”NDZI TEKE RIENDZO NO.1 ”by FOSTER MANGANYI NA TINTSUMI TA TILO
機械の打ち込みのリズムの感触を手動で真似てみた、みたいなカチカチした太鼓の音に導かれ。昨年、「なんじゃこれ?」と半分歓喜し半分首をひねったあのサウンド、南アフリカ発のテクノ・ダンスサウンド、シャンガン・エレクトロの第2派が早くも我が皇国の岸に到着した!
とりあえず私も大いに面白いと思い、昨年の年間ベストに入れさえしたのだが、何だか得体の知れない奴らだなあ?との思い、聴くごとに深まるばかりで、確かに凄く面白い音を出す連中ではあるものの、どうもその正体がつかめない。
前回のように、いくつかのバンド参加のオムニバスのような、でもその正体は皆、同じバンドかも?なんて謎をますます深めるような盤じゃなく、今回はFOSTER MANGANYIなる人物率いるバンドの音をじっくり味わえる盤であるから、これでやっと勝負は五分と五分(?)なのであるが。
それにしても、先に述べた、なにやら人力による非常にご苦労さんなテクノ・サウンドの再現集団、との感触、このアルバムを聴きこむにつれ、ますます深くなってくる。いや、打ち込みの音も確実にバンドの音のど真ん中でクールなビートを刻んではいるんだけれど。
パーカッションばかりじゃない、いかにもチープな音のキーボードもシンプルなフレーズを繰り返して、ミニマルを気取ってるし、一つの曲の演奏中、一音か二音だけを執拗に繰り返すだけの口笛、いや指笛だろうか、これは機械じゃなくてひょっとしてナマでやってないか?なんかえらい乗ってブロウ(?)しまくってくれてるけど。
そしてそれに被ってくる、なにやら凄く暖かい響きに満ちた子供たち(女性たち?)のコーラス。クレイジーなバンドどころか、心温まってしまうぞ、これでは。
さらに今回の盤、曲のタイトルが気になる。英訳されたものを見てみると、「天使たち」「主のために働く」「私の魂」「アーメン、アーメン」「私は祈り続けるだろう」と、ゴスペルかよ?と突っ込みたくなるようなものばかり。そもそもがそういう性格のバンドのうちで起きたムーブメントなんだろうか、シャンガンって?
しかし、この指笛のパワーも凄いなあ。奄美~沖縄のシマウタ関係者、いずれ勝負の時が来るかも、ですぜ。
と、こちらが「?」キーばかりを押しまくるうちにも演奏は続く。なにやらアフリカの村の集会場に打ち込みの機械を置き、そいつを囲んで盛り上がりまくる民俗音楽集団、なんて妙な風景ばかりが頭に浮ぶ。しかも、村の上に広がるのは強化ガラスの向こうの、見知らぬ宇宙の星々だ(”キリンヤガ”ってSF小説を読んだことありますか?マイク・レズニック著。まあ、関係ない話だけれど)
と、いろいろゴタゴタまとまらない事を書いてるけど、You-tubeにはこの盤の音、貼られていないんで、聴いてもらうわけにも行かないのでした。似たような音さえ見つからないし。すいません、興味をお持ちの方、何とかしてこの盤を手に入れてください。損はさせません。
しょうがないから以前紹介した盤の映像を貼っておくけど、この盤、これとはかなり印象は違うとお心得ください。