ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

アフガニスタンの古典音楽

2007-03-21 04:01:08 | イスラム世界


 ”Rubab Raga”by Khaled Arman

 これはアフガニスタンの民俗音楽というんでしょうか、古典音楽というべきなんでしょうか。タブラのみをバックの、ルバーブなる弦楽器の演奏もの。北インドの古典音楽の影響濃い、というか私などにはどこが違うのか分かりません。即興性の高い典雅な弦の爪弾きが繰り広げられる。

 ルバーブはメインの弦が三本で、それに付随する共鳴弦が十数本あり、これは旋律弦が爪弾かれるとそれに共鳴して鳴るばかりではなく、伴奏弦としてダイレクトに始終かき鳴らされます。

 シタールと違って使われているのがガット弦であり、それゆえバリバリと早いフレーズを弾かれると一瞬、フラメンコ・ギターに聴こえる一瞬もあり。そういえば北インド音楽から受ける深い思想性みたいなものよりも、もっと直情的な、激情と知ってもいい感情の爆発を感じる瞬間もあり、やはり影響を受けているのは明らかでも、インド音楽そのものではないなあ、と思わされます。

 アフガニスタンという地勢が示すとおり、これはあくまでもイスラム圏の音楽なのでしょう。インド音楽の形式の中でイスラム的激情が燃え上がるというか。

 最後に収められているアフガニスタンの民謡をソースとした演奏はいかにも深山幽谷にこだまする、みたいな旋律が印象的であり、このあたりはアフガニスタンの人々の、生活の中の生の感情がそのまま伝わってくるようで、感動的なのでありました。

 ところでこのラスト曲、早弾きが極まったあたりで、まるでベートーベンの”運命”の一部みたいなメロディが延々繰り出されるんだけれど、これは偶然似ているだけなんだろうか?ジョークでそんな事をやるようなタイプの音楽ではないんで、まさかと思うんだけど・・・

 いや、ほんとにまるでそのまま”運命”の中から引用しました、みたいなメロディが延々と奏でられるのであります。ジャケの解説には何も書いてはないんだけれど。これは気になります。と言いつつ、疑問の解ける日は永遠に来ないんだろうなあ。