中身を聴いてみると、アコースティックな音を前面に出した、もの静かな美しさに溢れた作品である。ゆったりとした弦楽器の爪弾きが主体の伴奏に乗り、Olof Arnalds女史の甲高い声が、そっと優美で幻想的なメロディを歌い上げる。
いかにもヨーロッパの古い伝統に連なる美しさに溢れているが、そういえば中欧の古きローレライの川辺では、こんな具合の妖精の歌声に惑わされた船乗りたちが水に飲まれて帰らなかった故事があるではないか。
ヨーロッパも北の果ての雪と氷に閉ざされた小島で、長い冬の夜を暖炉のそばで過ごす子供たちが、お婆ちゃんの話してくれた夜話の中に見た幻想の手触り、などというものを想起させる。ファンタジックな、ちょっぴりホラーの気配も匂う、不思議な薄明境通信である。 冬の夜は、北辺の小島に吹き付ける風の音などに想いを馳せながら、この幻想に酔っていたいと思う。
それにしてもOlof Arnalds女史、あのビョークに「個性的な人だ」と言われたっていうのだから、なにやら笑えます。