ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

”艶歌”の捏造

2011-01-18 02:46:00 | 書評、映画等の批評
☆創られた「日本の心」神話
 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 輪島祐介・著(光文社新書)

 まだ形成されたばかりと言っていい「演歌」なる大衆音楽のジャンルを、まるで大昔から我が国に存在した音楽であるかのように吹聴する。そして「日本人の心である」などと言いくるめる。そんな無茶な歴史捏造はなんのために発生し、どのように人々に受け入れられて行ったのか。日本の大衆音楽史の大いなる闇にメスを入れる書。
 さらに、五木寛之の小説に登場する昔気質のプロデューサー、”演歌の竜”と、そのモデルになった人物とのキャラの落差が何を意味するか?など。
 あの頃、なんでもなく聞き流していた”流行歌”の影で何ごとが起こっていたのかが執拗とも言いたい追求の内に姿を現す。凄い凄い。